火村英生に捧げる犯罪

掌編から中編まで。火村さんが助教授から准教授になってしまわれたー。
「雷雨の庭で」「鸚鵡返し」「火村英生に捧げる犯罪」「偽りのペア」の辺りがすきだなー。

少女小説人気アンケートの時期となりました。普段各種ランキングでは一部を除きあんまり脚光を浴びない少女小説限定ランキングです。
投票期間は1月末まです。

ちなみに私が投票したのは以下の5冊です。

オペラ・アウローラ—君が見る暁の火 (角川ビーンズ文庫)ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。 (一迅社文庫 アイリス こ 3-1)死神姫の再婚 -私の可愛い王子様- (B’s‐LOG文庫)封殺鬼—鵺子ドリ鳴イタ〈4〉 (ルルル文庫)我に捧げよ至高の愛 (コバルト文庫)

小さな男 * 静かな声

今月文庫落ち祭りが控えてる吉田篤弘の新刊。
メインは2人。
百貨店の寝具売り場に勤務し<ロンリー・ハーツ読書倶楽部>に籍を置く「小さな男」
日曜の夜、深夜1時から「静かな声」という2時間の台本なし生放送のラジオ番組をやることになった静香

ゆるっとリンクしつつ、交互に語り手が変わりながら進んでいく。
吉田篤弘作品ですという感じの。静かな声#7の「夜中に赤い手帳を読み上げる静かな声」がとてもつぼだった。「間違って撃ちました」とか。

しかし、読書はいい。この素晴らしき「ロンリー・ハート」な夕方の読書よ!

(P189)

「違うの? だって、ちょうど人が寝静まる頃にさ、姉貴の声を聴く人がラジオのスイッチを入れるわけじゃない? あっちこっちでさ。ラジオってスイッチを入れると赤い小さなランプが灯ったりしない? 暗い夜を過ごしている人たちにはそのラジオの小さな赤い灯が街灯みたいなもんじゃないの? だから、姉貴こそ点燈夫じゃないのかね(以下略)」

(P325)

光炎のウィザード  魔法学園は年中無休 (角川ビーンズ文庫)

短編集。
ザビ買っているので基本読んでますが、駆け落ちは夜行列車で(元・比翼連理にはまだ遠い)は加筆修正が結構あったような……。雑誌掲載時点ではゼストガはまだ出てないはずなので。なんか雰囲気的にゼストガが多い気がします。
ヤムセはあっちこっちに出てくるし、過去編の主人公だったり、最後に笑いを落としていくのでとてもおいしいのですが。
短編の間に挟まれる掌編(これは書き下ろし)のミカ&イルザークにとてもときめいた。
学長のオルディナ(初登場だと思う。書き下ろし短編に出てくる)とロードマスターがいい狸。

「だって、これは投資だろう? なら、回収できないと俺の損になる」

(P110)

この短編集と来月の新刊で全プレだそうです。書き下ろし小冊子+カバーイラスト複製原画。
応募するしか!とおもった。私宮城とおこバカなので。
ちょーシリーズ読み始めたのも天空の剣に手を出したのもすべて「挿絵が宮城とおこだったから」中学校とか、10代のうちにハマったものというのは強いですね。

儚い羊たちの祝宴

どっかで見た「そんなことで殺すなよシリーズ」というのがとても印象に残ってる。
短編集。今よりちょっと昔の、屋敷のお嬢さまとその使用人の話。
「身内に不幸がありまして」を何気なく読んだときのあの衝撃。
そのびびりまくったあとに書いたのがこれ。

順番つけるなら「身内に不幸がありまして」>「玉野五十鈴の誉れ」>「儚い羊たちの祝宴」>「北の館の罪人」>「山荘秘聞」
いい狂気だった。いい黒さだった。最近黒いの補給してなかったんだわ……。

作中にいろんなミステリ作品が出てくるけど、どれも「名前は知ってるけど読んだことはない」のばっかりで、これもしかして読んでたらきゅんとするんだろうかと思ってたら

「わ、わたし、わたしは。あなたはわたしの、ジーヴスだと思っていたのに」

(P181)

多くでてくる作品の中でこれだけ読んでた。ジーヴズの事件簿 のことだと思うんだー。
おおおおおってとてもテンション上がった。

タイトル(儚い羊?)でうみねこ思い出した。
ゲームのほうじゃなくて歌の方(ゲームのほうは手出してません
開かれし宴と選ばれし羊と?が走っていった。

「もちろんよ。ずっとずっといつまでも、わたしのそばにいてね。わたしはあなたを離さないから、あなたも離れないでね。お願いよ。五十鈴」

(P165)

「謳う丘」(ALBUMver.)
「うみねこのなく頃に」(イタリア語ver.)
「Amnesia」
全17曲収録予定

17って多くねっておもった。うみねこイタリア語Ver楽しみだー。

ソース:アルポータル

ベストセラー作家が選ぶ名作の風景を見てました。桜庭さん出てるところだけ。
(今日はぐるナイ→一読永劫→ヘキサゴン→ぐるナイ→ヘキサゴンとぐるぐる回していたのだ
時間的に大体30分ぐらい。最初に赤朽葉・私の男・ファミリーポートレイトの紹介があって、サインをしている所が映り(notサイン会)自宅玄関の本棚が映り、アイルランドへ。

ダブリンの市民 (岩波文庫)
これがお供というか、ジョイスの足取りを辿る、みたいな。
・自分(桜庭さん)が読んでて好きな作家がアイルランド系の作家が多かった
・ジョイスは自分で歩いていけるぐらいの範囲の世界観で小説を書いた(凄くうろ覚えだわ
・もしダブリンという街が消滅してもジョイスの小説があったらそっくり復興できる
・箱庭とか箱庭の結界とか箱庭から出て行くとか
 書店員さんの桜庭作品の書評いわく「箱庭的世界を舞台にすることで作家の妖術がかかる」
・今ジョイス博物館元ジョイス滞在していたところの2Fの原稿書いてたところ入った時の桜庭さんがなんかすごくきらきらしていた。
・トリニティカレッジのオールドライブラリ雰囲気よかったなー。ときめいた。マルグリット学園の図書館はこんな感じかなーとかおもった。

はさみのヘアピンはなかった。イチゴの指輪が可愛かったです。

詩羽のいる街

優しい物語だなー。連作短編。これよかったよ!
お金を持たず家も持たず暮らしている女の子がいる街がある。
詩羽は友達を作ってその人脈を生かして誰かと誰かを結びつけて誰かを幸せにしたり利益を生み出したりして、その対価としてごはんと宿を手に入れる。町猫みたいな子だなーと思った。いい善意の連鎖。

「明日美はね」詩羽は僕に向き直った。「その人にぴったり合った本を選ぶ名人なの。どんなリクエストにも的確に応えるのよ。あたしもずいぶんいろんな本を選んでもらったけど、はずれはほとんどない。いつもリクエストした本一冊、明日美のおすすめ本一冊、それに自分で選んだ本を一冊、借りることにしてるの」

(P52)

本のソムリエホシイヨー。

1章はとてもラノベのターンだった。
"先輩が長いうんちくを喋りだす。1巻は太宰治、4巻はオペラ座の怪人、5巻は宮沢賢治"
"フィギュアスケート" "タイトルに撲殺が入ってる" "学校の中を走り回るクラブの話"
あとレインツリーの国ネタもあったなあ。この辺は巻末の参考文献一覧にのってた。
ハルヒとからきすた(主にOPで踊りまくる方面で)とかニコ動を彷彿とさせる1シーンも。

「お前らみんな、ポトフになっちゃえーっ!!」のあたりの狂気さは異常だな。だがそれがいい!

作中に出てきた板ゲーがちょっと気になるんです面白そうなんです。
もし実在してて、持ってたら今度遊びに行ったときやらせてください>MAXI家
ちなみに↓こんなのだった。

ゲーム盤には、くねくねと曲がったコースと、観客席の絵が描かれている。コマはローマ時代の馬車だ。(略)スゴロクみたいにコースを三周する。ただし、サイコロじゃなく、数字を書いたカードを3枚持ち、そこから一枚出して進む。進めるのは前か斜め前だけで、横に動いたりバックはできない。他の人が止まっているマスは通過できない。カードは一枚使うたびに補充。一番大きいのは六のカードだけど、先頭を走っている時は六を出せない……

(P151)

ドイツ製らしいよ。

どれもよかったけどあえて選ぶなら「それ自身は変化することなく」「今、燃えている炎」がよかったー。

住んでびっくり!西表島 (ニッポン楽楽島めぐり)

八重山諸島は西表島に暮らしてみたよ本。
生活・ご近所づきあい・風習・医療関係・結婚出産関係・虫動物などいきものとの戦い・お祭りいろんなことが書かれている。
八重山で民放見れるようになったの平成6年だってとかISDNしか無理なんだって(しかも誰かやめないとそれも無理なんだってとか)

西表の夏の湿気はタダモノではありません。気温は高くても32?33度ぐらいですが、湿度は90%近くある日も珍しくないのです。高温多湿の日は息をするだけでも汗が噴き出し、"生きている自分"を意識します。

(P45)

この時点で旅人としても相当無理だなーとおもう。台風のときはそれ以上に湿度計の針が振り切れたりするんだって。ちょーカビとかとの戦いらしい。食べ物は冷蔵庫があるけど本棚とかやばそうだな……
春先で1時間外にいただけで「焼けた!」っていう確信が持てるほど肌がひりひりするとか。

生き物編は蛇とか蜘蛛とかシロアリとか「Gの死骸に群がるアリの大群」とかの写真が白黒とはいえはっきり映っているので、苦手な人は注意が必要。特にGは真夜中に不意打ちで見たから精神ブラクラに等しい代物でした。足側ではなかったからまだ救われた……

標識ネタは「この先脱走牛に注意」がツボった。

「生活密着度は都会の新聞よりずいぶん高い」でとても親近感がわいた。
うちの県は「新聞取ってるけど徳島新聞ではない」という家は少ないと思うんだ。徳新+日経とかそういう合わせ技はおおいにあるけど。

悪魔のソネット  男子校で秘密の召喚 (角川ビーンズ文庫)

ジャスティンとレクスのあいだで無自覚バカップルの芽生えを感じます。
1巻よりはかなり面白くなっているような。今回はレクスの側近エルデンの掘り下げ。
エルデンみたいなキャラはかなり好きなのだ。満足した。亡失の槍が一瞬某夫の槍に見えたりした。焦った。
ていうか私は名乗りとか好きすぎだ。

「副業が悪魔退治」っていうギャップというか釣り合わなさ加減が妙にツボにはまった。
ジャスティンのお父さん実は魔界の人なんじゃねとか次はルーナエかユリアンのターンかなあと思いつつ。

「エルデン、お前の名を名乗れ。??私の与えたお前の名だ」

(P174)
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