カテゴリー「 児童書 」の記事

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RDG レッドデータガール  はじめてのお使い (カドカワ銀のさじシリーズ)

世界遺産に認定される玉倉神社(山伏の修験場)で育った鈴原泉水子と山伏の修行をしている相楽深行(泉水子の父の友人の息子)の話。

タイトルが凄い。はじめてのおつかいってそっちか(゚д゚)!みたいな。
色んな意味で絶滅危惧種な中学生の女の子の話です。
泉水子と深行の関係は須賀しのぶの「アンゲルゼ」の陽菜ともーちゃんをもうちょっとライトにしたような感じを受けました。

泉水子は超内気で、玉倉神社が路線バスも通っていない山奥にあるため車での送り迎え必須なので学校帰りに遊び歩いたりできない。即帰宅なのである。
あと電子機器(パソコン・携帯・電車の切符の販売機)をちょっと触っただけで片っ端から壊していくのでJDCシリーズの龍宮を思い出した……

とりあえずまだシリーズ1巻2人の出会い編という感じなので続刊に期待。
とても面白かったです。

深行はうなずき、泉水子を見返して真顔で言った。
「ドタキャンするなよ。これでおまえが行かずにだめになったら、この先一生いじめ抜いてやる」

(P170)

泉水子の手はふだんより熱っぽかったが、深行の手の温もりは伝わってきた。包む込むほど大きく、骨ばった指が長く、力のある手のひらだった。その温かさからは、深行の自信がこちらにまで流れ込んでくるようだった。ひとりで何でもしてきたという自信——そこに裏打ちされた、何が起ころうとなんとかなるという楽観的な気がまえ。
(口先だけじゃないんだ、深行くん……本当に怖くないんだ)
深行と交わしたどんな強烈なやりとりよりも、彼の手のひらのほうが多くを語っていた。今になって初めて、深行がここにいると実感したような気がした。

(P198)

となりのウチナーンチュ

ふと借りてみれば読書感想文中学校の部課題図書。
私リアル中学生の時に課題図書にこんなんあったらこれで書いてたかも。これだったら書きやすそうな感じ。

メインとなるのは父子家庭×2。で友情もの。
直木賞作家を目指す勇とその娘彩華。東京から移住してきた和久と夏海。
彩華はある日蛙の神様の置物の声が聞こえるようになった。沖縄らしくユタに……というわけではなく神経科に通うことになる。

また夏海も不眠と憂鬱で神経科通いをしていた。さらにつけくわえ夏海への束縛と執着が尋常ではなかった母の念は、生霊となって家を出てからもそのまま家に残された。
そして和久と夏海は沖縄へと引越し、勇・彩華の隣で暮らすこととなる。

ちなみに神経科うんぬんというのはあんまり話には関わってこない。
カエルは喋るよー子供のときにだけ訪れるー不思議な出会いーな感じで扱われている。

これが面白かった人は
バガージマヌパナス—わが島のはなし (文春文庫)

これ読むといいかも。こっちはユタになってしまった女の子の話。

スノーグース

絵本版しかなかったのだ(新潮文庫からも出ているらしい
絵本といっても極端にひらがなが多いということはなく、普通の小説よりはちょっとルビが多く、短編に絵がついて本のサイズがとても大きくなったという感じ。

戦争中のイギリス南東の沿岸部にあるとある灯台付近が舞台。
「灯台に住むかわりもんの絵描き」フィリップ・ラヤダーとのちに「迷子の王女様」と呼ばれる怪我したスノーグース(鳥)を治してもらおうとやってきた少女フリスの話。

読み終わった後 _| ̄|○ ←こうなった。素でへこんだ。
うわぁぁぁぁぁ。

ふたつの野性の魂がたがいを呼びあい、フリスは夕空をスノーグースとともに飛びながら、ラヤダーからの伝言を聞く思いがした。(P46)

昼の少年と夜の少女

児童書カテゴリを作らねば……童話です。ファンタジーです。
昼しか知らずに育った少年と夜しか知らずに育った少女の話。
ニュクテリス(♀)のほうがきゅんきゅんするな。強いなー。「あたしによりかかりなさいよ!」とかー。

オーディンとのろわれた語り部

北欧神話を下敷きにした民話?
北の国の女王と結婚したいがために魔法使いクヴェルドルフは<ネコのトード>に自分のことを語らせようとする。トードはそれを拒絶するが、クヴェルドルフはならば、と死霊を作り出し農場を襲わせる。昼も夜も死霊が歩き回り、悲鳴が響き、平常を装っていた住民のうち臆病なものはついには逃げ出しはじめ、トードの2人の兄も逃げ出す。

「あなたたちオーディンを信じる者はみな同じだ。あなたたちの神はうらぎり、殺す神だ。あなた方も、人をうらぎり、殺すことで神をあがめているのだ」(P22)

オーディンが直接出てこないにしろ邪神ちっくにかかれてるからユミルの爪角思い出したぜ……
というか42ページの挿絵がえr……いやなんのことかわかりませんが。

倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)

カテゴリ的には児童書。12歳以上推奨らしい。今の12歳こんなの読むの?(賢いなあ)とか思った。
戦時中の女子校でミッションスクールの話。初皆川博子。

皆川:もう1本『倒立する塔の殺人』というタイトルだけはあるんですが中身はない(笑)。桜庭さんは?
桜庭:春ごろにカトリック系の女学院を舞台にした本を予定しています。閉鎖空間としての学園を演劇っぽくつくって、鎌倉の大仏ぐらい大きい不気味なマリア像があって、そこに読書クラブっていう狂ったように本を読む少女がいて。
皆川:あ、かぶった! 『倒立する塔の殺人』の舞台がミッションスクールなのよ。ノートにね、小説を何人かで回し書きしていくっていうスタイル。

野性時代2007 2月号 桜庭一樹with皆川博子魂の姉妹対談

これを読んでいつか読もうと思ってたのだ。
悪意! 毒! 親愛!
戦時中でも女子校は女子校だ……
異分子のイブちゃんとかヌーっとしてボーっとしてるからヌーボーとか直球なあだ名がそこここにあった。
青年のための読書クラブとかリリィの籠が好きな人はいいかも。と思った。

Wuthering Heights? エミリー・ブロンテ……嵐が丘?とか(←嵐が丘の原題は初めて知った
カラマーゾフと白痴が出るたびにコチと裏庭の方だ……と。

徹底的に尽くすか。ひたすら見つめ続けるか。死に至るまで苦痛を与えるか。死なせてはならない。死んだらすべてが終わる。我が恋もまた。いずれにせよ、根本にあるのは、支配と被支配の関係である。尽くすのもまた、支配のひとつの形なのだ。

(P89)

妖怪アパートの幽雅な日常(8) (YA!ENTERTAINMENT)

淡々と着々と月日は流れているなあ。
というか千晶先生死ぬんかと思った。いや今後は分からないけども。あの煽りだったから、ちょーまじで心配したのだ。

アパートの人たちはいいねえ。ちょっと昔の自分がこれ見たら多分適当に言葉を置き換えた後、ごっほうと盛大に血を吐いてのた打ち回ってると思う。

「Mは、苦しくてミジメで哀しいことに文句言ったりしな?い。むしろ、カ・イ・カ・ンでしょ!? でもこういう苦しみ屋さんは、苦しいミジメだ哀しいって文句たれて、世の中を呪って他人を妬んで……それで満足しちゃうの。同志を得たら『な、俺たちってミジメだよな。世の中ってヒデェよな』って言い合えるから、ますます満足度が増す。負のコミュニケーションだネ」(P55)

長谷の親馬鹿っぷりは久しぶりに見たような気がするなあ。
ごちごち。

妖怪アパートの幽雅な日常(7) (YA!ENTERTAINMENT)

妖怪アパート7巻は先輩の卒業・千晶先生のやや過去話・まり子さんの生前の話他でできています。

「なんか、自分が弱いこととか、自分が見つけられないこととかを、エライことみたいに言ってる人いるよね! 一種の開き直り? それで、強いあなたに何が分かるのよって! イヤ、わかんないし! わかりたくもないし!」
「ギャハハハ! 常套句!! 『あなたに何が分かるのよ!』言う言う!」
「ホントに弱い人間は、そんなこと言いませんから」
「そんなことを言う奴はズルイ奴さ。そう言えば逃げられると思ってるんだ。卑怯だよ」
(P57)

妖怪アパートの大人ーズはざっくりざっくりである。

下町不思議町物語 (YA!フロンティア)

となりのトトロ+妖怪アパート+片耳うさぎ、みたいな。
妖怪アパートに比べれば登場人物は随分と少ないし登場人物の年齢もぐっと下がって小学校6年生。
両親が離婚して関西から関東へ引っ越してきた直之。病気で体の発達が遅れた直之は今は元気だが体が小さくて細い。そして現在住んでいる父の実家は裕福であったが礼儀や行儀や生活態度に何かとうるさい祖母が主人。
ある日ふらりと立ち寄った道の奥にあったレトロな町で関西弁を喋る高塔(後に師匠と呼ぶようになる。何かの弟子入りをするわけではない、と思う。)と会う。

サンマとオムライスが美味そうだ……
とりあえず気になるのが「古本屋」妖怪アパートとリンクしてる?
これはまだ続くだろうと思うのですがシリーズ化希望。ネコタクネコタク

封印の娘 (大江戸妖怪かわら版 3)

異形のみが住む大江戸に落ちてきた、この世界唯一の人間・雀
かわら版屋で原稿を書いて売って妖怪の町で住んで2回目の冬、年越しである。
時代劇っぽい児童書の3巻。

菊五郎が保坂家のぼんと側近を追い返すところが好きだわー。
狐火のところは綺麗過ぎるな。頭がちりちりする。

何かしら目的を持っているわけもなく、ただそこに居るだけ。彼らは、あるがままにそこにあるだけ。
 だが雀には決して踏み込めない存在なのだ。
 決して覗いてはいけない深淵。
 雀と何も変わらないように見える雪消。だが雀と雪消の間が牢で隔たっているように、越えてはいけない境界線がある。
 境界線の向こうには……
(大江戸の本当の姿がある……?)

(P120)
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