トイレ、風呂、台所共有、朝食夕食付きのおんぼろ下宿すみれ荘。大家代理兼管理人をしている一悟は、古株の青子、TV制作マンの隼人、OLの美寿々ら下宿人と家族のように暮らしていた。そこに、芥一二三と名乗る新しい入居者がやってきた。作家だという芥は、マイペースで歯に衣着せず、攻撃的ではないけれども思ったことを平気で口にする。そのせいか、平穏なすみれ荘の住人たちの今まで見えなかった顔が見えてきて?。一つ屋根の下の他人、そして家族の再生ものがたり。
これは裏表紙のあらすじなんだけど、ここから連想されるほっこりミステリではなくて、ヘビーな口当たりのパンチの強い物語。
情念っていう感じ、ていうかえーと、とと考えた結果「好きって絶望だよね」っていう物語です。
「一二三と名乗る」だけあって、これは偽名なんだけどそれは冒頭20ページぐらい読んだら明かされることなのでネタバレではないはず。それがどういうところに着地するのかというのがとてもドキドキしたんだけど、え、そっち!? っていうのが相当でかかった。みすずさんは1回病院行きませんか……ってすすめたくなるし「あーーーーーつら!」っていう描写が的確。
案外ミステリタッチで、「憧れる理想のシェアハウス」でもなくて、結構重い話なので、ゆるふわほっこりが読みたい人にはおすすめしないしちょっと重たい話が読みたい人にはどうっすか! っていう感じ。おすすめです。
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