世界遺産に認定される玉倉神社(山伏の修験場)で育った鈴原泉水子と山伏の修行をしている相楽深行(泉水子の父の友人の息子)の話。
タイトルが凄い。はじめてのおつかいってそっちか(゚д゚)!みたいな。
色んな意味で絶滅危惧種な中学生の女の子の話です。
泉水子と深行の関係は須賀しのぶの「アンゲルゼ」の陽菜ともーちゃんをもうちょっとライトにしたような感じを受けました。
泉水子は超内気で、玉倉神社が路線バスも通っていない山奥にあるため車での送り迎え必須なので学校帰りに遊び歩いたりできない。即帰宅なのである。
あと電子機器(パソコン・携帯・電車の切符の販売機)をちょっと触っただけで片っ端から壊していくのでJDCシリーズの龍宮を思い出した……
とりあえずまだシリーズ1巻2人の出会い編という感じなので続刊に期待。
とても面白かったです。
深行はうなずき、泉水子を見返して真顔で言った。
「ドタキャンするなよ。これでおまえが行かずにだめになったら、この先一生いじめ抜いてやる」(P170)
泉水子の手はふだんより熱っぽかったが、深行の手の温もりは伝わってきた。包む込むほど大きく、骨ばった指が長く、力のある手のひらだった。その温かさからは、深行の自信がこちらにまで流れ込んでくるようだった。ひとりで何でもしてきたという自信——そこに裏打ちされた、何が起ころうとなんとかなるという楽観的な気がまえ。
(口先だけじゃないんだ、深行くん……本当に怖くないんだ)
深行と交わしたどんな強烈なやりとりよりも、彼の手のひらのほうが多くを語っていた。今になって初めて、深行がここにいると実感したような気がした。(P198)