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気がついたら同時期に似たような本を読んでいた。
岸本さんはタイトルの通り「40代と50代ではいろんなものが違う」という本で阿部さんは「70代での暮らしはこうするといい」という本だ。共通点は「独居高齢女性の暮らしについて」

ミニマリストの暮らし本は時折読んでいるのだが片付けひとつにとっても
「好きなものに囲まれて暮らそう」「スーパーをストックヤードとして使おう」みたいな話はよく見るのだけど、そういう話も「より現実的に」「老いは受け入れがたいができなくなる自分を認めつつ」「無理をしない」という方向になってくる。

・紙の新聞を読む(タイムラインとは違って自分が興味ないことも配置されている。自分用にカスタマイズされた世界とは別の世界が広がっている)
・iPadは面白い。便利な機器は暮らしの流れを乱す危険があるが、使いこなしによっては1人を上手に楽しむのにもってこい。
・不安に注意を向け過ぎない。今できることをすれば気持ちが落ち着く。
・好きなものがあるとそれを考えるだけで不安に心が揺さぶられることもない
・はっきりした答えがでないものが少なくない。悩んだら「どうして」より「どうすれば」と考える。時にはあきらめも必要。
・快適度をあげるためには収納すべきところにモノが収まり溢れないようにする
・片付けには年齢も重要(体力・気力が乏しくなった後で快適に暮らしたいと思ってももうできない)
・食べる楽しみが一人暮らしの活性化になる
・朝一杯のコーヒー・夜の美味しいお酒は我慢しない
・死ぬ直前まで元気にいたいが、本当に元気でいられる時間は大して長くない。
・これまで体力づくりをしてこなかった人が急に歩いたり走ったりジムに通ったりしてすぐ体力を取り戻せるわけではない。
・年を取るということは体力・気力・集中力が低下していくということでもある。若い時と同じを求めても仕方がない。年は年なりに自然体でいくしかない。
ゆくゆくはこういうことを検討していく必要がある、という先輩の経験談だ。

19世紀、ヴィクトリア朝ロンドン。
この時代は科学の時代であると同時にオカルトの時代だった。

社交界に浮名を流すエリオットの通り名は「幽霊男爵」だ。オカルトに目がなくロンドン中の心霊絡みの案件によく顔を出している。顔を出す理由として、実のところは「幽霊が見えているふり」で人をだます輩を叩き伏せるためだ。沈黙の交霊会、ミイラの呪い、見える少女、天井桟敷の天使、様々なオカルト事案が幽霊男爵エリオットとその従者で人形だと自称するコニーの物語だ。

何度でも言うけど顔がいい。具体的にどこが好きかって「修道院と愛の誓い」のレディ・リリアンお気に入りの中庭のシーンだ。新生児から10歳ぐらいまでの子供の幽霊が密集しているシーン。いいよねそういうの。黄昏の楽園1みがあってとてもいい。リリアンは死者を「天使」だといい素敵だという。
というか誤解を恐れずにいうと、エリオットはPixivにいる燭台切光忠みある。伊達男を感じる。

この「私が嫌いなはずがない」というエリオットの設定を見てほしい。

生者も出るが同じぐらい死者も出る。死んでるとはかたくなに認めない人もまだあちら側に行くわけにはという人もいる。空気感が好きなんだわ。さすが裏切らない。
好きなセリフはアレクサンドラの

「いい男に育ったわねえ、エリオット。私の『剥製にしたい人間の男』暫定一位よ」
「生きているほうがいい男だと言われるように、もっと話術を磨きます」

(P184)

だ。

  1. Linked Horizon「楽園への進撃」収録 []
#柚莉愛とかくれんぼ
真下 みこと
講談社 (2020-02-12)

第61回メフィスト賞受賞作。
地下アイドルが出てくる作品ということで、最近推しが武道館に行ってくれたら死ぬが好きなこともあり久しぶりにメフィスト賞作品を読んだ。地下アイドル、配信、アンチ、SNSの闇、炎上、裏アカでアンチのツイートを読むアイドル。そういう感じで進んでいったのでおおこれはいいな、おおそうきたかと読み進めていたけど最後はとにかく消化不良。いわゆる「後味悪い系END」にもなってない感触。柚莉愛はそのことに気づいたのか気づかなかったのか、もうちょっと読みたかったな。

谷中びんづめカフェ竹善 2 春と桜のエトセトラ (集英社オレンジ文庫)

谷中で一人暮らしをしている女子大生紬はきょうも実家からの野菜を持て余してとある店のドアを開いた。
びんづめカフェ竹善というその店はいろんなびんづめの保存食を商うカフェであり、店主はイギリス人のセドリックだ。ひょんなことから紬はセドリックの息子武流の家庭教師をすることになって……という1巻からの2巻。ちょっとした謎が明らかになったりちょっといい話をしたりする方向。
これも料理ものでもあるんだけど、ストレートにいうならわたしはおいしいベランダの方が好き。
なんだろうなー悪くはないんだよ。悪くはないんだよ普通に面白いんだけど、普通なんだよ。

猫だまりの日々 猫小説アンソロジー (集英社オレンジ文庫)

猫がテーマのアンソロジーです。はなからいうけど5作入っててこれいいなと思ったのは1作。
というか5作もあって「人語を解する神社猫」か「転生」の二択なのはどういうことだ?

最初のハケン飯友はおっちょっといいなと思ったけどこれハケン飯友の導入作なんかなと思うぐらい何も始まらないままに終わる。

唯一いいなと思ったのは「神様はそない優しない」(一穂ミチ)
こてこての関西弁(尼崎出身)の猫の一人称だ。ネコはもともと人間だった。ある夏の日、混雑したホームで背中を押されて転落した。気がついたら猫だった。ネコに生まれ変わった俺を拾ったのが未亡人となった元嫁だ。
方言ベースで書かれた小説とかドラマCDってこれが「母国語」の人が書いてないことが多くて気持ち悪ーってなることがまあまあるけどこれはそういうのなかった。なんか落語みたいな語りを聞いてる気持ちで読んでた。丁寧な「人間だった猫の思考」描写と加齢と意外な展開。これに関してはとてもよかった。

まあ究極の選択やね。嫁にあてがわれた別の雌とつがうか去勢されるか。結果的によかったとは思うんやけど、麻酔覚めたら傷口じくじくしてなあ、痛がゆうてたまらんのに、あのエリザベスカラーゆうんか? 頭に朝顔みたいなん巻かれてぺろぺろもできへんし、何せあの見た目、間抜けすぎるやろ? 何がエリザベスじゃボケ。意気消沈、心が右肩下がりで先細っとった。すべてにおいてテンションが上がらんのよ。えらいなあいつ、司馬遷やったっけ? 宦官にされてもごっつい歴史の本書き上げたんやから。そのガッツどっからくんのん? めっちゃ尊敬するわ。本、1行も読んだことあれへんけど。

(P190)

派遣社員あすみの家計簿 (小学館文庫キャラブン!)

派遣社員というけど派遣社員になるのは後半で大半は日雇い労働者あすみの家計簿だ。

結婚を夢見てもったいないと言われた大手企業を退職したものの引っ越し後恋人は姿をくらました。無職のあすみに残したものは恋人分のスマホの支払い、それから家賃9万2千円のマンション。通帳残高は428円。支給された最後の給料と退職金はわずかばかり。そんな人生詰んだ状態から物語は始まる。

金遣いがあまりにもぼんくらなあすみの行動にハラハラする。カードの使いかたとかあまりにもやばい。お金の使い道がやばい。
地に足がつきすぎてる話は小説では読みたくない人には薦められないが1人の女が多少人の縁に助けられつつなんとか生活を立て直していいく様を丁寧に書いた話が読みたいにはいいと思う。

文具LOVERが教える手書きを楽しむヒント200! カワイイ手帳の作り方

人の手帳がのぞき見できるあれです。人の鞄の中身と手帳の中身と本棚の中身は魅力的。
この本に登場する人は文房具メーカーのSNS担当の手帳とインスタグラマーの手帳で、能率手帳もいるしほぼ日手帳もいるしフレックスノートもいるしジブン手帳もいるしシステム手帳もいるしバレットジャーナルやってる人もいるという感じで種々様々。個人的にはほぼ日手帳weeksで内容のせてる人ってtwitter上でも案外少ない割にこの本では多かった(ということはインスタでは案外いるのかな)
キラキラ手帳の人もいるしがっつり実用っていう人もいるし読みごたえはあった。あ、デザインペーパーって折り紙? どうやって使うの? って思っていた疑問も氷解した。個人的には手帳複数持ちの人にはもうちょっと詳しい話を聞いて見たかった。

死神執事のカーテンコール 時限爆弾の少年 (小学館文庫キャラブン!)

しみじみよかったです。1巻は大体「冷蔵庫がよかったです」と言ってたんですがいやあれ冷蔵庫めっちゃいいからな!!!!! 冷蔵庫の何がいいのかは1巻を読んでくれ!!!!!

猪目さんはツッコミをする広沢悠真だな……と思っていたんですが(広沢悠真については以下のURL参照)やっぱり2巻も広沢悠真してるな……と思いました。具体的にどこが広沢悠真かというと筋トレ大好き面白超人。

広沢 悠真(@FIN_hirosawa) - Twilog
S+hとFrepの、ネコの手も貸したい旅【砂漠で化石掘ってハンモック! 編晃&悠真】

好きなのは「カーテンコールと時限爆弾」の何とも言えない重さ&切なさ。
そして一押しは「この世の果てのカーテンコール」でしょう。これはスーパー銭湯で薔薇風呂に浸かる3人という、文字面だけでも映像的な圧が強すぎる面白さもさることながらラストがすごく好き。わたし的に分かりやすくいうと新井素子テイスト。

新人メイドの話では執事が案外ポンコツなところも愛しいです。別荘は漢のロマンの塊。

進撃の巨人 果てに咲く薔薇(上) (KCデラックス)進撃の巨人 果てに咲く薔薇(下) (KCデラックス)

このエントリは進撃の巨人原作22巻までのネタバレを含んでいます。

この本は進撃の巨人が海を渡ってアメリカで書かれた2次創作を逆輸入して紅玉いづきが改稿・再編した駐屯兵団の物語です、というやつで。つい先日まで進撃の巨人無料キャンペーンをやっていた影響で3日で29冊再読して(ちなみにうち3冊4冊ぐらいは1日が待てなくてガッと紙で再読した)ついに積読だったこれも崩した。

王家の血筋を引く貴族のロザリーは憲兵団学校とも呼ばれている士官学校から駐屯兵団へ入団した。兵士ごっこはもうやめて結婚しろという父の猛烈な反対をなんとか収めての(あるいは少し現実を見ればシーナへ戻るだろうという)トロスト区入りだった。

こちらにも最強が登場する。人類最強ではなく駐屯兵団最強の死神だ。進撃の巨人だけどそんなに死なない。ラブ寄せはある。下巻まで読んでようやく時系列がわかった(シガンシナ陥落〜2巻1話の間ぐらい。)
とても切なくなったのはロザリーもジャクソンもこんなにも主人公なのに海にはたどり着けなかったんだなということだ。いやまあそこは正史ではないから何らかの事情で離脱しているかもしれないしかし最強だ。もしかしたら女型でエレンを守って死んでいるかもしれない。
あとじわじわ面白かったのは

「なにがあっても、生きることを諦めるな。ここまで生きた……俺の生き方も、否定はしないでくれ」

(P178)

で、脳内でNoelがログインして最果てのLを歌っていった。俺の生き方も否定しないでくれ俺達は弱いNein〜 #グラサン違い。

進撃祭りを絶賛開催したのでわたしはついにマガジンポケットに課金して本誌派になり替わろうと思います。

ウチら棺桶まで永遠のランウェイ

たまに行く本屋でずっと長い間平積みにされてるんだよなこの本。何の前情報もなく手に取ってみたけど、最初がカラーページでグラビアっぽいから多分モデルとかそっち方向の人なんだろうなあなんて思っていたが、多分そんな感じだと思う。著者略歴を見ていたら「あげみざわ」の語源はこの人らしい。ギャル方面に人気がある人なのかな。
内容は人生振り返り(95年生まれの23歳)だったり、人生相談あるある質問に対する回答だったり軽いノリで雑談しながら「わかるー」「それなー」「めっちゃいいこというじゃん」と相槌を打ちながら読める本だ。日テレ森アナがインスタでやっているスナック森介が好きな人は多分好きな軽妙さ。

自分の好きなことを発信して、評価を得たいっていう願望は普通のことじゃない? みんなそうじゃないかな。それに夢によっては数字が必要な時もあるし、数字を完全に否定するのも違うじゃんって思う。

(P78)

継続と努力は自分を盛るための最強アイテムでしかない。

(P180)
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