終点のあの子

思ったよりびっくりするほどスクールカーストの話。
世田谷の私立お嬢様高校の普通グループの希代子は、外部からの編入生で有名カメラマンの父を持つ朱里と仲良くなる。朱里があまりに自由で、休みも多いのに先生には愛されてどこのグループにもまんべんなく付き合って、自分に正直なところに羨望を抱いていたが日記を盗み見したところからやがて嫉妬や怒りが沸いてくる。
クラスを扇動してクラス1の派手系女子も動かして朱里をいじめる。それも長くは続かなかった。
そういう話「フォーゲットミー、ノットブルー」からはじまる。

1番好きなのは「二人でいるのに無言で読書」である。
フォーゲットミー、ノットブルーにも出てくる派手系女子恭子の話。夏休みだというのに彼氏とも別れて店の手伝いもせず一人暇つぶしのため図書館にぶらぶらいってみたらクラスの地味女子「ウィンナー指」早智子と出会う。
恭子は本なんか読まないけど早智子の「本の話」は好きだという。早智子は「本は好きだ。恭子とは話は合わないけど綺麗。」というふたりが頭をつき合わせて無言で本を読み、時々本の話をして、ごはんを食べて一緒にいるという。恭子は人の目がすごく気になって、早智子は周りのことには割と無関心で、でも恭子といる時間は楽しいなあと思っている。
クラスの上位グループの女帝とオタクグループに潜む地味女子。その出会いにはじまる夏休みの話。

柚木麻子の単著を読むのはこれが初めてだけど、心理描写がすごくいい。
2学期デビューのため禁止されているバイトをするとか、自分以外の女子は皆普通とか、ここまで堕ちてくればいいとか、10代女子の自意識とか劣等感とか嫉妬とかたまらないな。まじ美味だな。