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死神執事のカーテンコール 時限爆弾の少年 (小学館文庫キャラブン!)

しみじみよかったです。1巻は大体「冷蔵庫がよかったです」と言ってたんですがいやあれ冷蔵庫めっちゃいいからな!!!!! 冷蔵庫の何がいいのかは1巻を読んでくれ!!!!!

猪目さんはツッコミをする広沢悠真だな……と思っていたんですが(広沢悠真については以下のURL参照)やっぱり2巻も広沢悠真してるな……と思いました。具体的にどこが広沢悠真かというと筋トレ大好き面白超人。

広沢 悠真(@FIN_hirosawa) - Twilog
S+hとFrepの、ネコの手も貸したい旅【砂漠で化石掘ってハンモック! 編晃&悠真】

好きなのは「カーテンコールと時限爆弾」の何とも言えない重さ&切なさ。
そして一押しは「この世の果てのカーテンコール」でしょう。これはスーパー銭湯で薔薇風呂に浸かる3人という、文字面だけでも映像的な圧が強すぎる面白さもさることながらラストがすごく好き。わたし的に分かりやすくいうと新井素子テイスト。

新人メイドの話では執事が案外ポンコツなところも愛しいです。別荘は漢のロマンの塊。

進撃の巨人 果てに咲く薔薇(上) (KCデラックス)進撃の巨人 果てに咲く薔薇(下) (KCデラックス)

このエントリは進撃の巨人原作22巻までのネタバレを含んでいます。

この本は進撃の巨人が海を渡ってアメリカで書かれた2次創作を逆輸入して紅玉いづきが改稿・再編した駐屯兵団の物語です、というやつで。つい先日まで進撃の巨人無料キャンペーンをやっていた影響で3日で29冊再読して(ちなみにうち3冊4冊ぐらいは1日が待てなくてガッと紙で再読した)ついに積読だったこれも崩した。

王家の血筋を引く貴族のロザリーは憲兵団学校とも呼ばれている士官学校から駐屯兵団へ入団した。兵士ごっこはもうやめて結婚しろという父の猛烈な反対をなんとか収めての(あるいは少し現実を見ればシーナへ戻るだろうという)トロスト区入りだった。

こちらにも最強が登場する。人類最強ではなく駐屯兵団最強の死神だ。進撃の巨人だけどそんなに死なない。ラブ寄せはある。下巻まで読んでようやく時系列がわかった(シガンシナ陥落〜2巻1話の間ぐらい。)
とても切なくなったのはロザリーもジャクソンもこんなにも主人公なのに海にはたどり着けなかったんだなということだ。いやまあそこは正史ではないから何らかの事情で離脱しているかもしれないしかし最強だ。もしかしたら女型でエレンを守って死んでいるかもしれない。
あとじわじわ面白かったのは

「なにがあっても、生きることを諦めるな。ここまで生きた……俺の生き方も、否定はしないでくれ」

(P178)

で、脳内でNoelがログインして最果てのLを歌っていった。俺の生き方も否定しないでくれ俺達は弱いNein〜 #グラサン違い。

進撃祭りを絶賛開催したのでわたしはついにマガジンポケットに課金して本誌派になり替わろうと思います。

ウチら棺桶まで永遠のランウェイ

たまに行く本屋でずっと長い間平積みにされてるんだよなこの本。何の前情報もなく手に取ってみたけど、最初がカラーページでグラビアっぽいから多分モデルとかそっち方向の人なんだろうなあなんて思っていたが、多分そんな感じだと思う。著者略歴を見ていたら「あげみざわ」の語源はこの人らしい。ギャル方面に人気がある人なのかな。
内容は人生振り返り(95年生まれの23歳)だったり、人生相談あるある質問に対する回答だったり軽いノリで雑談しながら「わかるー」「それなー」「めっちゃいいこというじゃん」と相槌を打ちながら読める本だ。日テレ森アナがインスタでやっているスナック森介が好きな人は多分好きな軽妙さ。

自分の好きなことを発信して、評価を得たいっていう願望は普通のことじゃない? みんなそうじゃないかな。それに夢によっては数字が必要な時もあるし、数字を完全に否定するのも違うじゃんって思う。

(P78)

継続と努力は自分を盛るための最強アイテムでしかない。

(P180)

私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

ある夕方、まだ小学生だった幕居梓は大好きな、ずっと心のよすがにしていた小説を胸に抱いて踏切の前に立っていた。ここに来たのは命を絶つためだ。次こそ、次こそと1歩が出ないうちに声がかけられた。「その本、俺が書いたんだよ。俺の本持って死なれたら迷惑だからやめてくれる?」
梓の「神様」との出会いだった。
これがまーーーーすーーーーごくよかったのだ。いや小学生から成長していく少女と青年が描くハートウォーミングストーリーかというとそうではない! いやそういう要素もある。でもそこじゃないんだこれが。信仰と崩壊の話なんだ。できれば裏表紙のあらすじを見ないで読んでほしいんだけどあきらかに狂ってるわけだよこの2人。でもそうは読めなくてものすごく普通なんだよえ、すごいなそれなんだ!?
才能が人を殺すんだよ……。いやこのラストさ、このあとどうなるんだよと胸倉捕まえてがくがくしたくなる感じだよ。
作中に「エレンディラ断章」って出てきて、えっエレンディラ!? ってなった。

エレンディラ (ちくま文庫)
ガブリエル ガルシア=マルケス
筑摩書房
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少女七竈と七人の可愛そう大人たち」が世の中に出たとき、桜庭一樹読書日記で「エレンディラっぽいよね」というのを見たので、気になりつつ反復横飛びしていて今に至るのだ。

凄いものを読んだ

作家の人たち

作家(編集)残酷物語である。本に関わる人々が「なんでも願いをかなえてくれる悪魔」と会うみたいなファンタジーな話があれば、これ小説ではなくて実話怪談では??? という話もある。たとえば京極夏彦に似て非なる経歴の「結局尚彦」のような新人を探せと持ち込み新人賞面接を始めたら…………みたいなはじまりかたの、リアリティを感じられる怪談だ。
「結局尚彦」のようにこれ貫井徳郎とか、これ東京創元社のK島さんとか、これ電撃文庫、とかネタ元が分かるやつ満載だ。
わたしが好きなのは「夢の印税生活」「持ち込み歓迎」「らのべっ!」。

「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる  「繊細さん」の本

HSPという概念を提唱したアメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が行った調査により「生まれつき繊細な人」が5人に1人の割合で存在することが分かった。なんでそんなことを気にするのと言われるようなことが気になる、ストレスを感じやすい人が繊細な感性を大切にしたまま生きていきやすい方法を提案する実用書。鈍感になるとか気にしないとかではなくどう対処するか、みたいなノウハウが詰め込められている。

職場でピリピリした雰囲気が苦手で感覚を麻痺させているというのはカウンセリングでよく聞くけど、これは逆効果で嫌なものを感じにくくなるけど同時に生きる上での喜びやときめきも感じにくくなる。長い間感覚を閉ざしていると自分にとっての幸せもわからなくなる。感覚を遮断するのではなくまずモノで防ごう。人によって五感のうち鋭いものが違うけど眼鏡や耳栓や露出の少ない衣服で防ごうなど。
頼まれてないけど助けすぎるからトラブルに巻き込まれるとか、先回りして助けるからかえって助長するとか身に覚えがあるなーとかいろいろある。

ランチ酒

大森祥子31歳、バツイチ、子供はひとり(親権は元夫、月1面会中)。
今は22時から朝5時まで営業の見守り屋をやっている。見守り屋というのはその通り「見守る人」だ。レンタル何もしない人みたいなのではない。病気の子供がいるので見ててほしいとか、犬を見ていてほしいとか、家政婦のようでちょっと違うような、でもまあ、何でも屋だ。
22時から5時までとはいえ客の依頼によっては営業時間は前後する。だからランチ酒といっても祥子にとっては仕事終わりの1杯だ。
16話収録で1話あたりは短くそのほとんどはごはんを食べてるシーンだ。でも祥子のバックグラウンドのせいか、こう、「幸せなひと時」感が薄い時もある。まあだいたいドラマのワカコ酒だ。サクサク読める系。

谷中びんづめカフェ竹善 猫とジャムとあなたの話 (集英社オレンジ文庫)

鈴掛紬は生まれは茨城の兼業農家、1浪して今の大学に入学した。大学デビューは失敗して親しい友達は0、趣味は手芸、聖地は日暮里繊維街。ゆえに猫にも寺にも興味はないが谷中に居を構えている。今の悩みは実家から過剰供給される野菜の数々だ。こんなものもう捨ててやるとゴミ捨て場へ人参と玉ねぎを持っていき、そこで出会ったのが金髪碧眼見目麗しき外国人だ。セドリックと名乗る彼はこの近くでびんづめカフェを営んでいるという。処分するぐらいなら保存方法をお教えしましょうと、そういうことになった。

ジャムの定義が更新されるびんづめグルメ+日常の謎。2話の、ゆえあって不登校中のセドリックの義理の息子武流の家庭教師をするようになった紬と、「腐敗と発酵と熟成の違い」について。

読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書)

読書をしていないとはいえ文字を読んでいないわけではない。むしろSNSではめちゃくちゃ文字を読む時代。その中で本を読むことの効用、みたいな本。
特におっと思ったのは

驚くべきことに驚けるのは、実は教養があるからです。知識豊富で教養豊かな人は、もうあまり驚くことがないのではないかと思うかもしれませんが、逆なのですね。知れば知るほど、心の底から驚くことができるのです。知識がないと、何がすごいのかわからない、ぴんとこない、となります。

(P99~P100)

ここな、ほんまそれな。
先日NHKのドキュメント的なやつでやってたけど、北海道医科大学ではじまった新しい治療の、頚髄損傷の四肢麻痺の患者がその治療をすることで1年未満で独歩で退院するっていう治療がどんだけ魔法じみているかは知ってるからすごさがわかると思う。
お台場の未来科学館でみたやつ、「たぶんめっちゃすごい技術で動いてるのは分かるけど、どのぐらいすごい技術なのか分からん。おどろきどころがわからん」っていう感想だったもんな。

少女小説って面白いなって久しぶりに思ったのよ。いや普段は同人誌の感想は上げないんだけどこれはどう見ても俺案件だしほぼプロ作家だしいいだろってことであげます。ちなみに書影の画像は今noteにつながっていて通販が始まったらboothに差し替える。

「ご自身の愛した少女小説をください」という原稿依頼で作られた紅玉いづきさんを編集長とする少女小説の雑誌っぽい同人誌です。
本当に俺案件なんですよこの同人誌。だってまったく著作に触れたことないのは北川恵海さん木間のどかさんぐらい。他はまあ何かしら読んだことがある。豪華な顔ぶれだ。

ぺぺ、あなたの小説を読ませて/紅玉いづき
身に覚えがあるーーーー。いやわたしはライトノベルを称して「そんな漫画みたいな本読むのをやめなさい」と言われたことはないんだけど1なんかね、わかるんだよ。あーーーこういうのあったあったっていう。中学生の女の子が友達とわらわらしながら本屋で何かしら買ったリ読んだりする話です・

クウとシオ/若木未生
作品読むのめっちゃ久しぶりじゃない? オーラバを読んでてグラハーが好きでっていう世代です。
掌編というのにふさわしい短いおはなしなんだけど、そうそうこういうのだったって思い出した。

アミルと不思議な青い指輪/神尾あるみ
この7月に富士見L文庫からリデビューが決まった神尾さんです。
読み終わった感想は「イベリアじゃねえか!」だったローランなんだけど、そんな一部の人にわかりやすい説明をするとイスラム圏の世界観で魔法使いサラバントです。相変わらず「名前」を大事にする作品だなあと久しぶりに新作を読みながらにこにこしました。

白き寿ぎ/小野上明夜
商業では難しいものを、という視点で書かれた話だそうなんだけど、とてもブラック。とても地獄。好きか嫌いかでいうと好きな方で、湊かなえが好きな人は好きだと思うよって思います。
小野上さんのnoteにあいさつ代わりに載ってる短編がどう考えても重い地獄なのでこれが好きな人は大丈夫です。
COMITIA128お疲れ様でしたと通販について|小野上明夜|note

ブルージャスミン/木間のどか
一時期少女小説界隈では「今の少女小説には姫嫁巫女しかない」なんていわれ方をしていましたがこれはそのうちの嫁です。王道です。LOVE。

永遠の30min/北川恵海
昔のコバルトみある。

あなたと彼女たちについて/七木香枝
これはエッセイ。わたしはこれを書いている七木さんと交流があるんだけど、いつ読んでも本に対する姿勢が真摯。あと年齢不詳。
出てくる小説がどっちかというと同世代に近い。最近はめっきりライト文芸を読んでいるけどさよならしてないなあと改めて思った。

黄金と骨の王国〜半竜人と死せる第一王女の章〜/栗原ちひろ
つづき はやく
誤解のないように一応書いておくとこの話でいったんの解決は見ている。でもそれと続編を望む声は別だろう。ラノベの1巻とはそういうものだろう。
すごく好き。

ということでわたしと本の趣味が似ている人は多分好きだと思うので、通販が始まったらぜひとも読んでほしい1冊。

居酒屋「少女文学倶楽部」|紅玉いづき|note

  1. 言われたことがあるとしたら物心つく前の話で、わたしは英語の辞書を読んでいたらしいです。母はわたしを本を読む子に育てたかったらしいけど「そんなん読んでも分からんだろうに気持ち悪い」というたことがあるとかなんとか []
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