きみはポラリス

「恋愛」をテーマにあらかじめ提示されたお題、もしくはセルフ提示のお題に沿って書かれた短編。
一番後ろのページにお題がまとめて載せられているので、読みながらお題を考えて一編読み終わるごとに答えを見ていた。
ていうか俺書きすぎだ……なんでそんなに書くことがあるんだ。この本は拒否る人はそれなりにいると思う。特に男性の場合は一番最初の話で脱落しかねない。

  • 永遠に完成しない二通の手紙
  • いきなりこれ系の話が来るのか……!

    寺島の髪の先に、小さな煙草の灰がついていた。消えやすい雪に対するように慎重に、指でそっと払ってやった。(P19)

    この話の感想はちょっと爛れているので続きを読むモードで隔離する……

  • 裏切らないこと
  • 嫁ーーーーーー何やってるんだーーーーとおもった。何度もしたんだ……そうか……

  • 私たちがしたこと
  • 骨片(↓のほうにあります)が「このお題がこうなったのか……(ほほう」ならこの話は「何でこのお題がこんな方向に走ってるんだ???」であった。
    読み終わった後お題を見て一番びっくりした。84ページぐらいと初出・収録一覧ページを交互に見ながら「ええ?」「これが……?」ということを5分ぐらいやってた。
    私はこの話のお題は「秘密」だと思っていたのだ。

    腐敗しとろけゆく、永遠に暴かれることのない秘密を、沈黙と忘却をもって苗床の栄養に変えよう(P84)

  • 夜にあふれるもの
  • 「信じるんじゃない。『ある』んだから。あとはただ感じればいいだけ」(P100)

    オヤシロさまが見てる。

    最初は真理子がサクリ妹みたいだなーと思い、お題は「信仰」かなー「狂気」かなーと思ってたら脳内でそれがくっついて「信仰という狂気」にクラスチェンジしてArkになった。最終的にはイメージ的にサクリとArkをバロックで割ったような感じになった。

    最後の車のシーン想像したらすげーーーシュールだ……なんて状態で名刺交換してるんだ……

  • 骨片
  • お題を見て、(゚д゚)!となった。このお題がこうなったのか……何か凄いな。どんな化学変化があったんだと思った。だって骨じゃないか!と思ったのだ。

  • ペーパークラフト
  • 別の意味でドキドキした。お題が三角関係で、夫婦で、旦那の友達(♂)だから旦那→嫁←旦那友人になるのか、嫁→旦那←友人になるのか。一瞬は旦那と友達はできてるのかと思った……

  • 森を歩く
  • 浪漫に生きる男。
    お題的に悪い方向に走りそうなんだけどすげー幸せそうだ。神田川みたいだ。

  • 優雅な生活
  • ろはす(゚д゚)!
    うちの母上が一時ダイエットのために玄米食べてました(白米とは別に鍋で炊いてた

    「自分の快適さと同時に、環境への配慮も欠かさずに暮らすというのも、崇高な理念だと思う。いわゆるロハスというやつだな。だが俺は嫌いだ」
    「なんで!」
    「崇高すぎてうさんくさいだろう! それを標榜している芸能人のほとんどが、バブル期に浮かれてたやつらだぞ。そしていままた、その崇高なライフスタイルとやらで食ってるんだぞ。金の臭いがプンプンする。自分の生活の質的向上が、すなわち地球環境の向上につながるなんて、思いあがりの誇大妄想だ。『生きていること自体が罪』という発想のキリスト教的独善が行き着く果てだ。ロハス信仰の本家大元、何億円も稼ぐようなハリウッドスターが陥りそうな考えじゃないか。そんなに環境を憂慮するなら、地球の邪魔にならぬよう腹かっさばいて死ね」(P202)

    締め切りでてんぱってる頭でこんなこと言ってるのがいい。幸せ度はこっちと「森を歩く」とどっちが上だろう。

  • 春太の毎日
  • 人間? 人間にしてはおかしいな……いや会話的には成立しているように見えるしな……と思ったら犬視点の話だった。しかしよく喋る犬だ。パーフェクトブルーみたいだ。

  • 冬の一等星
  • これは割と普通な感じだった。

    傷つくことがないように細心の注意を払って、私を暗がりから遠ざけた。(P280)

  • 永遠に続く手紙の最初の文
  • 爛れた感想に混ぜるので続きを読むモードに隔離。


 
さて「永遠に完成しない二通の手紙」と「永遠に続く手紙の最初の文」の感想です。登場人物は岡田と寺島の2人の男。小学校からの幼馴染の腐れ縁の仲である。
ぶっちゃけ言ってしまうと岡田→寺島である。らヴが芽生えている。永遠に完成しない?では匂いがするだけだが(かなり濃厚な匂いだけど)それを踏まえたうえで↑の引用部分をごらんください(゚д゚)

寺島は岡田の部屋にずかずかと上がりこんで好きになった人(もうすぐ30の落ち着いた人。当然女)にラブレターの下書きを書き始めた。それにいちいち突っ込みを入れながら岡田が案を出している。ラスト周辺にうっかりぎゃあ!(ごろごろごろ)となった。悶えた。読んでたのが朝だったので妙なスイッチが入ってたのかもしれない。

それで、何のスイッチが入ったのか寺島は実に馬鹿だな! それ確実に騙されてるよ! そんな身の上話をしちゃうような女子が合コンに来るはずがないよ!と思った。でキーワード「バカ」で反応したのか、何故かバカテスで変換された。いわく、明久も合コンで騙されたりするのか、と。
ついでにこの図式に当てはめて、うわーーー岡田は誰だーーーーとか、ラブレターの相手はだれだーーーーとかおもってた。姫路さんか。姫路さん可愛いよ姫路さん。

最初の一文はそれよりずっと前、小学校の出会いの話やらがある、学生時代、後夜祭最中に体育倉庫にうっかり閉じ込められた話だ。(ウホ展開はない。念のため

 ごめんな、寺島。俺はいつもこうだ。友だちのふりをして、友だちじゃない。おまえの幸せを願ったことなんか一度もない。たとえばいつかおまえが結婚しても、俺はなにくわぬ顔でおまえんちに行くだろう。口ではおめでとうと言い、祝いの置時計なんかを渡し、おまえの奥さんとも仲良く話しながら、心の中ではおまえの新居じゅうに呪いの五寸釘をさすだろう。別れろ別れろ別れろ。
 そんなことを願うのは、岡田だっていやなのである。それでも岡田は寺島宅をこまめに訪ね、幸せオーラで倒れた五寸釘を刺し直さずにはいられないのである。(P298)