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K -Lost Small World- (講談社BOX)

伏見と八田が出会った中学生の頃の話から、吠舞羅に加入して伏見が離脱してセプター4へ行くまでの話。
宣伝時点では伏見編と言われてましたが主人公力を発揮していたのはやたちゃんでした。

感想としてはもうなにをおいても八田の不幸はKという物語の主人公ではなかったことと心酔する相手(キング)と出会ってしまったことだと思うな。
前半のやたちゃんと後半のやたちゃんは別人やなあ。後半のやたちゃんのほうがアニメとかでよく知ってる方の(尊さんすげえ!っていってる)やたちゃんだけど、前半があってキングと会ってあのやたちゃんがメインとなってしまうと、わたしKは赤のクラン贔屓なんですけど心情的に伏見に同情してしまうようなそんな感じ。お前が長い時間を過ごした相棒はもうどこにもいない、的な。八田と二人ならなんだってできると思ったのにって、キングに出会って腑抜けたモブになった八田と吠舞羅から離れた伏見は何も悪くねえよって年が年なら酒でもどうだっていうところだ。
「青少年の成長小説」としては前半のやたちゃんの主人公力強い。
いや冒頭からクラスのリーダーぶっていると見せて実はクラスにはぶられているやたちゃんはいたたまれない!!! と叫ぶしかなかったけど、クラスから多少浮いていたとしても猿比古が一緒ならなんだってできるというあの中学生ならではの不自由な万能感しぬほどもえるのでやめてください!!!!
あと伏見のお父さんいい方向に人間のクズさがよく出ていて造形が大変好みでした。

2.43 清陰高校男子バレー部

タイトルの2.43はネットの高さ。春の高校バレーでは社会人と同じく2m43cmの高さで行われる。
福井の弱小バレーボールの男子高校生の物語である。視点人物が移り変わりながら描かれるある青春。

東京の強豪中学で深刻なトラブルを起こした灰島公誓は幼稚園の頃まで過ごした福井に転居して、幼馴染の黒羽祐仁と再会する。身体能力は高いもののプレッシャーに弱い黒羽とバレーへの情熱と才能に溢れている灰島はたびたび衝突を繰り返し、良いコンビとして成長するも絶縁状態となり清陰高校へ進学する。

視点人物は女子バレー部にもいる。中学はエースで高校でつまずいていまいちぱっとしない末森茨ちゃん。
いばらちゃんと棺野くん(健康上の理由で屋外運動ができない)がもう死ぬほど可愛い。あまずっぺええええええええええと大概転がったあとにやってくるのが灰島再登場である。
黒羽と灰島は1年ほど絶縁状態である。バレー部にも入らなかった。色々あって現バレー部と一緒に試合をすることになって、主将小田(163cm)にあんな球打てるかといわれて

「黒羽なら打ちます」
さらりと言われて返す言葉を失った。

(P180)

その信頼はなんなのかああああああああとぶち転がった。
打てますではなく打ちます。可能かどうかではなく事実を述べる。ぎゃーーーー。
口は悪いけど灰島はバレーに対してはちゃんと褒める子である。その能力はすごいという子である。
ていうかもう黒羽と灰島はたいへん燃えるコンビなのである。お前のエースになりたいとかお前に上げるトスは最高のものにするとかやめろおおおおおおおおおおおおヾ(:3ノシヾ)ノシ((└(:3」┌)┘))と叫ぶ。それでいて「輝いている男子高校生」という羨望をもって青春を羨ましく思う。

スポ根って、男子高校生ってすばらしいものですねとぶっ転がりながら読みました_(:3 」∠)_っ
Free好きな人とかオススメですよ。登場人物一覧は特設サイトにあります。
特設サイトは2.43 清陰高校男子バレー部|壁井ユカコ|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブローこちらにあります。1章丸ごと試し読みとかあります

あとこの時期にオススメなのはサマーサイダー!

サマーサイダー

同じく福井の高校生の物語です。こっちは青春にちょっと不思議ちょっとホラーちょっと蝉が怖くなる。
そんな物語です。

代々木Love&Hateパーク

3月の最後の日曜日、今年は25年ぶりに代々木公園に「チェッコさん」が現れる。
この日の公園には高校の演劇部・ロケ中の芸能人・売れない漫才師・ロカビリーグループにネットアイドルとオタ芸グループ、それからホームレスがいた。

群像劇、というのは知っていたのでドミノ1かゴールデンスランバー2みたいなのかなあと思ったら軽快に人が死ぬ神家没落3だった、みたいな。
代々木公園にまつわるある都市伝説。サスペンスとコメディと。

下は中学生上は50代まで入れ替わり立ちかわり登場する人々の愛憎。壁井さんでこういうのは初めて読むなあと思ったけど、ところどころの薄暗さは壁井さんだなあと思った。弓弦の死の間際のシーンは「悪い家族じゃなかった。好きなところもあった。好きだった」でも気づいたときにはもう遅いって感じであばばばばば。好きな登場人物は柴だったのであばばばばば。大変面白い本でした。積んでる五龍読む。

  1. 恩田陸 []
  2. 伊坂光太郎 []
  3. 恒川光太郎 []

サマーサイダー

幼い頃は三浦誉と倉田ミズは恵悠の子分だった。
3人の関係は緊張感をもったものになったり子分ではなくなったり形を変えつつも高校になった今も続いている。
廃校になった中学校に残った備品の整理に最後の世代がかりだされ、最終的に残ったのは誉と悠とミズの3人。
3人が過ごした教室は卒業式の雰囲気をまだ残していた。2次会の出席や落書きが残された黒板を見ているとクラスメイトの声が聞こえてきそうなものの、室内は蝉時雨で満たされている。
干からびて花瓶に貼り付いた花が教壇に置かれていた。夏の日に教員宿舎で変死体として発見された担任に手向けられた花だ。3人の中学校の時の担任は「僕は蝉の幼虫なんだ」と蝉に傾倒した佐野青春という変わり者だった。

夏が来るまで寝かせてた。夏の福井が舞台の青春ホラー。
2人の少年と1人の少女(幼馴染み) 廃校になった母校 秘密 異形
といういつもの壁井さんです。ホラーはホラーなんですが、日常が侵食される系の?
鳥篭荘よりもうちょっと現実味がある感じ。いや鳥篭荘も大概ホラー要素があると思うんですが。

章扉がイラスト表紙なんですが、象徴っていうか暗喩っていうか。4章……! っていう。
あの時奥にあったのが「変死体」として処理されたアオハルの抜け殻なんだろうなあ

ラストシーンは脳内で再生するぐらいでちょうどいい。これが忠実に映像化されようものならガチホラーすぎて夏は外に出れなくなる。「ぱー……ぱ?」はやばい。あのながれであれはやばい。ゾクッとするなあ。

「いかにきれいな抜け殻を見つけるか」に重点を置いていた頃はあっても蝉爆弾に出くわしたことはないんだよなあ。フィクションあれだけ鳴いてるのに。隣の人の声が聞こえないぐらい鳴いてるのに。タイミングの問題か「ミンミンゼミは関西には生息してない」みたいなものか。

クロノ×セクス×コンプレックス〈3〉 (電撃文庫)

小町はどうにも俺妹の麻奈実っぽい。おばあちゃん女子。「家」っぽい子だなあ。
今回はついに朔太郎とミムラがエンカウント。ミムラが随分とぶっ飛んでいる女子であった。
アシュトンを黒っぽくするとミムラになるのか。

ミムラ×三村も美味しいですが9時間前のオリンピアと9時間後のオリンピアの戦いも素敵です。
「あなただって9時間前に踏み台にしたんでしょ」のあたりはなんかこう、既視感を感じたんだけどこれはあれだ。
実写版タイム・リープの「明日あなたがそう言ったのよ」的なものだ。

タイムトラベルロマンスがごりごりあとがきであげられていたけど、前に出たアンソロジーでは不思議の扉 時をかける恋 (角川文庫)が面白かったな。

いやしかし小町関連まじ過酷。

クロノ×セクス×コンプレックス〈2〉 (電撃文庫)

イラストが変わって久々登場のクロノさん。
何気なくカラーページを開いたらオリンピアがセーちゃんに見えた。その頭で次のページを開いたもんだからバーニーがアーサーに見えたという話。モノクロ絵では思わないんだけどな。オリンピア可愛い。
ちなみに公式のセーちゃんとアーサーではなくPixivにいるほうのセーちゃんとアーサーである。

冒頭からタイムリープっぽい! と思った。現象としてのタイムリープではなくてタイム・リープ—あしたはきのう (上)のほう。そしたら本文中にもそのものが出てきてwktkした。
バーニーがいきなり物分かりのいい若松君みたいだな! ていうか翻弄されるバーニー可愛い。
ミムラ視点のミムラは普通に朔太郎なんだけど、バーニー視点のミムラがふつうに可愛い女の子でバーニーがアホかわいい。

別冊文藝春秋で壁井さんの連載がはじまったようだ……

壁井ユカコ サマーサイダー
卒業した中学が廃校になり、夏休みに片付けを手伝う高一の三人。担任の死の真相とは

別冊文藝春秋は紙がつるつるしてて好きなんですがいいお値段過ぎる……
(壁井さん目当てだけに買うのは高い(水底フェスタ@辻村深月は今更読めない

五龍世界

買いました。今度こそ14f崩す(発売日ぐらいに買ったのにまだ読んでない(でも背表紙は毎日見てる

クロノセクスコンプレックスは結局絵師交代で8月刊のようです。とりあえず早いうちに読めるようでよかった。(わたしは絵師交代については「すごく好きな人」が「すごく苦手な感じの絵の人」に変更するぐらいじゃないとあまり関心がないのです)

もうすぐ梅雨の時期が来るのでマドカの日も遠くなくやってきます。

カスタム・チャイルド (電撃文庫)

イチゴミルク ビターデイズ

再読なんだけどなんかやたらと面白かったので書く。
「やたらと面白い」っていうか再読なので「あれこんなに面白かったっけ」っていうのが多分正しい。
書影見るたびに思うけどこれは帯までコミで装丁だねとおもう。帯はチョコレート色をしています。

壁井ユカコ作品の中では一番普通。面白さが普通っていうんじゃなくて書かれてる人々が普通。
現代が舞台で20代のOLが主人公で、特に異能力は持ってないしサムシング1も生えない。過去から電話もかかってこない。誰も死なない。誰も歪んでない。鞠子がエキセントリックではあるけどそんなに妙でもない。17歳と24歳のわたしの話がいったりきたりする。

以下はさくっとネタバレが含まれています。

  1. 鴨川ホルモー的表現 []

カスタム・チャイルド —罪と罰— (メディアワークス文庫)

メディアワークス文庫創刊ラインナップのひとつ。カバーこわい。表紙公開された時ギャッと思った。
現物は口元が帯で隠れるので若干マイルドになります。
読んだ後じーっとカバーを見てるとああそういうことなのかって思ったけどこわいのはどうしようもない。

電撃文庫版のカスタム・チャイルドとは世界観を共有する別の話です。これだけでも読めます。
「世界観共有」だと「時代は違うけど同じ世界の話です」っていうのがあるけど、これは本当に「切り口が違うだけの同じような時間・同じ街の時間の話」だ。廃工場は再びの大活躍。
電撃文庫版は比較的灰色寄りの白っぽい話ですがMW文庫版のカスチャは「黒っぽい話」です。
ちょっとダーク。

無印の人物はどれぐらい出てくるのかなと思って読み始めたらいきなり「ヤンロンズ・デリ」が出てくる。おいそれ鳥篭荘だよwって非常にときめく。冒頭からいいジャブを喰らう。
4歳の時にバイク便で"返品"されてきた春野とアニメキャラの実体1として作られたレイと遺伝子操作の一切を拒絶して自然に生まれてきた2清田の話。
春野がこう、1回転半ねじてれる子だった。無印カスチャのアナザーセイタだと思った。あの子もお母さんからネグレクトだもんな。レイは設定は綾波だけどキャラ的にはNocallの有海とか私の男の花だよなあ。
清田は可愛い子だ。他2人が影背負いまくりな分白っぽいところを一身に背負っている。

地味に出番があったテっちゃんとか影だけ見える三嶋とか総領の次男とかにによによした。
不穏な雰囲気が好きだ。歪んでる人たちが好きだ。黒さに胸キュンの話だった。
今度はまた別のダーウィンズヒルの人々の話が読みたい。

「僕らトランスジェニックは、二度とナチュラルには戻れない。僕らはもう引き返せないんだ。破滅へと向かう先細りの道を転げ落ちていくしかないんだ」

(P311)
  1. 9割綾波だと思う。包帯とか眼帯とかも標準装備 []
  2. がゆえに生まれながらに色々なハンデを背負っている []

クロノ×セクス×コンプレックス 1 (電撃文庫 か 10-17)

なんかこれ面白いなあ(*゚∀゚)=3
爺むささに定評のある時計屋の息子、三村朔太郎は高校入学式の日に父に頼まれ懐中時計の配達に行く。朔太郎は通学区域内のはじめて歩く路地に入る。そこは季節を逆行するような不思議な路地で、先へ進むと別の学校へと繋がっていた。そこでは自分はミムラ・S・オールドマンと呼ばれており、今日クロックバード魔法学校初等科入学式を迎える女の子だったのだ。

1巻は主に女子寮で一瞬女子校の話のように思えますがちゃんと共学です。やや百合風味です。
壁井ユカコ作品なのにちょーあかるい! とびびった。

読みながら色んな本を連想したりしました。時系列順に並べると
ハリポタ(賢者の石)→しゃっぷるを初めて読んだ時の気持ち→青年のための読書クラブ→運タロ(゚∀゚)
こんな感じか。おお壁井ユカコだと思ったのは生きることに対する偏差値が低そうな男子の登場とヤンデレファンタジー成分かな。
前半の寮生活と学園の描写にどえらいときめいた。図書館塔ほしいな……

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