カテゴリー「 単行本 」の記事

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終わる世界のアルバム

ある日突然前触れもなく人が消えてしまう、そして「消えてしまったこと」が認知されず「元からいなかったもの」として記憶と世界が修正されてしまう世界の話。

塩の街とか外道王子を思い出した。
塩の街よりずっとずっと感傷的に叙情的にした感じのしんみり系。

人が消えていく世界で、写真を撮ることでそのひとの記憶を残しアルバムという墓標を作る主人公の僕。
「人が消えていることをただひとり認知してしまう」事実から自分を守るように人から距離を保っている。

滅びに向かう世界の話をするのではなく、その中で暮らす少年少女の話が語られる。
喪失と別れと繊細な動きが描かれている。誰か消えていないか教室の机の数を数えるくせがついた僕はある日机が一つ増えていることを知る。僕に写真をとられることを極度に嫌がる奈月と幼馴染みの莉子。

序盤で出てくる先生とかカメラ屋の親父さんとかはもうちょっと長く出ていて欲しいなと思った。
そいて恭子かあさーん、ととても思った。突然消えるのではなく、もうすぐ消えることを知ってしまった僕の胸のうちは、と思った

本に埋もれて暮らしたい (桜庭一樹読書日記)

桜庭一樹読書日記第4巻。製鉄天使のサイン会とか伏とかばらばら死体の夜とか準備段階のGOSICKとか。
製鉄天使と伏はまだ未読である。発売日付近に買ったのに!
読書日記は毎月のお楽しみとして読んでいるけど雰囲気が変わってまた新鮮な気分……と思いながら読む。
がっつがっつと本を読んで暮らしたいものだ。

巻末付録の女子会を読みながらいいなあと指をくわえる。

桜庭 一つのジャンルを、がーっと読んで詳しくなるんじゃなくて、全体のバランスを取りながら、小説という文化全般をうっすらとよくわかりたい、というか。

(P292)

わたしも多分こっちだ……というかこっちでありたい。
ただし国内に限るなんですが。

アンダスタンド・メイビー〈下〉

綾乃は久しぶりに出てくる「女の子」「優しい」「友達みたい」だったので癒されたなー。
相変わらず黒江がなんだか放っておけない感じの危なっかしい子で、あの日送られてきた写真の詳細にわーーー(゚д゚)ってなる。両親共に大概である。
師匠の仁さんはいいやつだ。救われたような気分になる。

謎解きはディナーのあとで

そういえばここに死体を捨てないでください!が気になっていたんだよなあと思った日。

プロ野球選手になりたかったけど色々あって警察官に落ち着いた、中堅自動車メーカーの御曹司の風祭警部。
その風祭家より大きな大企業の娘で残念な上司を持った宝生麗子。
宝生家の使用人、30代半ば、銀縁眼鏡の長身執事影山。

バカボン風祭に悩まされる麗子1が捜査について助言を影山に求め、丁寧に罵倒されるという短編集。
安楽椅子探偵系。そういえば人が死ぬミステリ読むのは割と久しぶりなんじゃないだろうか。有栖川有栖を除いてはめっきりと日常の謎系が幅を利かせていた。
雰囲気としてはとてもライトである。

他の作品も読んでみたい。

  1. といっても麗子もふつうのひとだ。 []

竜が最後に帰る場所

エソラで連載されていたもの。
鸚鵡幻想曲だけは既読。
迷走のオルネラは読みながらすごく衝撃を受けてもうちょっと落ち着かないと寝れないぞ……とふらふらしていた。
夜行の冬は好き過ぎて死ぬ。錫に呼ばれて夜の街を歩く。知らない街にいつの間にか自分の家が用意されている。再び錫の音に呼ばれて外に出る。夜の街を歩く。
夜行様に案内され歩く人々の道行きは気楽な夜歩きではない。
元の家にはもう戻れない。次の夜にはもしかしたらもういないかもしれない。脱落したら喰われる。
こういう話には毎回コロっといってる気がする。草祭が好きな人は好きなんじゃないだろうか……どうだろうか。

ふと外の遠く離れたところに妙なざわめきを感じとり、活字から目を離して耳を澄ました。
シャランという鈴のような音と、雪を踏む音、少しくぐもったががやがやとした話し声。そうしたものが混ざり合った気配。
気のせいではなかった。
ああ、《夜行様》だと、思った。酔っ払いの集団ではない。音にそれとわかる独特の陰りがある。

(P105〜P106)

アンダスタンド・メイビー〈上〉

あられもない祈りとかよりは大分明るくて、でも明るいといっても壁井ユカコの「NoCall Nolife」ぐらい。
羽場先輩はかっこいい。いや今のところ浦賀氏が気になってるところです。

主人公は黒江という女の子で、話が始まった当時はまだ中学生。茨城が舞台。
でその黒江ちゃんが付き合ったり別れたりしつつ、新しい友達新しい彼氏新しい世界に飛び込んでいく話です。
すごく軽い話に見えますが、じっとり重い。新しい世界に飛び込んでいくというか飛び込まざるをえない。
でも島本作品の中では割と明るいほうだと思う。

「大人になるのなんてやめよう」(P78)とか「本当に、二人で遠くに」「いいよ」(P250)とか好きなんだ。
だが、 \ 賢治ーあうとー! / あの男は駄目だ。人を駄目にする男だ。

空の名前が出てきてびっくりした。

空の名前

空の名前はちょういい。このシリーズはよい。

映っていた体が、樹木の枝よりも頼りなく、左右に揺れた。窓ガラスの上の方まで細い紐の影が伸びていた。
ああ首吊りだ、と思うと同時に、私はもう死んでたんだ、と気づいた。

(P71〜72)

ぶらん子で青髭!

CLAMPもこなのオキモノキモノ

着物着ようぜっていうエッセイとか対談とか写真とか指南本的な。
着物は「成人式」「冠婚葬祭」「お年を召された方が着ている訪問着」ぐらいの印象しかない。
にざかなのかなさんの「相方不在」が好きなんだけどカラー、というか実写になるとこんなにもすごい。
とても華やか。

密姫村

メインは昭和30年代〜50年代。ちょいグロ。

新婚間もない植物学者の夫と医者の妻の物語からはじまる。日本にはいないはずの不思議な形状の蟻をみつけたと、山上はフィールドワークのため1年間瀧楚上村へ行くことをきめ和子もそれについていくことにした。
瀧楚上村は高齢化の進む集落の上無医村なのである。
山上はすぐにでもフィールドワークに出たかったが、小さな村だからよそ者には不審な目を向けられるとまず案内に連れて行かれる。この村には「集落の人間以外入ってはいけない社がある」と聞かされる。
この村には過疎の村には似つかわしくないところがあった。あまりにも健康すぎるのだ。
和子は聴診器やら血圧計片手に「健康診断をします。もちろん無料です」と老人に声をかけるがまったく相手にされない。病気をする者は確かにいるのだがが次の朝には何事もないかのように畑仕事をしていた。

壷が非常にぐろかった! 
お優とべにと大蜂の3人はよかった。昭和51年最高。

往復書簡

手紙形式でつづられる物語。書簡体でもモリミーの恋文の技術とは違い、ちゃんと往復なのである。一方的に送られる手紙ではない。10年後の卒業文集がいいな!

神様のカルテ 2

惜しい人を亡くすシリーズ。
24時間365日地域医療を支える1病院の医者とその患者の物語。
まあ現実と重ね合わせて色々とおもうところはあるのです。あとコーヒーの効能について。
前巻は病院外での話がなかなか多かったですが今回は病院内がほとんどでしたね。
1分間の停電は小説ならではのとても良いシーンだと思います。

  1. たぶん急性期 []
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