これが最終回です。最後なので異色なのを2冊。
なんですか、「ふつうの少女小説だと思ったら痛い目見るぜ」的な。
東京S黄尾探偵団 響野夏菜 コバルト文庫(ジャンル:S黄尾)
鳥籠の王女と教育係とか女神の娘の恋歌しか知らない人は多分びっくりするんじゃないかと思うんです。
S県立黄尾高校は通信制高校で県内随一のサバイバル校である。
毎日登校する必要がない代わりに授業出席と指定期限までにレポートを提出できなければ自動的に来年またどうぞ、となる。そんな風にして毎年1000人が入学してうち9割が留年する。入学に年齢制限はないため普通の高校ではお目にかかれないものがごろごろ見られる。
10代の若者と爺さん婆さんが一緒に授業を受ける教室・化粧喫煙OK・制服なし
それにもうひとつ、この高校の保健室には私立探偵の出張所がある。
全28巻です。基本的には一冊完結寄りです1。
そろそろ古本屋で探したほうがいいレベルの存在です。
探偵団が主な登場人物です。下は16歳・上は66歳の7人+団員の娘+保健室の先生+警察関係者でできています。基本的に一癖二癖ある人間のみです。
探偵団全員が主人公のようなものですが、「主人公」としてあげられている天野行衡は顔はよくても探偵団の中では虐げられるタイプです。とらドラの竜児とか目じゃないレベルでオカンキャラです。
ちなみにS黄尾探偵団は基本的に常識・正義より私利私欲が優先されます。
身内のためとあらば犯罪の片棒担ぐとか余裕です。人を殺さないのが最後の美徳です。
ですので「イケメンヒーロー」「愛されヒロイン」「正義の組織」「恋愛重視の物語」とかの単語は「なんですかそれ食べ物ですか」ってぐらいまるで無縁です。あと軽快に人が死ぬのでその辺駄目な人は注意。別にグロくはないです。
空翔けるバカ 須賀しのぶ コバルト文庫 (ジャンル:戦争)
第1次世界大戦のイギリス航空部隊(not空軍)の話です。殺伐としたとある飛行士とか紅の豚展開です。
「これでコバルトってすごい」というとても異色な作品です。全2巻です。
女の子はほぼ出ません。かといってBL展開は全くありません。少女レーベルだからってまるで甘い展開ありません。「この戦争は3ヶ月ぐらいで自国の勝利で終えてワイン片手に思い出話ができる『平和のための戦争』だと皆思ってたけどそうじゃなかった」という話です。
撃墜王を目指してアメリカからイギリスに渡ったリックは、初戦で自分がとんでもないところに来たこと・撃墜王とはつまり人の血を吸った上に存在する禍々しい称号であることを思い知ることになる。
戦争が題材ですが雰囲気は明るいです。空戦一騎打ちとかの単語にときめく方に。
明るい宴会シーンなのにとても切なくなったりしました。
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そんなわけで全6回にわたる少女小説特集はこれで終わりです。長らくのおつき合いありがとうございました。
- 真の解決は先延ばしになったりはします [↩]
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