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バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫)

ゴージャスをベースにしてファミリーポートレイトの後半を足した感じっぽい。
つまり自伝小説だったりどこまでが事実でどこが虚構なのか分からない感じの小説。

小説家を目指す僕は大学に入学して、コンパでぼっちなうのところを突然現れた全裸の男に絡まれた。
見た目はどう見ても変質者だけどコンパの参加者である。
僕の話でずっと続くのかというとそうではなくて語り部は1章ごとに交代する。話はゆるくリンクしている。
誰かの書いたものが誰かの光になっているというのは、いいなあ。4章は特に好きだー。
全裸が面白かったので遠巻きに眺めていた660円を買ってきました。

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3章は幽霊になった小説書きの話です。うっかり連想したのはコモリさんのけーこの話である。
幽霊だからね! 小説書いちゃってるからね! いやもうこれはしょうがない。
そんなわけでそんなコモリさんの小説が読める「バカとラノベと管理人」は現在通販絶賛受付中です。
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以上宣伝でした。
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原稿零枚日記

小川洋子の対談とかエッセイは読んでたけど小説を読むのはこれがはじめてかも。
タイトルは日記だけど中身は小説です。日記調の小説です。
乙一の小生物語よりはもうちょっと小説寄りで、紺野キリフキのキリハラキリコよりはもうちょっと現実寄り。
日記の書き手は小説家で「小説を読んであらすじを語る」のが上手で、長編の執筆に悩んでいる。
ようやく3枚ほど書いたかと思えば次の日にはそれを棄てる。毎回の日記の締めは(原稿零枚)
母の見舞いへ行き、運動会に侵入し、パーティに参加し、取材に出向き、毎回締めは(原稿零枚)なのである。

「どうもありがとうございました」
形だけお辞儀をして、編集者は部屋を出て行った。
いいか、お前の話を聞きたがっている人間などこの世に一人もいないのだ。付け上がるんじゃない。
取材の後必ず自分に言い聞かせる戒めを、今日も高らかに唱える。

(P33)

あなたに贈るキス (ミステリーYA!)

この世界にはソムノスフォビアという病気が存在する。
発病すると異常に眠ることを恐れ、脳炎高熱嘔吐その他様々な症状を起こし遅くても2ヶ月以内に死に至る。
致死率100%のその病は世界をパニックに陥れた。やがて直接唾液の触れ合うキスで感染することが判明し、現在はほとんどの国で唇をあわせるキスは違法行為として禁じられている。

全寮制の学園、純潔を尊ぶリセ・アルピュスではひとりの女生徒の死が波紋を呼んでいる。
彼女の死はあの病によるものだと。織絵が死んだ謎をめぐり美詩は学園を走ることになる。

織絵と美詩の関係がやばい。あの死の真相・ラストシーンはすげえ! と思いました。
美詩は恩田陸「麦の海に沈む果実」の理瀬っぽいよな。色んな意味で。

唇と唇が触れあえば、どんな気持ちになるのか知りたくなる。目を見交わすよりも情熱的で、手を繋ぐよりもきっとぞくぞくして、セックスほど即物的ではない感覚。

(P98)

やっちゃれ、やっちゃれ!—独立・土佐黒潮共和国

京都よりも遠いお隣、高知県を舞台にした小説。
住民投票の結果、高知県は日本から独立して黒潮共和国になった。
混乱の世の中老人達は意気揚々と林業や農業を再開し、若者は生活の急激な不便さに戸惑っている。
あれはどうするのかこれはどうするのかと悩みながら決めていく前半が好きだな。
ところでわたしはよっちょれよっちょれ派です。

高知が独立するまでに至ったのは、この沸きあがるような土佐人の力だ。
問題は、この力を維持しつづけていくことだ。智彦がいった通り、祭りはいつか終わる。人々は日々の暮らしに戻っていく。いってみれば、日々の地道な暮らしがあるからこそ、祭りの日のエネルギーとして発散される。祭りの力で独立を果たした後には、地道な暮らしが待っている。それをどのくらいの人々が認めることができるか。きっと、それがこれからの黒潮共和国の課題だ。

(P213)

時計王と魔法のドレス -ばらのフリルと初恋の鍵- (B’s‐LOG文庫)

表紙ぱっと見「なんかアイリスっぽいなあ」と思ったけど、もうちょっと見るといちいちレース風になってるところとかが「ああ、やっぱりビズログだなあ」と思った。
うさみさんちの「ラノベタイトルロゴに使われているフォント」とか見てて改めて思うことには、タイトルロゴが一番装飾されてるのはビズログだと個人的には思っている。すごくデコデコ。
ていうかビズログの「魔王」レーベルっぷりはなんだろうか。これにも魔王が出てくる。

ドレスのデザインから縫製までこなす1ハーモマイアは、ドレスを持っていった先の屋敷の跡取で幼馴染みのカリストルとともに「魔女の森」へと足を踏み入れる。
森で見かけた喋るウサギを追いかけて2人がさらに奥へ迷い込み時を司る魔王クラウドの城に辿り着いた。

アリスパロな冒頭ですがそれは続きません。少なくともダークな寓話っぽい気はあんまりしません。
暗くはないよね。瀕死の人はいるけどそれは表舞台には出てこなくて華やかな場面が続くし。
しかしなんというかこう、全体的に肌色ですね2
剥かれたり脱げたり脱いでいたり、あとお風呂に乱入されたり皮膚露出・接触の多い話ですね。
まあ全裸が多いと言ってもエロさはこれっぽっちもありません。
魔法のドレスなら魔女っ娘ちっくに着替えさせてあげてもいいと思うけど全裸なうである。

最後まで「クラウドの正体は時間軸がずれているカリストル」と思っていました。最後まで読んで「あ、カリストル解放されてる……」と思ったのでした。ていうか外科的なあれが……(゚д゚)
全体的には面白かったけどなんか「3冊ぐらいある話を1冊に凝縮させました」みたいな急に話が終わった感があった。

  1. 外向きには「縫製のみ」ということになっているが []
  2. 少女小説でこの表現をすることになるとは思わなかった。肌色。 []

クロノ×セクス×コンプレックス〈2〉 (電撃文庫)

イラストが変わって久々登場のクロノさん。
何気なくカラーページを開いたらオリンピアがセーちゃんに見えた。その頭で次のページを開いたもんだからバーニーがアーサーに見えたという話。モノクロ絵では思わないんだけどな。オリンピア可愛い。
ちなみに公式のセーちゃんとアーサーではなくPixivにいるほうのセーちゃんとアーサーである。

冒頭からタイムリープっぽい! と思った。現象としてのタイムリープではなくてタイム・リープ—あしたはきのう (上)のほう。そしたら本文中にもそのものが出てきてwktkした。
バーニーがいきなり物分かりのいい若松君みたいだな! ていうか翻弄されるバーニー可愛い。
ミムラ視点のミムラは普通に朔太郎なんだけど、バーニー視点のミムラがふつうに可愛い女の子でバーニーがアホかわいい。

ソードアート・オンライン〈5〉ファントム・パレット (電撃文庫)

しばらく気づかなかったけど表紙キリトだったのか……
ちょっと前に「(同じハーレムの主っぽい感じでも)上条さんはフラグメーカーでキリトさんは女ホイホイだよね」ということを言ってたんだけどまじパねえ。キリトさんまじパねえっす(ギャンブルゲームとか)

冒頭の「AGIとかもう古い」に懐かしさを覚える一方です。
ROやってたころはVIT騎士がネタ職だったころからAGI職とかまじありえねーって言われるようになった一連を思い出す。幸いにわたしはGvに関わりがなく、まあ接続時間的にもソロが圧倒的に多かったので劣等感とか羨望とかそういうのに悩まされることはありませんでした。
むしろASPD遅いのとか耐えられなかったしアサシンちょーもえだったのでAGI職ばっかりだったな!
長引いた揉め事もありましたが人当たりもよいほうだったと思いますよ。

あと「ミルフィーユ」だけで笑えるのはどうかと思う。死体に土塊死体に土塊死体に土塊。
「それが、いつかあなたを倒す者の名前」に聖戦と死神のゲーフェンバウアーを思い出す。
? 貴様を殺す男の名を忘れるな! /

花は桜よりも華のごとく (角川ビーンズ文庫)

男装・能・異能。そんな戦国時代ぐらいの話。

日輪座の京初興行は成功を収めた。天才的な能の舞い手である白火の評判は駆け巡り、名門一座「柚木座」の次期太夫蒼馬は引き抜きに行くが白火はこれを断った。白火は性別を偽り女人禁制の舞台に立っているからでもあり、それ以外にも秘密はあった。

男装少女と言っても基本的には女の子だ。レッドアドミラルではなく身代わり伯爵だ。
あと蒼馬も舞すごいんだけどストレリッチア1すぎる。

白火の一人称が「オレ」だったのに若干しょんぼりしつつも、

体を折り、焦げつきそうなほど熱を発する二の腕を掴んで、白火は悲鳴じみた吐息を飲み込んだ。
「蛇紋が……っ!?」

(P29)

なんという邪気眼……!2ととてもwktkする。
期待する方向を間違えているという話ですが異能のしるしには違いない。

桜能とか舞いのシーンよかったな。わたしあまつきの21夜好きなんだ。
能そのものは見たことがないので人形浄瑠璃風に台詞が再生される。

仇を討て人を喰え ああ恋しや彼の人の 無念想えばまた悲し
集え同胞 依木を持ちたる仇ある者へ群がり群がり 蜿蜒とのたくりて役目を果たせ

あまつき(4)21夜

ここだよ……! これを思い出した。

あと近藤史恵の桜姫を思い出した。これは能ではなく歌舞伎ですが伝統芸能は胸キュンである。
現代日本語とは程遠いことが多いけど。

桜姫 (角川文庫)

  1. 花の名前。花言葉:恋する伊達男 []
  2. くっ……鎮まれ俺の左腕! 的な []

シュガーアップル・フェアリーテイル  銀砂糖師と青の公爵 (角川ビーンズ文庫)

帯が「この少女小説がすごい」で笑った。なんというこのラノ。

「銀砂糖師と黒の妖精」から2ヵ月後、冬の話。現王族と同格のフィラックス公はある触れを出した。
「銀砂糖師かどうかは問わず、優秀な砂糖菓子職人を求む。公爵が気に入る砂糖菓子を作ることができたら1つ千クレスを支払う」
砂糖菓子の最低価格が大体1クレスであることから、公爵の目にとまった職人には「とんでもない大金」と「王族と同格のアルバーン家が認めた」という名誉が転がり込む。
アンはそのお触れを受けてルイストンからフィラックスまで移動する。

早い自覚だった。シャルはかわいいやつだ。
ジョナスは相変わらず1「腕はいいはずなんだけど小物のチンピラ」だった。このままレギュラーキャラになるのであればもうちょっといい目をみせてあげてほしいです。今のジョナスは脇役以上悪役未満なんだよな。
求)見せ場
「駄目な子ほど可愛い」ならぬ「駄目な子ほど先行きが気になる」という感じ。

冒頭からいきなり「ここあなた未読の短編ありますよー」っていう感じの台詞がいくつかあって気になったのでザビを開く。おおこれだ。とりあえず短編を読んでから本編へ戻る。個人的にはささいな会話であれ「文庫未収録短編を元にしたなにか」というのはあまり好きではない2のです。

楽しい話でした。「シャルは愛いやつだなあ」で大体が語られてしまう。
巻末によれば3巻は既に12月発売でほぼ確定しているようなので、ペース速いなあと思った次第。

  1. というか2ヶ月程度で劇的な改善は見られなくて当たり前とも思うんだけど []
  2. ビーンズでいうと「何故かザビ短編で地味に重要な設定が長編に先行して明かされる」彩雲国 []

ついてくる怪談 黒い本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)

より怖いのは赤い本のほうなんだけど、怪奇現象がありありと起こっているのはこちらのほうだ。
テケテケさんは恒川光太郎の神家没落みたいだな。しかしP48はいいヤンデレ面をしている。

終わらない怪談 赤い本  (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)

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