音大を出たものの借り物のバイオリンを抱えてニート一直線だった響介は、叔父の伝手で竜ヶ坂商店街にある公民館の臨時職員兼アマチュアオケのコンマスとして勤めることになる。よくある「町おこし」としてのオケとは違い指揮者も含めやたらと個性的でしかも実力のあるオケだ。少々人数は少ないがそれはアマオケの宿命というもの。
これはニュルンベルクのマイスタージンガーがずっと流れているような商店街での、音楽を愛する人々の物語である。
音楽ものはやばい。とにかくすばらしい。
音楽は比較的メジャーなものが多くて、葦笛の踊りは「ソフトバンクのCMのあれ」といわれれば脳内再生余裕である。マイスタージンガーはブギーポップの口笛で、展覧会の絵は宵闇の唄のあれ。
響介が車椅子の指揮者七緒に言われてオケメンバーの悩みとか謎とかを解決していく話でそれを通して絆が深まったり腕に磨きがかかったりしてひとつにまとまっていくのである。アスキーメディアワークスの人はビブリアよりこっちを実写化した方がいいよぜったいおもしろいよ。
「いいか……この世で最も残酷なのは、音楽だ。けどな、この世で最も愛に溢れたものもまた、音楽なんだよ」
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