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モノローグ形式ってあったからまた告白かと思って読んでみたら恩田陸のユージニアだった。
それでもうちょっと読み進めると相棒Season6になった。
現状の湊かなえ作品ではたぶん一番白くて比較的軽い。4章以降はちょっと黒い1、とは思うんだけど。前3作は1章ごとに休憩が必要なぐらいすごく疲れた。でも今回はそれがないから軽いんだと思う。
最初はニュース風にはじまる。
とあるマンションで夫婦が死亡するという事件が発生した。現場に居合わせた4人に事情を聞いている。
4人の証言、そして容疑者の逮捕、裁判結審。
そして世界は巻戻る。実はあの人物の背景はこうでした、そして事件当日はこんな感じでしたと明かされる。それが4人分。その辺は相棒Season8の「右京、風邪をひく」みたいだな、と思いました。似てはないけど同じカテゴリ。
ほとんど話には出てこないんだけど、野バラ荘の大家のおじいちゃんが一番得体が知れないと思う。
何も知らないはずなのに何もかも知ってそう。何もかも知ってそうだけどあえて何も手出しはしない、みたいに感じることがたまにあった。ふつうのおじいちゃんっぽく感じられるときもあるんだけど。
「告白」が文庫化されたりしてますがこれを機会にどうでしょう。ハッピーエンド至上主義の方には到底薦められませんが、そもそも本に「癒し」「スッキリ感」「明るさ」とかを重視される方は湊かなえは読んじゃいけないと思うんだ。
- シャーペン4回の意味であばばばばばとなった。 [↩]
久しぶりに読むキノの旅。元々黒い話は多いですがあれですね。
今読むと「違法な国」は2009年の時雨沢氏がうっかり微妙に未来の2010年に迷い込んでネタを拾っていったみたいですね。もしくは小説に時代が追いついちゃったんですか。単純所持禁止では児童ポルノ関連を思い出しますが。
いわく現実世界でやってはいけないことを小説の中でも書くことを法律で禁止したのです。
感動的な話であろうと、過去に書かれた名作であろうと、昔は国語の教科書に載っていたものだろうと、ファンタジー小説だろうと、速度違反レベルであれ法を犯しているものは一律に不許可。ミステリとか殺人前提だから駄目。官能小説は可能だが常に年齢表記をする必要がある。そんな感じ。
「肝心なことを聞くのを忘れてた! その呆れた法規制の理由は一体何なんだ? なんのためなんだ?」
審査官は即答します。
「おかしな質問ですね。そんなのは簡単です。この国から違法行為を少しでも減らすためですよ。違法行為が描かれているのを読んだ人間はそこから影響を受けて、自分もそれをしてみようと思います。それを防ぐためです。この国の治安を守るため、人々が安心して暮らせる明るい社会を作るためです」
「はあ? 小説の中だぞ? すべては絵空事だぞ?」
「だからこそ危険なのですよ! 小説の中で"お話"の中で描かれるからこそ、読み手はその行為が違法行為であるということにまったく思いが至らなくなってしまうのです(以下略)」(P85)
おおこわい
いろいろな国のなかの「輝いている国」はあれですね、○○の起源は俺なんだぜ!!!
前巻から時間が流れ、若返りの呪いがかかっているブランカは19歳の精神に11歳の体となっていた。
今回もリリアナは強いです。目次を見てな、なんだと! と思ったのは言うまでもなく1リリアナの婚約者が非常に胡散臭いですね。しかしそれを越えて好みを突っ走るのはブランカの妹姫・レオノーラ。
優秀な姉を持ち自身は王族としては比較的劣っているものの健気ないい子だったのだが、1回キレて思うが侭に口走り突っ走り帰るところが分からなくなった、そんな非常にときめく子です。とても妹です。
あと展開がスピーディーだなあと思う。圧縮展開だなあとは思わないんだけど、あれもうそこ? みたいな。
とりあえず中身はどうあれ見た目的にセロがロリコンまっしぐらにならない程度になんとかなってほしいものです。
ペルドゥラルとレオノーラはデュラララの誠二と美香から中二だったりヤンデレ成分を引いて代わりにそんなに甘くないものを突っ込んだ感じだ。ブランカがセルティである。
「ご安心ください。死体さえ見つからなければ完全犯罪は成立します」
(P29)
- 1章のタイトルはリリアナの婚約者 なのである。 [↩]
愛とか家族とか友情とか救いとか、誰のそばにもあるものだけどそれを語るには気恥ずかしかったり面倒くさかったり、たとえばそれだけで小説のテーマになってしまいそうなことを主題において対談する。
そんな重くもなれるテーマですが、対談のノリとしては割と軽いものです。
救い・記憶・孤独・読書の項が好きだな。穂村さんはかわいいな。
いや40過ぎの男性に可愛い言うのはどうかと思うが可愛い人だよね。
お金の単位が「当直何回したらこれが買える」とか「単発原稿何本分」とか、やっぱりそんなもんなんだと思う。
鞄うらやましいな。「マイクロウェーブエンジニアには1種の職業病があって男の子が生まれなくなる(P105)」とかあってなんなのそれ、ていうかマイクロウェーブエンジニアって名前の響きが電子レンジっぽいこと以外なにをする仕事なのかまったくわかんないんだけど! とか興味がむくむくと。
最後の語りおろしが「読書」で、○○の洗礼は受けてないの?→受けてないんだよ っていう流れがあって、
スレイヤーズ読んでないの?→僕がラノベを読み始めたのは25からなのでって誰かの声がしましたよ。
ラノベ読み的パロディとしてやるならもちろんテーマ「ライトノベル」だよね。
「君にとってライトノベルってなんなの?」ってお互いの定義確認からはじめるの。
年に数回ある風物詩だよね「ライトノベルの定義について」
巻末についてる煩悩108リストの穂村さんのほうが俗いっていうか非常にかわいらしい。
春日 自分を救ってもらいたい人というのは、何がマズくてどう救ってもらいたいのかを言語化できてないわけ。できるぐらいだったら苦労してないよね。だから、そこをうまく言語化されると、安心するし救われるんだろうね。(略)子どもにとってはそれを話題にのせるだけでもすごく大変なことなんだよ。
(P46)
オリーブ少女って要するに今で言うところの森ガールなのか。
名前は聞いたことあるけどどんなのかは知らないんだよな。
章ごとに視点が変わる長編で、名古屋が舞台。
ミツコは80年代後半から90年代のオリーブ少女に憧れている中学3年生だ。ある日13歳離れた姉チエコが突然東京のアパートを引き払って名古屋へ戻ってきた。チエコを追いかけて恋人、矢野もやってきた。
矢野はミツコは憧れる"オリーブ王子"そのもので、要するに今で言うところの草食男子である。いや本当に草とか霞とか喰って生きてそうなもんである。お金に困ってなくてなんか優雅な生活で、まるで生活臭がしない。
面白いのは面白いけど普通っぽい。読後感的には「コバルトで昔あった感じの現代ものを再度やってみた」ていう感じ。
晩婚化が進み、二十八歳なんてまだまだ娘さんじゃないのといった風潮があるけれど、あくまでそれは都会での話だ。大いなる田舎、名古屋ではそういうわけにはいかない。名古屋で二十八歳といえば、「もう二十八歳」なのである。
(P173)
一番引っかかったのここだ。名古屋が田舎だというのなら四国とか「断崖絶壁の孤島」だよね。
愛知県って広いカテゴリで言うなら知らないが名古屋は都会だよ。
もし東京と比べてるならそれはどこでも田舎になるだろうし、名古屋じゃなくても28歳はどこでも「もう28歳」だと思う。おひとりさまに優しいのなんか東京のごく一部なんじゃないの。
あと星山書店とかいってないでそこは星野って書けばいいのにとか思った。
ほかは番組名とか注釈が必要なぐらい1名古屋ローカルネタが頻出してるのに。
「あれは読んだのであれば今度はぜひあれも読んでほしいなあ」というあの会話のあたりはなんだかいたたまれない気分になる。
登場人物紹介に「沼ガール」という文字が目に入り何だそれはと思ってぐぐってみたところ「自虐的森ガールもしくは『森に住んでそうっていうかお前は森より沼にいそうだよね』と言われる」≒「沼ガール」らしいです。
森ガールがさらに進化すると魔女ガールになるらしいです。なにそのドルイド。
- 実際注釈がある [↩]