本日、サービスデー

本日、サービスデーのあらすじ印象がとても強かったので連作短編と思ってました。
ちなみに事前に想像していたあらすじというのは「『今日は神さまから与えられたあなたの人生で最良の1日です。』そう言われてぼくは(わたしは)その日の過ごし方を模索する×大体4人か5人分の話」というものだった。
実際は独立している、ちょっといい話系(明日からまた頑張るぞ!的な)の短編集。5作入ってる。
サービスデーは「サービスデー管理課 次席主任 第2級天使 ガブリエル」という響きがとてもツボだった。禁書を読んだ後にこれを読んだので……

びっくりしたのは「あおぞら怪談」でした。
何がびっくりしたって「妖怪アパートトリビュート るり子の話」なんかこれは?っていうぐらい似ていたのだ。
友人日下部が借りてるおんぼろアパート(月1万。広くて駅前のアパートから歩いて10分だった)には幽霊が出るという話を聞き、僕はそのアパートに行き不思議なものを見た。
手だけの幽霊だ。マニキュアもしている。日下部は手に普通に話しかけている。手はるり子と言うそうだ。(名前については筆談で聞いたそうだ。名前以外に本人に繋がるものをは教えてもらえなかったが味付けから察するに北方の人間のようだ)最初はびっくりしたが炊事掃除洗濯(主にアイロン)など家事をしてもらえるので、日下部は誰かに話すこともなく逃げ出すことも当然テレビ局に電話することもなく一緒に暮らしている。
コミカルな話だった。

東京しあわせクラブは収録作の中では唯一のダーク系。というか悪趣味系?
とりあえずそんな初朱川湊人。いまわくらば日記を積んでいるので早めに読みたい(気概だけは!

それから日下部さんと手首の奇妙な生活が始まった。
毎日掃除してもらえるのは当然として、たとえば適当な野菜や肉を買って冷蔵庫に入れておき、わざと一時間ほど外出すると、きちんと料理されてテーブルの上に並べられるようになった。比較的濃い目の味付けなので、どうやら手首の持ち主は北国の出身ではないかと思える。

(P208)