カテゴリー「 読了 」の記事

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タイトルと表紙で全部説明してる系なんですけど、チャイニーズスープとフジリュー封神を混ぜて夕鷺かのうが出力した感じです。暗黒童話的メシウマ小説と裏表紙にありますが、メシウマ……メシウマ……? とはなります。
メシウマがどのぐらいの世代まで認知されている単語かはわかりませんが、メシウマとは「人の不幸で今日もメシがうまい」というネットスラングです。
不幸な成分を書いておくと「タイタニックを契機に水中考古学に魅せられて院に進んだが、研究成果を根こそぎ奪われて研究職への道を絶たれて今は労働条件が限りなく黒の生命保険会社で働いている」女性、「地方から上京、大学デビューをしたが悪い男に引っかかって風俗に沈められた」女性、「ガチ恋粘着獣にいそうなパラサイトシングル1、同担に危害を加える系同担拒否勢」女性。
胸糞悪い系とグロは文字でも読めない人にはちょっとおすすめできない。でも夕鷺さんのビーズログ作品じゃないやつを読んだことがある人ならセーフだと思う。ほっこりごはんものではないのでそこだけは注意してほしい。

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集英社
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確かこの本の発売前に表紙を見て「どう見てもチャイニーズスープやん」と言ってた覚えがあって、だからこそ1話を読んであれって思ったんだよな。あーーそうそうこれこれこの味って思った。

  1. この単語もどのぐらい伝わるんだろう。令和の世だと子供部屋なんちゃらと言われる人で、実家におんぶにだっこされて生きている人たちのことである。 [↩]
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エクスナレッジ
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98万円で温泉の出る築75年の家を買った - takadonomadoka - BOOTHとは違ってこっちは商業出版です。
75年前、兵庫県西部に建てられた祖父の家の実家じまいの本である。ちなみに一度ついた売り手も仲介業者も離れていった訳アリ物件である。
わたしの喪主本ことこれで君も喪主だ! 密着相続ドキュメント2023-2024 - はと文庫 - BOOTHも「いずれ行く道だからどういうことがあるのか、人の体験談とはいえ知っておいても邪魔にはならん」本だと思っているが、ゆくゆくは実家じまいという問題が立ちはだかる予定の人はこういうことかと先読みしてもいいかもしれん。
隣の家の高齢者夫婦も徒歩30歩ぐらいのところに実家もしくは旧家があって、「固定資産税を払って物置にしていた」家をようやく潰すことを決めて今大量のゴミと戦っている。毎日とても大変そうだ。

売れない実家問題、どうしてますか?
兄弟もみんな家を出て、自分もそこそこ都会に居を構え、もう戻るつもりはない実家。戻りたいなあと思えるロケーションや条件ならいけど、残念なことに両親は団塊の世代。都会の家賃より田舎の戸建て。庭付き一戸建てガレージ付き、もちろんトヨタか日産の新車、庭には芝生、犬を飼うみたいなアメリカのパッケージドラマをそのまんま輸入したパッケージが家族の幸せであり、スタンダード、と無邪気に信じていた世代です。

(P16)
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星野源という人は不思議な人である。私が知っている星野源は志摩一未と四宮春樹をやっていた人で、年に何回か、主に紅白で歌っているところを見る人で、主成分は「星野源のオールナイトニッポン」パーソナリティ星野源だ。とても人に愛されている。時々弱音を吐き、リスナーが作ったジングルにすごいねーと称え下ネタに馬鹿だねーアッハッハッハと笑い、「源ちゃん俺たち友達じゃーん」と送られてきたメールに「友達じゃねえよ(笑)!」と言って時々はトイレにこもっている。
ただ生命体はなぜイントロがないんですか? というリスナーからの質問に対して「人の人生は突然はじまって、終わったら何も残らないからです」といつもより2度ぐらい体温低い感じの声で答えてすっと終わったので、「いつもと別のドアから見る星野源」を感じたけど、この本は「そのいつもとは違うドアから見る星野源」が満載だった。生きづらそうな話を聞いてると愛おしさ的なものが湧いてくる。でもこの愛おしさはLOVEとイコールではなく、「昼休みとかに一回り下の後輩にブラックサンダーをあげる」感じなのである。一回り下の後輩いうても源さんだいたい同世代なんだけども。
ラジオでも妻新垣結衣さんのことはそんなに話さないので、「喜劇」が生まれた日の話はよかった。

栗きんとん事件出たん13年前なん????
この巻は小鳩くんと小佐内さんは別行動である。新聞部が追う連続放火事件。小鳩くんは目の前の謎を解いてしまう。例えば満員のバスの中で停車ボタンが押されたが、誰も下りなかった。間違えて押したのだろう。押したのはおそらくこのふたりのどっちかだ。押したのはどっちか。小鳩くんパートにはそういうのも含まれている。
「あはっ」はよかったし小佐内さんは出番自体はものすごく多い、というわけではないがTRICKとかでいる「思わせぶりなことを言っていく割と重要人物(悪役寄り)」ポジションだった。

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隕石が某所に落下したその日、世界には100人の能力者が生まれた。
言葉に力が宿るコトダマ。例えば「燃やす」なら発火、「透ける」なら透明人間になる能力。ひとつの能力にひとりの人間が死ぬまで行使でき、死ねばまた次の人間にアトランダムに受け継がれる。能力がどの程度、どの範囲で使用できるかは不明である。

そんなコトダマ使いを集めた部署が新設された。警視庁公安部公安第五課、コトダマ犯罪調査課である。
そこの班長に任命されたのが永嶺スバルで、永嶺の能力は「入れ替える」である。
そんな特殊設定下の警察小説である。相棒初回もしくは元旦スペシャルの味がした。

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2019年10月30日のことだった。宮城県警から電話がかかってきた。「お兄様のご遺体が多賀城市内で発見されました。第1発見者は同居の息子さんでした」即死の状態だったという。脳出血で死亡時54歳だった。

これは小説ではなく、わたしの喪主本と同じくノンフィクション的な立ち位置で、ずっと疎遠にしていた兄が遺体で発見された。両親ともに鬼籍の人でどちらの親戚とも交流がない。
村井さんは兄の元妻加奈子さんとともに兄の人生の後じまいをする。兄の最期の様子は分からなかったがただ「汚れている」ということだけはわかった。実際の部屋はそれはすごいもので、ギリ特殊清掃を入れなくてもいいレベル。車の廃車も必要だった。アパートも引き渡さないといけなかった。生活保護を受けていたということも知った。

kindle unlimitedにあったので借りて読んでみたら、なんか、わたしが行く先はこれかと思ってしまった。幸い我が家はきょうだい仲は良いし今のところ健康状態に問題はないと言ってるけど人間いつどうなるかわからんしな、というのを地で行ったのがうちの亡父ですんで。

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愛じゃないならこれは何の続編。恋愛短編集。
地上波での露出がガンガン増えスターになったばねるりこと赤羽瑠璃。
万人に推される星になったばねるりの北極星は変わらずめるすけだ。地下アイドルの後列で埋もれていた自分を見つけてくれためるすけのアカウントを今日も眺めている。
本作はめるすけこと名城渓介の恋人牧野冬美の物語やばねるりの元同僚でvtuberに転生した羊星めいめい=長谷川雪里、同じく東京グレーテルの同僚希美、そして満を持してのばねるりである。
いやーどの短編もタイトルのセンスがいい! ばねるりや冬美の心情描写もキレッキレでとても良い。

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2018年から2022年3月まできょうの料理ビギナーズなどで掲載されていたエッセイだ。
この頃の柚木さんは保育所に通う年齢の子どもの育児をしていた。しかし世の中はコロナがあらわれた頃である。柚木さんは肺疾患をお持ちのようで主治医からは自粛生活を命じられ、子どもからの感染を防ぐために幼稚園や保育所にも通わせずワンオペ育児をしていた。おうち生活を余儀なくされていた頃の苦闘の記録である。

ニュースにブチ切れながらもとりあえずお湯を沸かし続ける私の記録を、「そうはいってもこの人、料理してるし、なんだかんだ楽しんでいるよね。おうち時間をしなやかにエンジョイする爆笑ママエッセイ」と評しそうな連中に、とりあえず、この沸いたばかりのお湯をぶっかけよう。

(P233)

爆笑かどうかは分からんけどそういう育児エッセイなのである。

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当時カナダ在住の西加奈子さん、ある日強いかゆみを伴う赤い斑点が足に現れた。ベッドバグ(南京虫)ではないかと言われた西さんは青ざめてウォークインクリニックを訪れた。西さんはもうひとつ病院へ行かなければならない理由があった。
胸にしこりがあるのだ……。

カナダの医療は日本とは違う。ファミリークリニックと呼ばれる総合医をまず受診し、その後専門病院へ紹介される。西さんのようにファミリークリニックを持たない人はウォークインクリニックへ行き、やはり紹介状を書いてもらいその後専門病院へ行く。緊急の病気の場合や緊急を要さないが予約まで待てない人は救急がとても混む。とんでもなく混む。
カナダでは一部の州ではカナダ人も外国人も医療費が無料で、皆の命の重さは等しく、それゆえに救急での優先は症状の重さだ。
日本の医療で慣れているとカナダではとても大変そうだった。

その後西さんは乳がんと診断され、苦痛を伴う抗がん剤治療およびその最中のコロナ陽性診断。遺伝的に乳がんになりやすいということで乳房切除などもされている。
日記(わかりやすく日記日記はしていないが、日々の記録である)の比較的序盤で山本文緒さん(2021年にすい臓がんでこの世を去る)が亡くなり、後半で安倍元首相の襲撃事件が起こる。

なお西加奈子さんは今もご存命であり、死の間際まで書かれていた文章ではないのでその点は安心して読んでほしい。

作家・西加奈子さん 乳がんを乗り越えて ロングインタビュー「自分を見つめ 踏み出す一歩を」  - クローズアップ現代 取材ノート - NHK みんなでプラス

頭脳明晰の杜屋譲と瞬間記憶能力を持つ和登尊の中学生バディもの。

ノリとしては青い鳥文庫に混ざっていても不思議ではない。読了感がはやみねかおる作品のそれ。
中学校や塾の気に入らない(生徒を威圧する態度をとる)先生をこらしめてやる、ていうのが本題で、ものすごく頭がよかったり、記憶能力がとにかく優れているというだけでそれ以外のチート能力はなさそうで普通の中学生であるところは良かった。
いうて杜屋は「目的を達成するためには人をだますことはいとわない。中学生という立場を利用している」ダークヒーロー的な素材なのかな、と思うけどはやみねかおる感ある作品なので、「わたし10代だったらわくわくしながら読んだだろうな」という気持ちで読める。