1か月後の日本時間15時、地球に小惑星が衝突します。
ある日の緊急首相会見でそう語られた。
数年前から世界各国が協力体制で挑んできたがついに軌道を変えることはできなかった。小惑星は直径10キロ、かつて恐竜を絶滅させたものと同程度の大きさだった。
学校ではスクールカーストの底辺でいじめられっ子の友樹、人を殺めたヤクザの信二、恋人から逃げ出した静香、徐々におかしくなっていく世界の中東京を目指した雪絵。
4人はゆっくりと、確実に終わりへ近づいていく世界の中で、何を見て何を背負い、どのように過ごしていたが丁寧に描写される。略奪に自殺、新興宗教によるテロなど世界の常識が一変した世界でなければ気づくこともなかったし手に入れることもできなかった、家族の小説だった。
凄い小説を読んだ。↓下記が読了の勢いで睡眠時間を削って書き残した感想です。
もうすぐ遙か上から巨大な石が降ってきて、あたしたちはみんな死ぬ。
けれど最期の時、あたしの隣には惚れた男と子どもたちがいる。
−−−−それって、どっちがいいことなんだろうね。
友樹の問いに、あたしは今も答えられない。あたしだって死ぬのが怖い。こんな結末は最悪だって思っている。血のつながりを今もどこか胡散臭く感じている。
なのに、それでも今あたしはとてつもなく幸せを感じている。(P239)
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