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Burn.‐バーン‐ (単行本)

かつて天才子役で今は舞台作家として成功を収めているレイジは子役時代の記憶がない。
当時の映像を見ても到底自分とは思えず、当時の共演者と話をしても歴史の年表を丸暗記をしているようで現実味がない。
そうして出産を間近に控えた妻と交通事故に遭い、入院した先の病院でローズと再会する。
ローズはその失われた20年前の記憶の中で、中心にいた人物の片割れだった。もうひとりは「徳さん」というホームレスで、自分が覚えていないだけで、演出家を目指すうえで影響を与えたかもしれないとローズは語った。

レイジは20年前の記憶を整理するべく小説を書くようにして、(あとはもしかしたら今息詰まっている舞台の脚本のヒントが得られるかもしれないと思って)キーボードをたたいていく。

今のレイジと小学生のレイジが入れ替わりつつ話が進んでいく、のだけど前二作と比べて読みやすさが段違いだった。
失われた記憶を呼び覚ます作業、もうすぐ父になる自分とかつて子供だった自分とかおもしれーなーとか読んでて、いわゆる便所飯のシーンがあって、「人見知り加藤シゲアキエピソード」を目にする機会がわりとあるので1誰かと一緒じゃなくてもいいけどなんかもうちょっとまともなところでご飯食べてたよな実体験じゃないよな、というところが気になった(カツアゲは実体験だって見たしな)

同じ箱にはプールの底に眠る (講談社ノベルス)とか私を知らないで (集英社文庫)とか「あまつき」が入る。
あまつきは徳さんとレイジの関係がトキと蘇芳だからー。
あと「よだかの星」ですね。宮沢賢治のほうじゃなくてSoundHorizonのほう。
よだかの星/Sound Horizonの歌詞

生きているなら燃えてやれ

とかそのまま徳さんでしょう徳さんでしょう。
気になった方はこちらのリンクを踏んでね!
よだかの星 [Short ver.] / Sound Horizon - YouTube

読んでみたらすごい面白かったっていうのが素直な感想で、読後感さわやか、閃光スクランブルは群像劇だった分余計に視点が固定されてるこの感じが読みやすい。あと単純に「なくした記憶」と「うそつきの大人が隠している秘密」とかああいう題材がわたしは好きだという話。
渋谷の物語はこれまでで次は短編集出したいって本の旅人でいってたっけか。
次が楽しみです。

  1. タイムラインに加藤シゲ担がいる []

女装王子の深遠にして優雅なたくらみ (富士見L文庫)

富士見ファンタジア大賞の銀賞作品でL文庫。
シャリア王国のルイーゼは王女として育てられた。というのも先王2人の息子が王位をめぐって争いに巻き込まれることを憂えたからだ。
自分が貴族の派閥争いの結果兄と争って王位についた第二王子だったからなおのこと心配し、第1王子オーギュストが王位を継ぐまでルイーゼの正体は秘密にしようと、事実を知っているものは本人、王、第二王妃、ルイーゼの世話役を任されたヴェルスタール家のみである。
ルイーゼ(ちなみにこの名前も男女どちらでもとれるように付けた名前だ)は予想以上に王女として演じたしオーギュストも王にふさわしい器に育った。王位を譲ればルイーゼのことも大々的に知らせるつもりだったが、王は急病であっという間にこの世を去った。
 「王妹ルイーゼは男である」と世に知らせることができるのは最早ルイーゼのみなのである。現状、唯一真実を知る世話役のクラウスは今すぐにでも言ってほしいがルイーゼはのらりくらりとかわしている。

そうして派手に知らせる場を見つけた。 王にして兄1が持ってきた「ルイーゼの花婿選び」である。花婿選びは同時に事件の始まりでもあったのだという。

ルイーゼは表向きは貴族の視線を一身に集める美貌の完璧な姫君なんですが、まあ本性は雑な、全裸で舞い踊る系の、ついでにいうなら3つ目の顔としてごろつきの親分もやっているという、まあ愛しい系のあほの子。このあほのこがめろめろになっていく話です。

まあ要するに、壮大な一目惚れの話です。

花婿選びに参戦した男は四十二人。自分の秘密をばらす舞台を作り上げるために、最高の人材を見つけたいとして「なんかめんどくさい事情を抱えてそうなやつとか、俺ぐらい美形のやつはいないのか」とサロンをみていたら本当にそんなヤツがいた。それがオレスである。

そして先ほど抱いた感情を打ち消すかのように、自らの頭を幾度も壁に打ち付けた。
「違う!! 違うぞ、今のは違うんだからなっ!!」
しかし思いとは裏腹に、波立った精神はなかなか落ち着くことがない。
「なっ何にもドキドキしてとかないからな!! ふざけるなよ!! 馬鹿っ、変態!! ……って、痛あああっ!!」

(P193~194)
  1. ちなみにお兄ちゃん妹がとても大事にしている。自分もいずれ子供ができたらお前に構う暇がなくなってしまうかもしれないからお前を大事にしてくれる相手を見定めたいというあれである。 []

PSYCHO-PASS ASYLUM 2 (ハヤカワ文庫JA)

なかなか萌えの塊だった。 サイコパススピンオフの二冊目。
本の大半を占めているのが六合塚弥生と唐之杜志恩、それから弥生のモトカノの話で、これは霜月監視官着任後の話。
もうひとつは宜野座メインの話で、若い。佐々山も生きてる。つまり咬噛さんが監視官でぎのさんも監視官である。

サイコパススピンオフの1冊目はグソンの話がメインで、とことん救いがなくてかなりえげつない話だったけど、この巻はその辺が相当マイルドである。サイコパスなので人は結構死んでるけどグロさはない。
公安局に助けを求めた記憶障害のある少女、未来の証言で弥生は反シビュラレジスタンスの巣食うライブハウスへ潜入捜査をしていた。
この反シビュラ組織にはかなりの少年少女が拉致されており、この組織が狙っているのは色相が悪化しつつある、10代半ばの妊娠の見込みのある少女である。十分な医療施設で手術して赤子をとりあげてから母体は殺しているようだ、という話。
結構サイコパス二期と似た手触りの話で、もうひとつのカムイみたいな感じ。弥生&志恩の愛の話もがっつりとあった。

で、ぎのさんがメインの話である。
これがくっそもえのかたまりでやばい! やばい! っていいながら読んでいた。
動物の再導入という、動物に野生を思い出させようとしたら害獣化して殺処分対象になった本末転倒な計画のせいで若き監視官宜野座が走り回る話である。
何がすごいかとうとおはようからおやすみまでならぬ、幼い頃のギノさん、プライベートのギノさん、実は犬が大好きギノさん、こーがみさんとは良好な仲だったギノさん、もし自分も家庭を持つようなことがあれば思うギノさん、ピルイーターギノさんなどなどさまざまな宜野座が見られるので宜野座ファンはぜひとも読んでいただきたい一冊!

《だからな、ギノ。俺はお前が誰よりも監視官という職に対して真摯であることは理解しているつもりだ》
 そうだ、今だって。
「……いきなり、何だ、急に……」
《征陸執行官の問題については理解している》
「……咬噛」
 分かっている。相手は浅慮で物を言っているのではない。だが、それでもーー。
《しかし、それでもお前は優れた猟犬を正しく扱うべきだ》咬噛のあまりに率直でまっすぐな言葉。《親友だと思うからこそ言わせてほしい。今の俺たちは人数こそ少ないが、かなりベストなチームだ。お前が指揮官となり俺たちを動かすことができるなら、どんな事件であろうと解決できると思っている。負けなしのはずだ。それだけの戦力が揃っている》
 まったく本当にこいつはもう、まるで変わっていない。

(P261〜P262)

この辺のシーン本当に全部引用したいぐらいの鳩死亡ポイントで。
終始こんな感じなので(ああ、サイコパスだなっていうシーンはあるんですが)「犬好きな宜野座」ですでにピンと来た方は是非。

王女コクランと願いの悪魔 (富士見L文庫)

王女コクランの元に現れた伝説のランプの悪魔。しかし願いなど何もないと悪魔を追い返そうとするが悪魔はなんとか願いを聞き出そうとする。ふたりの奇妙な同居生活が始まる。「物語の方」と呼ばれるコクランと「願いはない」ということばの道筋をたどる話。
後宮といっても寵愛を奪い合う場所ではなくて貴族の子女の教育の場みたいな感じで、割とコミカルだったりするんですけど賑やかしの悪魔、冷静な王女のやりとりは面白いんですけど全体的な空気はシリアスで。
どう言うところに着地するんだろうかと思っていたらお、そこか! ってなった。ダンスとかチェスとか悪魔が王女を心を開いていく話かと思ってたんですが、すべてを与えられている王女が唯一欲していたものは誰も与えられることはなかったという。
よい物語だったー。

デュラララ!!SH×2 (電撃文庫)

デュラ世代交代編の2巻。
「首なしライダーが人をさらう」都市伝説と蛇足の話。 セルティよかったね!

あとどっかで言ってるかもしれないけどリーベイってたぶん越佐のリーレイの親戚かなんかだよな。雰囲気似てる感じ。
あと渡草の名前が三郎って表記されて誰だろうってすげえ考えた。

リラ・ティルトゥース・在野に折原臨也を感じ取ったのはたぶん作中の折原狂信者だけじゃなくてリアル折原ファン(考察とかあの辺が好きそうな感じ)も転がったんだろうなあと思った。そんなアナグラム。
1巻とあわせて前後編っていう感じだけど分割三クールなアニメデュラがあるから当分はデュラの展開が多いのかなと思いつつ、5656はまだ待ちたい。

ハケンアニメ!

覇権アニメを狙う人たちの物語。
覇権っていうと俺妹やってたときのアニプレックスゆまさんを思い出すなあと思ったら巻末の謝辞のところにいた。

スロウハイツとか凍りのくじらほどではないにしろエンタメで生きてきた人間にとって第一章はほんま殺す気かと。

リア充って現実や恋愛が充実している人間を揶揄して指す言葉があるけど、リアルが充実していなくたって、多くの人は、そう不幸じゃないはずでしょ? 恋人がいなくても、現実がつらくても、心の中に大事に思ってるものがあれば、それがアニメでも、アイドルでも、溺れそうな時にしがみつけるものを持つ人は幸せなはずだ。覇権を取ることだけが、成功じゃない。

(P105)

「----ともかく、もとからある景観を壊してまでアニメの何かを置こうって考えるのは本末転倒ですよ。ファンは、場所さえわかれば、あとは自分の見方で世界観を補いますから(略)実写の時と違って、アニメファンが見てるのは、ここそのものじゃなくて、自分の中にある景色ですから、現実の景色はそれを映すときのスクリーンみたいなものというか」

(P284)

タイバニとうたプリの特定しましたの流れを思い出す。

殺させてもらえなかったといってトウケイを去った王子が生きる話を書いたところでその年月に転がるしかない。人の変化は美味い。

うちは聖地巡礼じゃないですけど東京から遠く離れた地で、アニメで町おこしじゃないけど年2回で何万人という規模で人が集まるマチアソビというイベントをやっています。まだなんの告知もない時点からホテルが埋まったりして人の熱意はいろんなものを動かしているというのを目の当たりにしています。すごい本を読んだ。

PSYCHO-PASS ASYLUM 1 (ハヤカワ文庫JA)

本編の前日譚。グソンの生い立ちと朱ちゃん着任前のかがりくんメインの話。
グソンの過去はまじえぐいです。同じジャンルの箱にはされ竜が入ってます。まじ色相濁る話なのでアニメ版のサイコパスがぐろいと感じる人は読まないほうがいいレベルー。多くの犠牲の上で生かされてしまったグソンの話です。王陵璃華子がちらっと出てたのが嬉しかった。でもグソンやべえ。
女神(シビュラ)に徹底的に無視された存在だという填島が出てきた辺りはちょっと癒しのターンだった。ここまで救いとかなんもないからな。

かがりくんの話は本編の1年前でグソンの話に比べたらなんと平和なことか。1年前なので管理官ギノさんいるしこーがみさんいるしまさおかのおっさんも普通にいます。料理大好きかがりくんが生まれる話です。クッキングアイドルは一人の料理人と出会うまでは食事とは栄養補給の手段で流動食とか簡易なもので構わないと言っていた頃がありました。そんな話です。

分量としては6割グソン4割かがりくん。

おこぼれ姫と円卓の騎士 恋にまつわる四行詩 (ビーズログ文庫)

サブタイトル的に短編集かと思ったら「薄めの本編」といっても通るぐらいの長さの中編と掌編が3つ、ちなみに中編はウィラードとアイリーチェの出会いの番外編で、おこぼれ姫シリーズ最大に甘い話です。あっそういえばこれ少女小説レーベルから出てるやつやったわ! って思った。
でもウィラードがメインということもあって、「おまわりさんこいつです!!!」レベルもハンパないです。
あと騎士学校の話でアイリーチェが元旅芸座の踊り子ということもあって、ダンス成分が多い話です。ドレスもあり、剣舞もあり、おいしいです。
あとの掌編がアストリッドのワルツとかレティとデュークの(一方的な)出会いの話とかノーザルツの話。おもしろかったです。

f-clan文庫で刊行された相棒とわたしの同人誌版の新刊です。

惚れて通えば千里も一里 大阪インテありがとうございました〜!!!

とらとか通販をしてるみたいです。なんか全3巻となるようで、え、まだ続きあるんだ!? ってなった。
商業出版は絶版になってもブックオフっていう手があるけど今回は同人だし重版はまずないと思って、気になる人はとりあえず買って積んでおきましょうね。
とりあえずフォルク推しなんですけど。読んでてぎゃあ! きゃあ! ってなった。
最近「ずっとこのままでいたい」と「このままじゃいられない」と「もう1歩先へ進みたい」が私の中でとても流行っているんですけどまさにそんなかんじでしたごちそうさまです。

デュラララ!! 外伝!? (電撃文庫)

デュラ外伝。あちこちに掲載されてたり収録されてたやつ。デュランプとかちょう懐かしいわ。
予想外の喜びは「黒髪中学生シズちゃん」と「成人式のシズちゃん」と「ワゴン組メイン」の話があったことです。
難解いざや城は麒麟川島の声で再生された。くどいわ! って突っ込み入った。

あとアニメ2期放送が割と早くてびっくりした。来年早々からはじまるんだな……

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