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お狐サマの言うとおりッ! (B's-LOG文庫)

パラレル江戸の人情モノ? みたいな感じでした。
既存の作品でいうと「銀魂としゃばけを混ぜて少女小説の型に流し込んで焼きます」みたいな。
パラレル江戸なのは都の名前は江都で徳河将軍家の御世だけど、鎖国してないしもう文明開化してるという点で。

満月の夜に猫を助けたことで桐緒は色々あって狐憑きになった。狐憑きはどっちかというと妖に近い存在だけどこの世界の狐は座敷童的存在だった。主従といえば主従なんだけど、主が使われる側な感じです。
かくして貧乏道場で鷹一郎・桐緒兄妹・お狐様の紗那王とその小姓化丸の同居生活が始まって半月、門下生0の道場に仇討ちのために剣を教えてほしいという千代がやってくる。

ラブコメというほどラブは見当たらないような……。紗那王のそれとなく心配したり見守ったりの距離感は好きですが、保護者的視点で見てしまってました。スレイヤーズのリナとガウリィ(超初期)みたいな。

左京区七夕通東入ル

モリミーとはまた違う意味でファンタジーな「京大生ラブコメ」
京都大学だと明記されてないけどキャンパスの位置とか学生の描写とか寮の位置とかから察するに京大だな(・ω・)と。アリサの大学はぐぐってみたところでは同志社女子大学かなあとおもった。

花は京大文学部の4年生で、就職活動も単位取得も終了しあとはモラトリアムを満喫するだけだ。
七夕の日、花はひょんなことから人気の高い女子大へ通うアリサに誘われ合コンへ行くことになった。
そこへやってきたのが龍彦だった。花は数学が大の苦手で龍彦は数学科1に在籍しているという。花は龍彦に誘われ学生寮のたこ焼きパーティに行ったりデルタで花火をしたりする。
登場人物は他に修治(アリサの彼氏)・アンドウくん・ヤマネくん(龍彦の友人。花を入れた4人でよく遊びまわっている)
お互い大学生で、花は別にはじめての恋愛でもないのにすごく初々しい。キスどころか手を繋ぐような描写さえあったかなあというような感じなのだ。ごはんを食べに行ったり十条まで撤去自転車回収デート行ったりはするのだけど。

ところで「花ちゃん」と関西弁で見るたびにわたしの脳内では「なちゃん」ではなく「はちゃん」と再生しよるのでした。山田花子風。龍彦は「数学科の大学生」ということで時々たゆんの偉い人が走っていった。

夜は短し歩けよ乙女の学園祭のシーンで韋駄天コタツがあちこちで出てきて、わたしはこれは「モリミーの創作だろう」と思っていたんだけど、こちらでも学園祭で「何故か設置されているコタツ」が登場しているのでコタツ云々はもしかしてガチで存在するものなんだろうか、と思った。

「地元が舞台の小説」だと近すぎて逆に直視できないところがあるんだけど、京都とか大阪とかが舞台の小説はそこそこ近くて地理がわかって親しみが持てるなあとつくづく思う。

たっくんのことを恋人と呼べるかどうかは別として、少なくともわたしは恋に落ちている。(略)
どうしてこの人なんだろうと思う。客観的に見て、異性にもてはやされるタイプとはいえそうにない。目を引くような美男ではないし、話がものすごく面白いわけでも、ことさらに気がきくわけでもない。世間一般はさておき、わたしを惹きつけるということにしぼってみても、あまり思い当たる理由はない。

(P88)
  1. 理学部数学科である。 []

四十の手ならい 和心暮らし

この前twitterで「お茶がやってみたい……」「ああお茶とかお花は何歳になっても『やれ』って言われますよね」「1日体験教室ですね」「この本気になる」とか言ってて、図書館うろうろしてたらこの本を発見したので借りてみた。百聞は一見にしかずといいますが私の周りには気軽にお茶体験できそうなところがありません。

「三味線ざんまい」みたいな四苦八苦体験エッセイを想像してたら「スローライフとはいうけど実際今までのライフスタイルを捨てて田舎暮らしをするのは難しい」「古きよき日本人の心を思い出そう」「和の心はセルフヒーリング!」「自然回帰!」「地球環境保護!」とかそういう始まり方をしました。
文中何度も「私たちの世代はやったことがある(記憶にある)」という文が出てくるので想定読者年齢は40前後なのかなと思いました。

「まずは浴衣を着てみましょう」にはじまり着物の手入れや必要な道具・着付け・お茶・写経・座禅などがありました。大きくページを割かれているのは着物関連とお茶。着付けとかお茶の作法とかは文章で事細かく書かれ、章の終わりにイラストが付いてました。

「高い着物とかいりません!」とか金銭面的にはハードル低い感じでした。ヘタレにやさしい。

少年巫子姫と龍の守り人 (一迅社文庫アイリス か 1-2)

舞台となるのは大正後期の帝都東京。

イツキは「禍を呼ぶ忌むべきもの」として幼い頃からずっと1人で御霊島で過ごしてきたが、ある日九鬼と名乗る男が訪ねてくる。彼は自分は八神家の守り人だと名乗り「イツキは八神依月という名前の八神公爵家当主の甥」「美月という双子の姉がおり、妖魔に襲われ瀕死であること」「依月は男だけど、巫子姫である美月の身代わりをして欲しい」と言う。イツキは自分を必要としてくれたことを喜び島を出て帝都へ向かう。

帯のアオリ文いわく「女装巫子×主従大正ロマン」です。
読んで連想したのは高殿円「バルビザンデの宝冠」と時雨沢恵一「アリソン2」でした。主従成分的には「素直なアルとマウリシオ」という脳内設定でした。というのも依月から性別の匂いがまるでしないのです。
確かに「少年が女装する」なんだけど、喋り方とか雰囲気は「女ではないけど、男でもない」ていう感じを受けました。かといってバカテスの「性別:秀吉」みたいな第3の性別でもなくて「性別:なし」が一番しっくり来る。八神の巫子姫は未来を読んだりするので「それ、高殿円のヘスペリアン(性別のないもの)じゃね?」っていう結論に至った。

「何かこれは読んだほうがいい気がする……」と読んでみたら思ってたよりおもしろかったです。
街のきらびやかな描写と、一皮剥いたら薄暗い感じの描写にときめく。
依月と九鬼の主従ロマンは大変美味しくいただきました。
妖魔退治のターンとか鵺とか出てきたので封殺鬼を思い出しました。ちょうどルルル封殺鬼なら似たような時間軸。こちらの攻撃手段は祝詞とか祓いとかでした。猫屋敷じゃなくてみかんだね!

しかし終わりが近づいてくるにつれてなんだか妙な感じになってくるんですね。「本物の巫子姫になって九鬼とずっと一緒にいたい」と九鬼に告げるとか「姉が目覚めたら身代わりの自分はいらない。このぬくもりは失うことになる」とか、ドレスで踊ったりとか。九鬼は九鬼で、「理想的な巫子姫として自分で1から育てた彼を、命令とはいえ殺すことが出来るのか」と悩んだり、そんなせつなくて美味しいシチュエーションが用意されているのになんで依月は女じゃないんだよー! と叫んだ。1

美月は話に全面的に関わってくるけどほぼ退場しているようなもので、「八神美月」というひとについては冒頭シーンとあとは会話の中から類推することしかできないんですが「高飛車で自分勝手なところ」が冒頭から中盤にかけて多く出てくるので、もうちょっと早いうちにフォローが欲しかったなと思います。2 恋の味を知って、巫子姫としての義務を果たしつつ恋がしたい自由が欲しい、でも……! とか冒頭のあのシーンに繋がる葛藤のシーンがあったら超美味しくないですか。それ凄い好物です。メインが依月である以上無理なんだけど。

本宮ことはさんの日記で「アイリスで使う紙は薄くてスリムな文庫だったけど、諸事情で厚い紙を使う事になりました」って知りました。創刊以降でアイリス作品で買ったのって4冊だけだしそんな影響ないだろうと思ってたんですが、手がアイリスの厚みを覚えててすごく違和感を覚えた。
紙1枚の厚みなめてた。同じアイリスでもこれページ数同じなんだぜ

  1. 依月を男として認識してなかったのでニアホモには該当しなかった。 []
  2. 貴重な女の子なんだし! []

天翔けるバカ—We Are The Champions (コバルト文庫)

これでコバルトとか超すごい。ほんと異色。
62ページ付近のマイ・ボニーのシーンになぜかすごくしんみりしてしまう。宴会の席なのに!

つかドイツの毒ガス兵器の描写があって、会話内の1ページ程度なのにギャーッてなった。
これは多分気になってもぐぐっちゃいけないとおもった。おそろしやー。ていうか全体的にすごく戦争の話だな。
あとマンフレートはともかくピロシキが死ぬとは思わなかった。むしろロードが死ぬと思ってた

炎と血の色。躍動する命の色。
こんなに美しい光景は見たことがない。

(P228)

天翔けるバカ flying fools  コバルト文庫

確か去年の今頃、ミラコンの時にsoundseaさんに唆されて買った本……
第1次世界大戦のイギリス航空部隊(not空軍)の話です。ちょっと殺伐とした紅の豚。飛行機はロマン。
しかし偶然にも芙蓉と同時期の本を読んだものです。本に呼ばれた現象。

リックの初戦がとても衝撃的だった。直球にぐろい描写なんぞほとんどないけどパラシュートもなく炎に巻かれて飛行機から飛び落ちていくシーンとか「10分おきに緩めないと血が通わなくなって腕が腐り落ちる」「死ぬよりマシだろ」「本当にそう思うのか」とか大層薄ら寒いものがあった。
「この戦争は3ヶ月ぐらいで終えて自国の勝利で終えてワイン片手に思い出話ができる『平和のための戦争』だと皆思ってたけどそうじゃなかった」とかどえらいせつない。

スコアが血を吸った上に存在する禍々しい称号だとしても空戦一騎打ちはロマンだなあとおもった。

余談。

ただ、今年の二月にウィルソン大統領が、「ドイツむかつく。ウチは中立なんだからアメリカ船攻撃するのやめてよ」といった趣旨の議会演説をして、ドイツと国交を断絶したところからみると、ドイツは敵のようだ。

(P18)

ヘタリアで再生された……(何てこったい……
「陰気で生真面目なイタリア人パードレ」とかは反応しないので国名指し発言に反応してるのかなあと思うなど。国名名指しといってもニュースから聞こえてくる音声とかテロップはまた別物。

「私の考えが既に時代遅れとなりつつあることは、重々承知だ。おそらくこれから先、技術が進むにつれ、戦闘はますます殺伐としたものとなるだろう。同胞愛や忠誠、全力を以って戦うことへの歓び、そうしたものは全て失われ、むしろ嘲笑の対象となり、兵士はただ全体の中で機械的に戦い、ますます一人の命は軽いものとなるだろう」(略)
「それは仕方のないことだ。だが私は、そういうやり方には決してなじめそうもない。あらゆる意味で、貴族が貴族らしく生き、戦うことができるのは、この戦争が最後となるだろう」

(P205)

芙蓉千里

最初厚さにびびっていたのですが1読み出すとこれが凄い勢いで時間を忘れる小説でした。本読みながら「やばいもう寝んと」と思ったのはなんだか久しぶりな気がするなあ。

時期的には第1次大戦のちょっと前、日本はまだ明治時代の20世紀初頭、中国ハルビンが舞台。
「大陸一の女郎になる!」と自ら人買いに志願して東北地方から大陸に渡ったフミ、フミと一緒に売られてきたタエ、2人が売られた女郎屋酔芙蓉の格好いい姐さんがたの話です。

フミは最初から女郎志望で、タエは女郎になることをとにかく嫌がっている女になりたくないと思ってる実に対照的な2人。フミはどう見ても流血女神伝でいうところのカリエポジションなので、フミはサジェだったらどうするよ……救われるのはグラーシカお姉さまかな……と思ってたらうまいこと共存共栄みたいな感じだったのでほっとする。

近現代に舞台が置かれているため史実もすごく自然なかたちで絡んできます。
蘭花姐さん……!

ちなみに私は山村派です!(何か主張しておかないといけない気がした
しかし黒谷への啖呵切る&宣戦布告シーンは美味しい……

とりあえずsarisariの短編かな……11月の上旬ぐらいまでは公開されてるらしい。
sarisariはエッセイだけは読んでるんですが、携帯で小説とかまじ読みにくい。

「それと同じだよ。踊らなきゃ生きていけなかったから、必死に練習しただけ。辻芸も、畑仕事も、体を売る女郎も何も変わらない。それに私はもう、生娘じゃないからね。今さら、どうってことはないよ」
息を呑んだのタエの顔が、みるみるうちに青ざめていく。フミはひどく残酷な気分になっていた。

(P107)

離れろ。その一心で、ひた走る。離れろ。離れろ。死の空気から。敗北と絶望から。

(P136)

「だから、早く来て。ほんとに来て。私が、諦めてしまわないうちに」
フミは目を閉じた。睫毛が震え、ひとすじの涙が零れる。ああ、夢でもいい。また会いたい。

(P235)
  1. 400ページ近くあります []

RDG2  レッドデータガール  はじめてのお化粧 (カドカワ銀のさじシリーズ)

泉水子は自分の力に向き合うため生まれ育った玉倉神社を出て東京へ行く。
入学した鳳城学園は高尾山の北側にあり全寮制の高校である。泉水子は無試験で入学したが、試験免除で入学できる生徒はそうはいず、中等部までいてもエスカレーター式で進学できなかった者も結構いるほど学力レベルは割と高い。寮は基本的に2人組で、泉水子のように遠方から入学してくるものには学園によく慣れたものが同室として選ばれる。

2巻は「大きな物語への序章」っていう感じで、割と顔見せみたいな感じがします。
しかし相楽父子はとてもよいです。主にはお父さんがよいです。
同室の宗田真響とのあれこれや、ずっとしていた眼鏡を外したり、部活とか生徒会とか。
真響を頼りに他クラスまでやってきたはずなのに深行を呼び出す泉水子とか、それを見て邪険にするでもなく世話をしている深行とかにいちじるしいときめきが。

物語の終盤で日舞がちらちらとできます。なんか最近日舞と縁がある気がします。

ところで、

「南無飯綱大権現と唱えるんだよ。ご本尊は飯綱権現だ」

(P243)

イヅナと聞いてうっかり誰かの嫁を思い出した。

「うかつには近づけない気がする。魅力がありすぎてきっと危ない。とてつもなく悪い人かとてつもなくいい人だけど、はっきりしたころには磁力で離れられなくなっているから、どっちだろうともう遅い——そういう人に見える。遠巻きにしているのが利口かもね」

(P231)

そのとき翼は舞い降りた (角川ビーンズ文庫)そのとき鋼は砕かれた (ビーンズ文庫)そのとき君という光が (角川ビーンズ文庫)

プリハーに出てると聞いて気になって古本屋でチェックしてましたがこの前ようやく発見したので読む。
TAKADONO OTHERS5が届いた頃だったのでちょうどよかった。

舞台はプリハーからさらに遡って残虐王ミルドレッドの時代。
何の根拠もなくシリアス寄りの小説かと思ってたらとてもギャグだった。超笑った。
既読者のさりさん曰くあんまり一般受けする笑いではなかったらしい。なぜだ!
しかしタングレードの呪いは最悪で切ない。どれだけ好きな人でも忘れないでいて欲しいひとでも自分の記憶だけが消えてしまうのだ。誰にも覚えられていないのって最初から存在しないのと同じだよなあ。

絶対無敵団のポーズはギニュー特選隊風に再生された。
ていうか無敵団の血筋はコック団にしっかり受け継がれたと思う。
おやつ愛とか麦酒愛とかアホだなあ(*´∀`)とかによによした。

鋼はべりー性的だった。うれしはずかし初夜作戦でも大概腹筋パンチだったんですが、天空都市は性的にオープンでフリーダム過ぎる。野合の街とか数年に何回か発情期があるとか。情緒やはじらいはおとといきやがれなムードである。
ていうかミルドレッドは自分のことが好きすぎだ!
ミルドレッドの腹心の部下のエルゼリオは名前を見るたびにエルゼリオをおもいだす。

打ち切りだと知っていたけど「君という光が」はここで切れるのかーと嘆く。続きどこー!
セルマゲイラとミルドレッドが可愛い。ロマン。「これが愛か!」「これが愛です!」とか言ってるところと水中のシーンのギャップにときめいた。

思わぬ再登場を果たしたリリエラはがくがくぶるぶるする。
「俺からフランを取らないでくれ」にきゅんとする。

OTHERSとそのあとがきで若干補完されたけどあれがどうやったらプリハーのあれになるのだ。
うなぎ超ふいた。

司書はなにゆえ魔女になる

エッセイ。
3部構成で、1部は図書館司書を取り巻く環境とか司書関連、2部・3部は本と映画のレビュー。
どれも大体2ページ以内でまとまる短い話。特に司書の話は馴染みの薄い話なのでちょっと興味深い。

タイトルが気になるんですが1「司書は○○魔女になる」というのは定型タイトルのようなので、おそらく1冊目を読まないと意味が分からないと思った。

  1. 魔女? []
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