野良女

・現代コメディです。
・非常に明るいノリで下ネタが多く含まれます。
・「女性に『自分の性生活』みたいな下ネタトークされたら引く」という方は読まないほうが無難です。1

28?30歳の独身女性が5人登場して、短編ごとに視点を交替して進んでいく話です。
「そこまであけすけでないけどそういう会話最近したわーーーー(゚д゚)」とか「やめろ現実を見せるなあああ」とか「そんな リアルさは いらない!(読むけど!」とか叫びながら読んだ。
とてもリザキル2上等の話だった。

「私、二十五を過ぎたら普通は結婚できるものだと思ってた」(略)
「ねえ鑓水、私たち二十八だよ? あと二年で三十だよ? 二十になったころ、こんな人生想像してた?」
「自分が三十歳になること自体想像していなかった。あ、瑞泉、ロックで」

(P11)

何をいうても最初の衝撃はこれ。こんな会話こないだ結婚式終わって突発開催昼の二次会の時したんだ。
再現するなら「15ぐらいの時にはなー、25ぐらいになったら子どもはおらんでも結婚ぐらいはしとるって思わんかったー?」「めっちゃ思ったー」である。
こういうのがそこかしこに存在する。耳と心が痛い。千切れるほど痛い。

「俺のピサの斜塔を君の青の洞窟にブチ込んでやる! さあ高らかにカンツォーネを歌うが良い!」

…… 無 理 だ !
ていうかソレントへ帰れ!!

(P107)

野良女はモデルありの実話ベースだけど「太陽にぽえむ」のこれは実話ではないらしい……3
ここら辺から死ぬほど笑った。出陣じゃー! とか馬鹿だろう! 馬鹿だろう!

模型だらけの俺んちは全体的に笑いしかなかった。前半はDVである。しかし何故か明るい。
DVといえばDVなんだけど、「良い殴り方と悪い殴り方がある。見えないところ殴るなんて最悪、痛みないくせに顔とか見えるところにあざを作る殴り方が良い。それに暴力ありの性交渉は快楽がヤバい4。これ知ったら普通のとかもうできない」というDVの受け手、not被害者。「この人は自分がいないとどうしようもない」みたいな不幸のぬるま湯展開には程遠い。
不健康といえば不健康だけど「ある意味同意の上のDV」「性欲の捌け口」「未来への負債がない麻薬」ていう感じでした。後半はガチオタ男子登場である。この人ただのMじゃねえなと分かる。綾波長門の登場である。

曇りガラスの三十代が一番ローテンションというか湿度の高い話だけど最後はちゃんと幸せに終わる。
最後のしめの話がまたよい。よきかな。

愛する人に殴られても痛みを感じない私は、愛する人を殴っても心が痛まない。そういう被虐性と加虐性を併せ持っている人種は、結構いると思う。私は磯野さんに殴られたいとは思わなかった。代わりに、ものすごく殴りたいと思った。廻し蹴りをかまして鼻血を出したのを上から裸足で踏みつけて、許してくださいと足の裏を舐めさせながら懇願させたかった。

(P148)
  1. おそらくドン引きします []
  2. 死んで生き返ってもう1回死ぬ []
  3. と活字倶楽部09夏号インタビューといわれていた []
  4. いい意味で []