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「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる  「繊細さん」の本

HSPという概念を提唱したアメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が行った調査により「生まれつき繊細な人」が5人に1人の割合で存在することが分かった。なんでそんなことを気にするのと言われるようなことが気になる、ストレスを感じやすい人が繊細な感性を大切にしたまま生きていきやすい方法を提案する実用書。鈍感になるとか気にしないとかではなくどう対処するか、みたいなノウハウが詰め込められている。

職場でピリピリした雰囲気が苦手で感覚を麻痺させているというのはカウンセリングでよく聞くけど、これは逆効果で嫌なものを感じにくくなるけど同時に生きる上での喜びやときめきも感じにくくなる。長い間感覚を閉ざしていると自分にとっての幸せもわからなくなる。感覚を遮断するのではなくまずモノで防ごう。人によって五感のうち鋭いものが違うけど眼鏡や耳栓や露出の少ない衣服で防ごうなど。
頼まれてないけど助けすぎるからトラブルに巻き込まれるとか、先回りして助けるからかえって助長するとか身に覚えがあるなーとかいろいろある。

ランチ酒

大森祥子31歳、バツイチ、子供はひとり(親権は元夫、月1面会中)。
今は22時から朝5時まで営業の見守り屋をやっている。見守り屋というのはその通り「見守る人」だ。レンタル何もしない人みたいなのではない。病気の子供がいるので見ててほしいとか、犬を見ていてほしいとか、家政婦のようでちょっと違うような、でもまあ、何でも屋だ。
22時から5時までとはいえ客の依頼によっては営業時間は前後する。だからランチ酒といっても祥子にとっては仕事終わりの1杯だ。
16話収録で1話あたりは短くそのほとんどはごはんを食べてるシーンだ。でも祥子のバックグラウンドのせいか、こう、「幸せなひと時」感が薄い時もある。まあだいたいドラマのワカコ酒だ。サクサク読める系。

谷中びんづめカフェ竹善 猫とジャムとあなたの話 (集英社オレンジ文庫)

鈴掛紬は生まれは茨城の兼業農家、1浪して今の大学に入学した。大学デビューは失敗して親しい友達は0、趣味は手芸、聖地は日暮里繊維街。ゆえに猫にも寺にも興味はないが谷中に居を構えている。今の悩みは実家から過剰供給される野菜の数々だ。こんなものもう捨ててやるとゴミ捨て場へ人参と玉ねぎを持っていき、そこで出会ったのが金髪碧眼見目麗しき外国人だ。セドリックと名乗る彼はこの近くでびんづめカフェを営んでいるという。処分するぐらいなら保存方法をお教えしましょうと、そういうことになった。

ジャムの定義が更新されるびんづめグルメ+日常の謎。2話の、ゆえあって不登校中のセドリックの義理の息子武流の家庭教師をするようになった紬と、「腐敗と発酵と熟成の違い」について。

読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書)

読書をしていないとはいえ文字を読んでいないわけではない。むしろSNSではめちゃくちゃ文字を読む時代。その中で本を読むことの効用、みたいな本。
特におっと思ったのは

驚くべきことに驚けるのは、実は教養があるからです。知識豊富で教養豊かな人は、もうあまり驚くことがないのではないかと思うかもしれませんが、逆なのですね。知れば知るほど、心の底から驚くことができるのです。知識がないと、何がすごいのかわからない、ぴんとこない、となります。

(P99~P100)

ここな、ほんまそれな。
先日NHKのドキュメント的なやつでやってたけど、北海道医科大学ではじまった新しい治療の、頚髄損傷の四肢麻痺の患者がその治療をすることで1年未満で独歩で退院するっていう治療がどんだけ魔法じみているかは知ってるからすごさがわかると思う。
お台場の未来科学館でみたやつ、「たぶんめっちゃすごい技術で動いてるのは分かるけど、どのぐらいすごい技術なのか分からん。おどろきどころがわからん」っていう感想だったもんな。

少女小説って面白いなって久しぶりに思ったのよ。いや普段は同人誌の感想は上げないんだけどこれはどう見ても俺案件だしほぼプロ作家だしいいだろってことであげます。ちなみに書影の画像は今noteにつながっていて通販が始まったらboothに差し替える。

「ご自身の愛した少女小説をください」という原稿依頼で作られた紅玉いづきさんを編集長とする少女小説の雑誌っぽい同人誌です。
本当に俺案件なんですよこの同人誌。だってまったく著作に触れたことないのは北川恵海さん木間のどかさんぐらい。他はまあ何かしら読んだことがある。豪華な顔ぶれだ。

ぺぺ、あなたの小説を読ませて/紅玉いづき
身に覚えがあるーーーー。いやわたしはライトノベルを称して「そんな漫画みたいな本読むのをやめなさい」と言われたことはないんだけど1なんかね、わかるんだよ。あーーーこういうのあったあったっていう。中学生の女の子が友達とわらわらしながら本屋で何かしら買ったリ読んだりする話です・

クウとシオ/若木未生
作品読むのめっちゃ久しぶりじゃない? オーラバを読んでてグラハーが好きでっていう世代です。
掌編というのにふさわしい短いおはなしなんだけど、そうそうこういうのだったって思い出した。

アミルと不思議な青い指輪/神尾あるみ
この7月に富士見L文庫からリデビューが決まった神尾さんです。
読み終わった感想は「イベリアじゃねえか!」だったローランなんだけど、そんな一部の人にわかりやすい説明をするとイスラム圏の世界観で魔法使いサラバントです。相変わらず「名前」を大事にする作品だなあと久しぶりに新作を読みながらにこにこしました。

白き寿ぎ/小野上明夜
商業では難しいものを、という視点で書かれた話だそうなんだけど、とてもブラック。とても地獄。好きか嫌いかでいうと好きな方で、湊かなえが好きな人は好きだと思うよって思います。
小野上さんのnoteにあいさつ代わりに載ってる短編がどう考えても重い地獄なのでこれが好きな人は大丈夫です。
COMITIA128お疲れ様でしたと通販について|小野上明夜|note

ブルージャスミン/木間のどか
一時期少女小説界隈では「今の少女小説には姫嫁巫女しかない」なんていわれ方をしていましたがこれはそのうちの嫁です。王道です。LOVE。

永遠の30min/北川恵海
昔のコバルトみある。

あなたと彼女たちについて/七木香枝
これはエッセイ。わたしはこれを書いている七木さんと交流があるんだけど、いつ読んでも本に対する姿勢が真摯。あと年齢不詳。
出てくる小説がどっちかというと同世代に近い。最近はめっきりライト文芸を読んでいるけどさよならしてないなあと改めて思った。

黄金と骨の王国〜半竜人と死せる第一王女の章〜/栗原ちひろ
つづき はやく
誤解のないように一応書いておくとこの話でいったんの解決は見ている。でもそれと続編を望む声は別だろう。ラノベの1巻とはそういうものだろう。
すごく好き。

ということでわたしと本の趣味が似ている人は多分好きだと思うので、通販が始まったらぜひとも読んでほしい1冊。

居酒屋「少女文学倶楽部」|紅玉いづき|note

  1. 言われたことがあるとしたら物心つく前の話で、わたしは英語の辞書を読んでいたらしいです。母はわたしを本を読む子に育てたかったらしいけど「そんなん読んでも分からんだろうに気持ち悪い」というたことがあるとかなんとか []

「言葉にできる」は武器になる。

「神の書いた本の感想を送りたいけど語彙がないから何も送れない」とか「推しのプレゼンがしているけどいまいち伝わらない」という人におすすめの1冊です。
途中でA4用紙最強、アウトプットをすることで頭の容量に空きができて考える余地が生まれるという話に流れてきて、最近アウトプットの話めちゃくちゃよく読むんだよなと話題の合流を感じた。

ある出来事に対して、どういう感情が生まれるのか。
そして、どういった内なる言葉が生まれるのか。
つまり、あるインプットに対して、どういった感情をアウトプットするのか。

こうした自分の本当の気持ちに丁寧に向き合うことこそが、外に向かう言葉に変化をもたらすだけでなく、今後の人生を変えていくことになる。

(P41~P42)

仮にどんな難しい言葉や、美しい言葉を知っていたところで、自分の気持ちを伝えることに役立てられなければ意味がない。縦横なのは、単なる語彙力ではなく、考えていることや伝えたいことを正確に表現するための「内なる言葉の語彙力」を増やすことである。
近年で言えば「かわいい」や「ヤバい」といった、多くの感情を省略して伝える言葉が分かりやすい。こうした言葉は実に便利なのだが、便利だからと言って多用していると、自分の心の琴線を鈍らせることにもつながるので注意が必要だ。

(P39~P400)

そこで、私がお勧めしたいのは、文章を書いた上で「と思う」「と考える」といった言葉を一度排除してみることである。
その時に「これはちょっと言い過ぎだな」と感じてしまうのであれば、自分の本気度が足りていない証拠になる。逆に「しっくりきたな」と感じれば、断言できるだけの決意や熱意がある状態と言える。

(P192)

気持ちを「言葉にできる」魔法のノート

こっちは実践、というか上の本を相当かみ砕いて文体もやさしくして小学生でも読めるレベルにしたという感じ。

傲慢と善良

「結婚とは?」っていう感じの1冊。
結婚をまもなくに控えた恋人真実が行方をくらませた。ストーカー被害に怯えて架の家に転がり込んでしばらくしてからのことだった。誘拐されたのかもしれない何か次事件に巻き込まれたのかもしれないと警察には相談したが「ストーカーの名前も分からないのでは捜査はできない」「事件性を感じない」と言われ、架は真実が自分と出会う前、群馬在住時代にお見合いなどをしていた相手の話を聞き、ストーカーについての情報を探そうとしていた。

辻村深月の男性視点の小説は珍しい気がする、と思いながら読んでいたけど、婚活周りは息が詰まるようだった。行きついた先の、あの最後の1行の「おいマジか」というよりほかない終着点と、視点が変わった後の攻撃力3倍増し。いやうちに監視カメラついてるんかと思うようなオンパレードでとてもしんどい思いをした。息が詰まる(というとさぞ派手な展開かと思われるかもしれないがやってることは地味は聞き込みである)展開からの攻撃力の高い鈍器での撲殺祭りだぞ。いつものことだがしんどい。

もしかして、と思えば青空と逃げるの登場人物が出てきた。

ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -

ミニマリストを名乗る人が書いた本は何冊か読んだけどこれはなかなかしっくりきた。
「ミニマリストとは」「捨てよう!」「実際に物を捨てるための心構え、テクニック」「モノを最小限にしたことによる自分の変化」
面白かった。

モノを捨てることは刺激的だ。スッキリするし、捨てられた自分の勇気も確かめられる。だから捨てることの刺激にハマると捨てることが至上命題になってしまい、「捨てたい病」にかかってしまうことになる。(略)
モノを「減らす」ことも「持つ」ことも刺激があり、快感がある。だから「減らす」こともに「持つ」ことと同じように依存したり、執着してはならない。減らしたいと思ったときに、「これは本当に必要なモノだろうか?」と問いかけることは大事だ。それと同様に「これは本当に捨てるべきモノだろうか? 減らす目的のためだけに、減らそうとしてないだろうか」と問いかけることだって必要だ。

(P168)

「経験」はどちらが優れているか比べづらく「モノ」はすぐに比べられる。比べられる「モノ」の方が「自分の価値」も確かめられやすい。
だけど実際には幸せの「持続時間」が長いのは経験の方だ。だから誰かと比べるためにモノを買うより、行動力を上げて経験を積み重ねた方が、はるかに豊かに感じられるようになる。そして経験は人とは比べにくいものだから、特別な経験でなくていい。

(P209)

“オフィスのプロ”だけが知っている キングジム 人も組織もうまくまわりだす 超整理術213

主にはオフィスの整理術って内容で家庭・個人で活かせる部分はまあまあ少ない。

せっかく机の引き出しのなかで所定の位置を定めても、同じ分類の新しい書類が次々加わったら、すぐに入りきらなくなります。
引っ張り出したのはいいけれど、元の場所に戻せないかもしれません。机の上に山ができる原因ともなります。置き場所、戻す場所を決めるときに、いつまで置いておくかも同時に決めることが必要です。

(P95)

「何をどうしたらいいのか、もっと細かく具体的なノウハウを知りたい」
「そのまま真似できる正しいやり方を説明してほしい」
 整理術にについてそうした声が上がることは多くあります。そこで心に留めておいてほしいのが。どんな人にも、どんな状況にもあてはまる絶対的正解はないということです。(略)
「理由はよくわからないけど、言われた通りにしてみる」という状態では狙った効果はなかなか得られないでしょう。根幹をなす考え方をまず理解し、身につけ、それなら自分の場合はどうしたらいいかと個別の状況に応じて最適な方法を導きだすことをが重要です。

(P125)

死神執事のカーテンコール (小学館文庫)

冷蔵庫にテンションがあがった作品です。冷蔵庫がなんたるかは言ったらあかんやつだけどそんなガッと割かれているわけではないけど、えっ冷蔵庫なん、まじかとドキドキしたワンシーン。

主人公の猪目空我は少年探偵役で人気を博した子役崩れのイケメンで自称名探偵で筋トレ大好きの筋肉バカで、わたしの半径1クリックで片手で足りるぐらいしか分からない例えをするとまあだいたい広沢悠真。猪目は古い屋敷の一角を借りて探偵事務所を開いている。ここには古式ゆかしき執事とお嬢様が住んでいるのみだ。

タイトルにもなっているのでこれはネタバレにはならないけど、この執事は、死神だ。死にゆくものに乞われた場合「カーテンコール」で3回だけ現世によみがえることができる。というても死者がよみがえるちょっといい話系ではない。ヒーリングファンタジーを歌いそうな作品にはあんな冷蔵庫出てこない。
でも執事と猪目のやりとりはいいんだよ。意外と探偵をばっさりdisってくるお嬢様もいいんだよ。
とても面白かった。

「知らなかったのか。白ワインはカロリーが高いんだ。酒は全体的に理性を緩めるから筋肉にはよろしくない。やはりいいのはプロテインだ。君も男の太ももののロマンがわかるんだから、もう1歩踏み込んで体作りをしてみるのもありじゃないか?」

(P142)

わたしが思う広沢悠真み(共感できる人がそもそも少ない)

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