あるところに温泉が好きな女の子がいました。女の子の名前は柚子と言います。柚子は高校生で、そろそろ進路決定にさしかかりました。進学なんてまっぴらだけど就職する未来もよくわからない。というところからはじまります。
柚子の家庭環境がかるーく書かれているけどすんごい重い。
母の愛は妹ばかりに向いている。姉は金の無心に来るのできっちり期限をつけて貸してやる。妹はデブでおそらくかつては天才だった。父は影が薄い。ゆずは家事を任されている。このまま家にいたら搾取される未来しかない。屋根があるところに寝床はあるけど、虐待されているようなものだよなあ。
その辺はアナザー「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」っぽい感じではあります。
軽く書かれているけど実態は重いから読んでると段々胃が重くて気持ち悪くなってくる。本との戦いである。
水中毒に覚えがあって、あって思う。でもあれは違うと思う。
そのお疲れ様な人生が永遠に終わらないということはない、というあたりよかったな。
あとちゃんと報われたあたり。
「小さい頃、あんだけ神童神童言われてたのが、だんだん目立ちもしないフツーの成績に近づいていくのはどんな気分よ! え? 公立でトップクラスでも予備校入ってみたら、自分と同じくらいの女の子がザラにいて、しかもフツーにかわいかったり彼氏いたりすんのを見るのはどんな気分よ! え? クラス中にキモブタ呼ばわりでハブされてるイライラを、お母さんが甘やかしてくれる家の中でだけ、威張りくさって発散するのはどんな気分よ! え? え? え!?」
(P137)