ロマンス小説の七日間 (角川文庫)

あかりはハーレクイン的な小説を翻訳しつつ恋人神名と半同棲している。
あかりが今まさに翻訳している中世騎士ウォリックと女領主アリエノールの恋物語と、あかりとその周辺の人々の話が描かれる。原書では最終的に幸せにむすばれ愛を深め合うウォリックとアリエノールだったが、あかりが創作をはじめどんどん奇妙な方向へと走っていく。同時にあかりと神名の関係もこんがらがっていく。
2組の行方は。という。
あとがきも面白いです。ていうか作中で編集さんに心配される「体毛描写」で三浦さんそのものを思い出す。確か胸毛に並々ならぬパッションをもっていたはずだ。

 その意味ではロマンス小説って、すべて「ファンタジー」だ。麗しい外見でちょっと気が強くて、処女で心根の真っ直ぐなお姫さまが、かっこよくてちょっと粗野で、過去のあるホントは心根の優しい騎士と恋に落ちる。二人を陥れようとしたり、横恋慕してちょっかいを出してきたりする悪役に翻弄され、互いの思いがすれ違ってすったもんだした後に、忠実な部下や侍女の助けもあって無事誤解が解け、二人は末永く幸せに暮らすのでした。ハッピーエンド。
 まずこの展開で間違いない。濡れ場が何頁に来るかもだいたい見当がつくぐらいだ。これを幻想と言わずしてなんという。
 まあたしかに、楽しいんだけどね。わたしも好きだもん。

(P27)