個人的には今年のベストアニメここじゃね? ぐらい熱いんだけど明らかに積み重ね美である。「ここまで追いかけてきてよかった」と思うような瞬間がエンタメには時々あるんだけど、Kの場合はまさにこの12話だった、といういう話。

積み重ねってアニメ1期と、ノベライズのlost small worldと、劇場版特典ssと今回です。

K -Lost Small World- (講談社BOX)K −Lost Small World− (講談社BOX)
(kindleあるよという主張)

colorful | K -Lost Small World-/壁井ユカコ

アニメ1期(尊さんすげえぜ! っていう太鼓持ちの切込隊長)からのlost small world(ロスモワ)の感想として一番思ったのは八田美咲の不幸はKの主人公ではなかったこと、キング(周防さんのこと)という心酔する相手に出会ってしまったこと、なんですけど、今日のやたちゃん、あれめっちゃ主人公力高い!!!
中学時代、クラスでは比較的浮いた存在だったやたちゃんが伏見という相棒と出会い「気に入らないものは何でもぶっ壊せるし俺たち二人最強じゃね?」あの年代特有の万能感を感じていた。でもラストとしてはやたちゃんは吠舞羅、伏見は吠舞羅を離れてセプター4へ行くわけで。

ふたりでひとつだった中学時代、「俺たちはなんだってできる」っていう相棒に出会ったものの、「王」という強い力に触れてやたちゃんはキングに心酔した。憧れた。伏見は力が手に入るならなんだっていいと思っていた時に出会ったのが吠舞羅だったからたまたまそうだった、あいつ(八田)は丸くなってしまったと思っている。でもやたちゃんの中では「尊さんかっこいいから吠舞羅に来たしお前(伏見)もそうだろ」と思っている。
お前と一緒だったら世界だって乗っ取れると満足感を得ていた箱庭はもうここにはなくて、吠舞羅を離れる伏見に向かってやたちゃんは伏見に「裏切り者」と言い、ふたりは決別した。
そこからの今日。
「分かるように言えよ、分かるまで言えよ」「(俺が尊さんやアンナに命かけるみたいに)お前の王は青の王だったんだ」って。
「昔みてえだな、お前とこうやって戦うの」「同じじゃねえよあの頃とは」「そうだな同じじゃねえ」って。
どうしようもなく困ったときに頼る相手ではなく気に入らない相手としょうがなく共闘するのではなくて、ふたりはふたりのままであの頃と同じような、相棒としてのふたりの場所に帰ってきた。もうふたつでひとつではないけど、前よりはずっと分かりあえる機会がこれからあると思う。

王を失った無人のバーHOMRAで「尊さん、俺ハタチになったよ」と過去の映像を見ながらつぶやいていた八田美咲はもうどこにもいない。

最後まで見て、ここまで来てこれ絶対脚本壁井さんだろ壁井さん以外ありえんわ、からのスタッフロール:壁井ユカコ キタコレ感すごい1

これを書くにあたってロスモワを再読してたら伏見がナイフをちらつかせた上級生に狙われて危機が迫っていた時、やたちゃんがチャリで駆けつけて伏見を乗せて必死でチャリ漕いで逃げるっていうシーンがあって、今日のスクナのもとから伏見をかっさらってスケボーで逃げるやたちゃんというかたちで再現されてて死んだ。

Kすごいいいアニメになったねえ。

  1. 壁井ユカコさんことイエローさんは八田伏見の生みの親でlost small worldも壁井さん作です []