日常の謎系ミステリ短編集。
荻窪のカフェ「アンブル」に集う作家と古本屋と同人誌の主宰、あと編集者。
ここでは「コージーボーイズの集い」が時折開催される。趣旨はお茶とケーキを囲んでミステリの話、掟は作品の悪口は大いに、人間の悪口は言ってはならない(※なお後者は時折破られる)
その場で「ああ、そういえばねこんなことが……」と謎が提示される。ああでもないこうでもないと言っているうちに店主も「恐縮ですが」と自説を述べる。
「アッと驚くような」展開はないが、ほのぼのとした雰囲気で読みやすくコージーボーイズの集いの席に座っているような気分になる。
物珍しいのは各短編終わりであとがきのような「本作の源泉」が語られる。なので制作秘話が好きな人は「おっいいね」と思うだろうし「作者の顔が頻繁にちらつく作品はちょっと」という人は避けられたほうがいいと思う。