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呪術廻船の15巻を読んだんですよ。わたしは今は本誌で読んでるんですけど渋谷事変一部読んでなくて、それがこの巻とかなんですが、本誌でまったく消息知れなかったあの子、出てこないのかなーって言ってたあの子、15巻の冒頭で死んだ……。

よりにもよって職場でその話を読みましてな(15巻の1話目なので)お、おうとしか言えない感じでした。

読みながら「シゲ小説うまくなったなあ」と友達か親戚みたいなことを思った。
わたしが最初に加藤シゲアキ作品はうたプリ2次に使える資料はないかと、図書館で「アイドル」と雑に検索した時にひっかかったのが当時の最新作閃光スクランブルの単行本で1、あれもオルタネートと同じ群像劇なんだけど格段に表現の幅とかリーダビリティとかあがってんなあと思いました。

今作はオルタネートという高校生限定マッチングアプリを利用した、都内のとある幼〜大まで敷地内にある一貫校での物語。オルタネートは写真貼付済生徒手帳という個人認証が必要で入学〜卒業までしか使えない実名アプリで不審者が入り込みにくい環境になっている。指定条件で検索も可能で例えば同じ高校で恋人が作りたい、同じ趣味を持つ人とつながりたい、憧れの先輩とつながりたいとかそういう用途にも使える。LGBTにも対応しているのが今時だなーと思った。噂に聞くTinderみたいだなと思う一方で高校生限定という響きに古のウェブサイト「まりもチャット」2を思い出した。

群像劇というてもメインとなる人物は決まっていて3年生でコンテスト型配信番組に出たい調理部の蓉(いるる)、オルタネートに自分のすべてという餌を与えて自分と最大限マッチする人間と出会いたいオルタネートガチ勢凪津、高校中退でオルタネートを使えない尚志。
高校生だしマッチングアプリだし恋愛要素もあるし文化祭みたいな青春ど真ん中要素あるしたまんねえなあという1冊。
今まではどれか1冊って言われたらBurn推してたんだけどこれからはオルタネートを推していくわ。

このエントリを書くためにAmazonの既刊を見ていたけどめちゃくちゃ売り切れ多いのな。ピングレ以外の文庫は軒並み在庫切れだしチュベローズも実質上巻は売り切れだったし。

  1. 確かこの年は露出が少ない年で、この後アイドル加藤シゲアキを知りました []
  2. わたしがインターネットを始めたころに行きつけのサイトのリンクにあったサイト。中学生限定を謳っていたが特に年齢を求められるものはなかったしそこを制限する技術もなかったと思う。分かった人はいい年なので我と握手 []

推しの子 (ジャンプ+)

芸能界ものの週刊連載です。
地方の総合病院で産婦人科医をやっているゴローはドルオタだ。アイと出会ったのは今と同じように病室でサボっていた頃、患児が熱をあげていたアイドルがアイだった。その患児は12歳で亡くなった。生きていれば今頃アイと同じ16歳だった。

ゴローの患者として来院したのはまさにそのアイドルのアイでだった。彼女は双子を妊娠しており、アイドル業も双子のシングルマザーになることも決めていた。ゴローは彼女を守り無事産ませることを決めたが、何者かに殺され、気がつけば記憶を保ったままアイの子供として転生した。双子の片割れ、女児のほうもアイを推していたドルオタが前世の記憶を保ったまま転生していた。

今死ねばアイドルの子供として転生できる、それを地で行く1話です。

一時期はアイがアイドルとして駆け上がっていく展開であり、赤子が前世の記憶と能力を保持したまま走る動く喋るスマホでママ(推し)のアンチとレスバトルをする展開だ。アイドルママと、ドルオタが推しの子供として転生した子役コメディとして進んでいくのかと思えば、「あっ!?」「えっ」と驚きの展開を繰り返し成長した「推し(アイ)の子ども」である双子、アクア(男)とルビー(女)の物語となる。

華やかな世界にたえず存在する悪意や作意や感情の揺れ幅を丁寧に描いている。つい最近大問題になったテラスハウスの件を明確に想起させる物語もあり、あっという間に1話から現在公開中の最新話(先週更新分)の30話までのめり込んで読んでしまった。
日常と事件と予想外の展開と結末とさらなる展開への入り口と、徐々にスケールアップしながら想像を裏切ってくれるテンポの良さが小気味よい。とてもおすすめです。

ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にしたオカルトミステリー2巻。

社交界で知らないものはいない心霊マニア、実際に幽霊も見える彼についた通り名は「幽霊男爵」エリオット。
物語は彼の10代のころから始まる。生きた人と幽霊の区別がつきにくく疲れたエリオット少年が休憩場所に選んだ場所は墓地だった。幽霊になるような人間はまともに弔われなかった人が多く、墓地のような「ちゃんと埋葬された人しかない」場所には意外と幽霊が少ないものだった。その中で出会った彼女(幽霊)は棺ごと動かしベルを鳴らしていた。今回社交界で聴いた「ベルを鳴らす幽霊」のように。
幽霊の正体とは、なぜ彼女はベルを鳴らしていたのか。

でも好きなのは2話で。「最新式魔法による殺人
車椅子に載せられ両手両足を拘束された人が出てきたり、黒幕らしい黒幕が登場する。
イギリス舞台ならモリアーティみたいな人が出てほしいものと思っていたけどいい感じのあれです。

残りの2話は異形が出るしクリスマスだ。よいものをよんだ。

わたしが朝ドラを見始めたのは最早いつか思い出せないぐらいのヘビーユーザーでだいたい1日2回、多い時では3回見ているのです。その中でエールは
・初の男主人公
・しかもそれが推し
・緊急事態宣言によりそれまで放送していたものの再放送が始まる
・前期朝ドラは8月合わせでがっつり戦争描写が含まれるが今回はそれがもんのすごかった(インパール作戦)
・放送期間は実に4月〜11月とわたしが見てきた朝ドラの中では最も放送期間が長い

そんな条件下でロスるなというのが無理過ぎんかね。紅白でミニコーナーやってくれたら成仏できるだろうか。

そんなさなかに買ったこの本はすごい。9割窪田くんを追ったエール内の写真集だけど、オフショットが含まれる、つまり演者がフェイスシールドなりマスクなりを装着しているカットの多さよ。数年後に「ああそういえばこの時は大変だったな」と思えていたらいいなあ。

ZIPや鉄腕DASHのダッシュ海岸でおなじみの日テレ桝アナの著書。
海の生き物の話がメインかと思いきや大半はちょうちょである。卒論こそ海関係だがそれまでは蝶々を追いかける生活だったようだ。これは10代向けの新書として書かれているためか主に小中高のあたりにスポットが当てられている。
実は小説を読みふけっていたこともあるとか文系科目が得意だったのに理系受験を選んだので苦労した話とか書かれている。面白かった。

いやー勇気がもらえる作品でしたね!
なんかこれ違うな……と思いつつ3日ほど使ったインクがあったんですけど、作中で「合わなかったら即洗浄!」っていうセリフがあったので昨日読み終わってから洗浄して1日置いてさっき別のインクを入れました。

そんな沼い話は置いておいて、これはちょっとブラックな職場に勤めていた葵がふらりと立ち寄ったお店で万年筆とその後の職を見つけてしまったというはじまりです。葵は年若い店主志貴に万年筆の知識をレクチャーされつつ、なんとか1人前の店員を目指そうと頑張っています。実在の万年筆やインクも出てきて割とパイロットとプラチナ強めです。葵のファースト万年筆もです。わたしが住んでいるところは万年筆を試筆できるようなお店がないのでめっちゃ憧れです……。三宮でキャップレプラチナスデシモの試筆したときは恐る恐るだっただけど嬉しかったわ……。

わたしも数年前から万年筆に分け入り、去年うっかりインク沼に入水して水際でぱちゃぱちゃ遊んでいます。今年は神戸ペンショーに行くのをやっぱりやめたので代わりにバス代+現地で使う分ぐらいインクを買いました。5桁余裕です。インクは増えるんですよね……。わたしは欲しい万年筆はキャップレスデシモで他はまあカクノとTWISBIとガラスペン3本で満足しています。

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すごく久しぶりにビーンズ文庫を買ったな……。なんかピンときたので買いました。新人作品。
序盤はすごく駆け足(なんせ最初40ページで竜と出会って、結婚直前に村が焼かれて唯一の家族である兄を目の前で失う)なんだけど、読み終わってもう一回最初に戻ってくるとこれがあれに活きるのかっていう感じで、これもたぶん必要なシーン。

ライラは村が焼かれた日に見た蒼い竜、ルガーに復讐することを決めた。

竜人は生涯ひとりを愛する習性を利用して、ライラは「自分がその運命の相手、番いだと誤認させる匂いを発する薬」を口にした。飲むと翌日に死んでしまうその薬を中和するのが赤い飴玉だ。飴玉はライラが飲む薬の副作用を抑え、舐めた後の口づけが竜人には毒になる。1日でも舐めるのを忘れればライラは死ぬし、口づけをしなければ竜人の毒は抜け、100日口づけを続ければ竜人を確実に死に至らしめ、後には毒も検出されない。

番いだと誤認させる薬を飲んだライラのことを、ルガーは一目で「番いを見つけた」と愛を注いだ。
ライラもまた竜人とともに暮らし、ルガーに寄り添って暮らし、日々ごく自然に復讐の武器である口づけをした。
どういう経路をたどってどういう結末を迎えるかっていうね。いやもうラピュタでしたね。
久しぶりに少女小説ファンタジーを摂取しました。

1か月後の日本時間15時、地球に小惑星が衝突します。

ある日の緊急首相会見でそう語られた。
数年前から世界各国が協力体制で挑んできたがついに軌道を変えることはできなかった。小惑星は直径10キロ、かつて恐竜を絶滅させたものと同程度の大きさだった。

学校ではスクールカーストの底辺でいじめられっ子の友樹、人を殺めたヤクザの信二、恋人から逃げ出した静香、徐々におかしくなっていく世界の中東京を目指した雪絵。
4人はゆっくりと、確実に終わりへ近づいていく世界の中で、何を見て何を背負い、どのように過ごしていたが丁寧に描写される。略奪に自殺、新興宗教によるテロなど世界の常識が一変した世界でなければ気づくこともなかったし手に入れることもできなかった、家族の小説だった。

凄い小説を読んだ。↓下記が読了の勢いで睡眠時間を削って書き残した感想です。

滅びの前のシャングリラ/凪良ゆう colorful

 もうすぐ遙か上から巨大な石が降ってきて、あたしたちはみんな死ぬ。
 けれど最期の時、あたしの隣には惚れた男と子どもたちがいる。
 −−−−それって、どっちがいいことなんだろうね。
 友樹の問いに、あたしは今も答えられない。あたしだって死ぬのが怖い。こんな結末は最悪だって思っている。血のつながりを今もどこか胡散臭く感じている。
 なのに、それでも今あたしはとてつもなく幸せを感じている。

(P239)

感想エントリは別にちゃんと書こうと思うんだけど初読時の衝撃を残しておきたいので睡眠時間を削ってこれを書きます。
あっちこっちからこの本はすごいぞすごいぞやばいぞというツイートはよく見ていたんですがもうなんかびっくりするほどすごかった。

「明日世界が滅ぶとしたらあなたはどうしますか」というよくある問い。
自分がもしというわけではなく推しがそういう場面に陥ったらみたいな感じで、考えたことがある人は多分多いと思うんだけど、この本は「1か月後、地球に小惑星が衝突します。どうにかしようといろいろやっていましたがどうにもなりません」という滅びの宣告がなされます。自分の命を賭して世界を救う宇宙飛行士は存在せず、滅びゆく世界が主に4人によって語られます。
いじめにあっていた高校生男子や、人を殺したヤクザ、恋人から逃げていた女性が滅びに向かう世界でどのように生き、過ごし、何を得ていたかがものすごく丁寧に、世界の荒廃とともに描かれます。

滅びゆく世界でも人は光や納得や理解や幸福を得る(ただし人によって差はあります)、なんだろうね設定から想像する鬱展開とか、絶望の中で見いだされる希望とか、そういう生やさしい言葉はなかった。ものすごくヘビーな本なんだけどこの本を読めてよかったという気持ちでいっぱいになっていまこれを書いている。

何でそういうのを書いているのかというとこの本は初刷限定で短編小冊子が封入されています。
滅びの前のシャングリラは発売前に重版しました。つまり世界にはもうこの素晴らしい短編がついていない小説が流通されているということだ。この短編はなにかに収録されることはないと聞かれています。が、ものすごいので読んでほしいんだよな。

推しの音楽を聞きながら世界が終わるなら、それは家にこもって最期の日を待つより上等なのではと思ったんだよなあ。

わたしは凪良ゆう作品と出会って、もう数年が経とうとしているんだけども、「ひとひとりの感情によりそって物語が丁寧に展開する物語が読みたい」と思っていて、その条件に適合するのがひとりが一穂ミチ、もうひとりが凪良ゆうでした。わたしの出会いがものすごくよかったのか、BL作家というのはそういう「感情に寄り添う物語」を書くことがうまいのか、数読んでないのでちょっとよくわからないんですが、「生きにくさを抱えている人たちがどうにかしてもがきながらもなにかを掴む話」というのが凪良ゆう作品でよくある話だと思ってます。それがすごくクリティカルにはまって今に至るんですが、流浪の月でどっかん世界に名前が知れ渡るようになったのは東京創元社の桂島さんが見つけてくれたおかげだし、神様のビオトープをめっちゃ売ってくれた梅田三番街の紀伊國屋書店の方々のおかげだと思うし、なんか「推しを生んでくれてありがとうと推しの親と世界にお礼をいう」みたいにわけのわからん謝辞を述べる程度には「滅びの前のシャングリラ」はものすごく面白い本でした。

ガッと書いて落ち着いたので寝ます!!! 明日ちゃんとした感想エントリを書くしこのエントリも残します。

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