短編集。
タイトルの通り「うたうひと」つまりミュージシャンが主人公。
日本が舞台だったり外国が舞台だったりドリフターズがモデルだよねこれという話とか。
豊島ミホのカウントダウンノベルズをちょっと思い出した。
好きなのは「その夜に歌う」「笑うライオン」。というか「その夜に歌う」はよい!
ジョーはピアノバーのオーナーだ。しかしピアノは埃をかぶっている。誰かを雇えるほど金に余裕はなかった。
ある日いつもと同じように開店準備をしているとエリックがバーを見ていることに気がついた。
貧乏学生か浮浪者一歩手前の風貌のエリックに上等な客ではないと思いつつジョーは声をかける。返事はない。
きらきらしているエリックの目はジョーを見ておらず見ているのは店のずっと奥のピアノ。
ピアノを弾かせてほしいというエリックにジョーは「その服は臭い、着替えるなら弾いてもいい」と条件を出した。
いざ弾かせてみればクラシック・ジャズ・ロック、ほか弾けないものはないとばかりに弾く。
ピアノがうまくて歌もうまい。その日からエリックはジョーのバーのピアニスト兼皿洗いとなった。
エリックとミンディにときめいた。