カテゴリー「 小説 」の記事

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テンペスト 下 花風の巻

下巻は真鶴VS寧温みたいな感じだったな……
上巻ほどばたばたしてなかったけど、入れ替わり激しい。なんかペリーがいきなり出てくるし。
真美那が可愛かったですね破天荒お嬢様、後に母の人。
あと真牛がここまで話に絡んでくるとは思わなかった。

テンペスト  上 若夏の巻

濃かった……
明治時代ぐらい(多分)の琉球王国の話。
二重支配とか冊封とか懐かしいなあと思ったかつての日本史選択生。

母は難産のあまり命を落とし、父は男の子が生まれるのを期待しすぎ、生まれた女児に名前を付けられなかった。真鶴という名前も自分でつけた名前だった。
父の望みは「科試(首里城王宮勤務のための超難関の試験)を突破する男子」
父の期待は兄・嗣勇に向けられた。しかし嗣勇は学問の才能はあまりなかった。そしてとうとう兄は父から逃げだした。
真鶴は兄をかばい性別を偽り、父が男が生まれてくれば名づけるはずだった名前である「寧温」と名乗り科試を受ける。

王宮に上がってからも一難去って一難。ただしいちいちの難のレベルが嵐。怒涛の展開。
内容濃すぎるよ!
寧温が女としての自分を必死で殺そうとしている姿にきゅんとした。
歴史小説なんかとおもってたらとても現代的なカタカナ語が出てくるのでびっくりした(でも慣れた

ある日、アヒルバス

東京を回る観光バス、アヒルバスのバスガイドの話。
雰囲気的には笑う招き猫に近いような感じがしました。
バスガイド暦5年、23歳の秀子(通称デコ)はわがままなツアー客に振り回されたり、イーッとなりながら仕事に励む毎日。
春、今年のアヒルバスのバスガイドの卵は4人。秀子はその新人指導員に選ばれる。

秀子に老チャットモンチーと名前を付けられた(口に出して呼んだりはしないけど)3人のおばあちゃんズがキャラが濃いです。こんな人らたまに見るよなっていう感じのリアルさでした。
鋼鉄母さん(アヒルバスのバスガイドで珍しい40超えた正社員。ガイドのほかにも新人指導等をこなす)の息子はなんであんな口調なんだろうか(読み飛ばしたのかなー
亜紀が革命革命いってた割には革命らしいことはなかったような……
凸凹デイズの登場人物がちらりと出ていたのでおおっと思った。

ファミリーポートレイト

これは凄く好きだー。
桜庭作品のあれこれの匂いがする(読書日記込みで)。冒頭は推定少女(逃げようぜ巣篭カナ!)と私の男(淳悟と花)ぽいなあと思った。帯とか宣伝とか本文とかあっちこっちにある

あなたとは、この世の果てまで一緒よ。呪いのように。親子、だもの。

これはマコのセリフだと思ったらコマコだったんだなあ。

「犬の心」で語る駒子はシェーラザードみたいだ。(だからボクシング・マイ・ブラザーの ラストで首を狩られたーとおもった。

原初の記憶とボクシング・ユア・ドーターと文字に眠ると愛の、発見?が特にとても好きー。
第1部のコマコと各所での本の出会い、第2部の駒子と小説(特に語るところ)が好きで自分の読書体験を思い返す。
長い物語でとても読み甲斐がありました。ごちそうさまでした。

「自分がものを表現するのは、世間から賞賛されたいわけでも、なにが欲しいわけでもなくて、たったひとりで孤独に震えてる、誰かの、夜にやさしく滑り込みたいからだ、と言っていたやつがいた。ぼくはそれ、わかんないけど、わかるなぁと思ってね。だからいま、君が、ぼくのつくった本を無心に読んでる横顔を見てちょっとだけ幸せな気持ちになれたよ。それを書いた作家はとっくに野垂れ死んでるけど、ま、死にがいもあったってもんだ」

(P286)

七つの海を照らす星

家庭では暮らせない子どもが生活する児童養護施設「七海学園」が舞台の日常の謎系の連作短編。
私(北沢春菜・24歳・七海学園2年目の保育士)がであう謎と学園の七不思議。

これ好きだー。具体的には「今は亡き星の光も」「血文字の短冊」「夏期転住」
血文字の短冊は冷たい校舎のHEROみたいだなー。虐待とかDVとか無戸籍児童とか扱ってるテーマは重たいのに軽めで読めた。

窓のあちら側 (ふしぎ文学館)

新井素子自薦短編集。未収録作品も収録しているよ!な1冊。

グリーンレクイエムと眠い、ねむうい由紀子が好きだー。なんかさらっと星へ行く船の第2作が収録されてたけど、これは星へ行く船を読んだ後また借りてきて読むこととするー。

収録作品:
グリーンレクイエム・ネプチューン・雨の降る星、遠い夢・季節のお話・眠い、ねむうい由紀子・影絵の街にて・大きなくすの木の下で

深泥丘奇談 (幽BOOKS)

鬱々としていて登場人物が胡散臭くていい。いい世界観。
「長びく雨」と「サムザムシ」が好き。

装丁が凄くいい仕事をしていた。凝ってる。

きのうの世界

水路が巡らされたとある田舎町で起こった殺人事件。
月の裏側っぽいなあとか思ったり、2人称が押し出されていたり、視点がころころ変わるのでなんだこれはーと思った。この何だか不吉な感じと焚き火の神様とかはとてもときめくけど、あんまり好きな感じではなかった。

「そこに、お昼になる前に赤いものを結んでおかないと駄目だから」
「どうして赤いものを結んでおかないと駄目だから」
慶吾は辛抱強く質問を続けた。子供を相手にする時は、子供の頭の中の思考スピードに合わせなければ答えを引き出せない。
「でないと、助からないの」

(P372)

夏のくじら

懐かしい……!
東京で育った篤史は高知大学進学を機に祖父母の家へ移り住んだ。
町内会でよさこいチームを復活させることになり、それに参加することになる。

土佐弁もよさこいの練習シーンから本番からいろいろ出てくる。
私は本場のものこそ見たことありませんが、大学時代は2年ほどよさこいを踊ってました。
とても懐かしい。
(ちなみに阿波踊り王国にあってよさこいを選んだのは「この機会を逃したら一生縁がないと思うから」です)
読んでて、鳴子の音がなんか聞こえてくるし、歌も聞こえてくるし実際ちょっと踊ったりしておりました。

振りはそれらをふまえ、はじけるような元気のよさをちりばめながらも基本、隊列美を尊重する高度な群舞をめざしていた。腕を差し伸べたときの鳴子の角度、くるりとターンするときのスピード、決めポーズの時の腰の高さまでひとりひとりダメ出しされる。

(P165)

懐かしい懐かしい!と思ったシーン。
毎日3時間とか普通に練習してたなあとか、いざ指導する側に回った時の難しさとか、いかにして目立つかとか(←とても重要)カチャーシー踊ったりとか(エイサーチームもあった)大学時代を回顧してみるのです。

県内どっかでよさこいサークルとかないだろうか(ないよなあ。

初恋素描帖 (ダ・ヴィンチブックス)

ショートショート。14歳の初恋1クラス分。か わ い す ぎ る 
とても好きなのが佐原さんと武田君で!

「え、なに、告る気?『わたし、もじもじ……ずっと武田のこと好きだったの!』みたいな」
(略)
「アンタなんかに告るわけないじゃん、ただアレだもん、今度の学祭に漫才コンビ組んで出ない? って言いたかっただけだもん!」

(P139?140)

佐原さん視点と武田君視点両方読めるとか死ぬ。青すぎて死ぬ。

佐々木さんも好きだ。

私はこうして小さな幸福を貯めるのだ。部活で会うだけの西村先輩との会話、きれいに切り取ることができた空と先輩の絵、そういうのを記憶に貯金する。家に帰ってからなんどもなんども確かめる。食事の後片付けをしながら、ブラウスにアイロンをかけながら、ずっと思い返している。
それだけでいい。

(P79)

告白しないままに終わるオチかとおもったら何だあの切ないオチ。
ほしいものはなんでもあげる みたいな。

インパクトがありすぎた一文は

美しい。美しすぎてのたうちまわりたい。

(P113)

名前が鍵太郎だったためにうっかり生徒会@富士見ファンタジアの鍵が頭をよぎっていきました。
森君も好きだな。こっちが本当の夏だ!とかいってるところが。
これの原形になった(らしい)豊島さんのリアル中学生の時の日記読みたい。日記なのに3人称。

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