先日文学界で桜庭一樹さんが「少女を埋める」を発表しました。これは私小説ですとのことです。そして鴻巣友季子さんが先日朝日新聞上で発表した評論は作者が意図しない解釈が「あらすじ」として掲載されています。

このツリーを読んでいただくのがいいかと思います。そうこうしていたらnoteで「少女を埋める」の3分の2が無料公開されました。

少女を埋める|桜庭一樹|note

読みました。「介護中に虐待」があったというのは想像であり、あらすじではないと思いました。

これは私の解釈ですが、「ずいぶんお父さんを虐めたね。」という母の発言があったとしてそれは介護中のことかどうかは分からない。正直なところ桜庭さん自身7年会っていない声も聴いてない状態ではどういう状態で生活していたのか知らないだろうと思う。
ただ私が思ったのは、「これまで何度も危なかったけど、ぶじに連れて帰った。」ということは20年間それなりの頻度で入退院を繰り返したが、その都度在宅復帰を望み実際その通りにしてきた。どれだけ身内の支援があったか、どんな介護サービスを受けてきたかはわからないが、お母さんはもう無理です家では看られません、施設へお願いしますとは言わなかった、とてもよく頑張られた方だと思った。

あとこれが私小説として発表されて、あらすじとして「介護中の虐待があった」と読者が多い新聞上で書かれてしまうとうちとか鳥取のような地方では「そういえばこの前新聞で読んだけどあそこの奥さん……」というのは割とごく自然にあり得ると思う。抗議するのは当然だ。

ちなみに介護というのは本作ではあまり語られない部分だ。
どちらかといえば鳥取という土地の空気感とか家族の関係とか、いくら家族が危篤だからといって2021年はじめのコロナ禍の東京から感染非拡大地域へ行く葛藤とかそういうあれなのではないかなと思った。

赤朽葉が鳥取で生まれた理由をこんな形で知るとは思わなかったが、冬子もしくは桜庭さんのお父さんは読書日記で読んだこともあって、なんだか「最近疎遠だが高校の時の友達のお父さんの訃報」を聞いたような気持ちだった