最近twitterで聞こえてくる15×24の感想などを見ていたらどこでどう繋がったのか、ネットワークフォックスハンティングが読みたいなあと思ったので図書館から取り寄せることにした。
捨ててないと思うんだけどどこいったんやー。
この本が出版されたのは96年の4月であとがきに書かれた日付から察するにこの物語が書かれたのは1995年ごろです。なので利用されるネットワークが「パソコン通信」だったり「超高速の通信カード」が32kbpsだったりするんですがまあそれは時代の雰囲気ということで。
舞台となるのはT市、100階建ての商業施設と住居施設と駅とが一体化している、ひとつの街機能を有する超高層ビル「フロンティア360」1。ネットワークフォックスハンティングというのはこの小説内のルールに従うと「パソコン通信を利用し、鬼である狐はヒントを出し、ハンターは居場所を推理する」ゲームです。2
このたびの狐狩りの報酬は「オフ会参加権、集合場所はフロンティア360入り口前」。
一度フロンティア360内部を見学してみたいわたるはフロンティア360へ急いでやってきた。
そして午後1時45分、T市にM8の直下型の地震が発生する。T市はあっという間に廃墟も同然となり街機能は麻痺し、フロンティア360は崩壊こそしなかったものの阿鼻叫喚の舞台となる。
単身こっそり住居施設を見学中だったわたるは地震によりがれきに足を挟まれ身動きが出来なくなる。
わたるは病気により声帯をなくしており声が出せない。持っていたパソコンとPHSで、パソコン通信を通じて助けをもとめる。
物語はわたるのみに重点を置かれて書かれるのではなくフロンティア360の内外、「うちの家内を助けてくれ! せめてお腹の子を助けてくれ!」という人や「人々を救うためにこの惨状を伝えなければならない」とビデオカメラで撮影して送ったマスコミ関係者や消防士や警備員や設計者やフロンティア360に関わる人々も描かれます。
災害なので誰も傷つかないなんていうのはありえません。死者も当然ながら出ます。
パニックになってエレベーターや階段に殺到したり、生命の危機に立たされたり、崩れ落ちた街を見て呆然とする人々の描写もあります。
しかしメインはそこじゃなくて「助けたい」の一言に尽きる物語です。
ここで何が起こってどう動いてどう着地するのか覚えていても足の裏がぞわぞわするすんげえええ話です。