元女中の老婆タキによる追憶。
タキさんは以前に「タキおばあちゃんのスーパー家事ブック」という本を出した。これが結構売れた。
出版社からはエッセイを出しませんかと言われたが、もっと書くことがあるんじゃないかとタキさんは自分が10代前半の頃から女中として勤めていた屋敷の話を発表するあてもなく書く昭和初期の頃。
主にはタキ14歳のときに出会った時子、後の平井家の奥様と平井家の女中タキの話。
甥っ子の健史がタキさんの勝手に読んではひとことふたこという。
二・二六事件があったころがそんなに平和なわけないじゃないか。おばあちゃんボケちゃったんじゃないのという。歴史でしか知らない人がその時代を生きた人に偉そうに、とか思った。自分で置き換えたら「100年に1度の不況だの派遣切りだのリーマンショックだのあった時代にそんな安穏と生きてたの? 本当に?」って言われるようなもんじゃないか。
転換点はやはり戦争だった。
節々で出てきてはしたり顔な健史にいーっとなりつつ読んだよ。あと平井家の息子がだんだん育っていることに時間の移り変わりを感じた。