ナイルパーチの女子会 (文春文庫)

バリキャリの栄利子、専業主婦の翔子。
翔子はおひょうというハンドルネームでブログを書いている。主婦主婦してない、相当適当な家事なのに不思議と生活感がある、と栄利子は思っている。ブログに書かれている内容から「おひょう」はこの付近に住んでいる人なんだろうなと思っていたら、カフェで「ブログの書籍化の話で」と打ち合わせをしている人たちを見かけた。彼女が「おひょう」だ。

ものすごく怖い話だ。なんせストーカーだ。自分がストーカーだと認識していない類のストーカーだ。あと距離の取り方がおかしい。一度あったら友達で毎日会ったら兄弟だを地でいく。神とたまたま接点ができてしまったために加速しておかしくなる感じ。ネットで出す個人情報割れにつながるものはまじで気をつけようと思った。(最近ではガラスケースの映り込みでほとんど顔バレしている人を見てしまった)
「友達」をめぐる気持ち悪い話なんだけどどういう着地をするのか気になって読まずにはいられなかった……。

自分が断じてストーカーではない。ストーカーとはもっと孤独で世間に認められない人間がなるものだ。他者への思いやりや想像力に欠ける人間がなるものだ。それを分かってもらうためなら、多少翔子を驚かせることになっても、構わない。

(P73)

とにかく、おひょうを元に戻さないといけない。これ以上、自分のように傷つく人間を増やさないためにも、再び読者を共感させるブログを書かさなければならない。友人として、いやここまで彼女を育ててやった読者として当然の要求だ。自分は断じて、おひょうの敵などではない。誰よりもおひょうを思う熱心なファンなのだ。だからおひょうが耳を傾けるのは自分の言葉であるべきなのだ。

(P149)