カテゴリー「 読了 」の記事

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両親との縁が薄かった女子高生が異世界転生した。織物に魔力を宿す国の王となるべくチルは迎えられた。
初めて読むのになんか懐かしかった。わたしは17歳の冬に初めて図南の翼(小野不由美)を読んだ時のことを思い出した。といっても似てるわけではない。チルは珠晶ほど強い女ではないし幼くもない。チルは一度は生きることもあきらめている。それでも異世界で生きた。
でも運命なんだよなーーーー。

「死なずに生き延びられたのならば、お前は十分に力を尽くしたということだ。お前は戦士だった。小さいながらも、誇りをもって生きたということだ」

(P125)

ここのシーンすごく好きなんだよな。マニージェがどえらい肯定ペンギンだ。
いいファンタジーです。最近は現代ものばっかり読んでいたので心があらわれる。わたしは長らく異世界ファンタジーを読んで育ってきたのだ。

辻村七子作品ガチ勢の方が読むかもしれないエントリで残すのは大変恐縮なんですけど、わたしが好んで読んでいた頃とはたぶん結構別物だと感じてるんですよ。みのるが登場してからは割とそれは顕著だと思ってて。
序盤の頃は普通に連作短編であの頃たくさんあった仕事系ライトミステリ、ちょっとBL的な要素ありって感じだったと思うんだよなあ。今は割とミステリ要素なくて人間の営みとか成長とかが描かれる感じがする。
体感ちょーシリーズのちょー新世界より以降を読んでる感じ。正義の大学時代の友達とかいろいろでてきてて、みのる視点では「リチャードと正義は顔が広い」と思っていても、あと15年ぐらいしたらみのるも真凛と良太に対してそう思われるかもしれんみたいな。
リチャードと正義の関係は、多様性? それ使うかと思われそうだけども「世の中には人生を共にしたいと思える人は異性かもしれないし同性かもしれないし次元がいっこ下かもしれない」みたいな感じ。きのう何食べた? のケンジとシロさんは同性パートナーだけど「BL」って感じではないし、あの感じ。でもあのふたりよりは湿度は高いと思う。

でもジェフリーとヨアキムの関係はどんな感じだったかなあと思いながら読んだ。9割忘れている。
でもいつぞやのあとがきで野梨原花南さんが「角のタバコ屋のおばあちゃんも燃えるような恋があったかもしれないんだよ」みたいななにかなかったっけ。「今はこんな感じだけど昔はいろいろあったふたり」みたいな感じで読んでた。
たぶんずっと好きでずっとこの関係性が好きな人はたまらんわまじでって感じなんだろうなと思う。

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元々はAmazonオーディブル用に書き下ろされた作品の書籍化。

都内にある老舗ホテル、三日月ホテルに勤めている続 力(つづき・ちから)は忙しい日々を送っている。
小ぢんまりとしたホテルがゆえに宴会担当専任とはいかず、ある時はフロントを、ある時は荷物を運び、ある時は夜勤もする。その中のひとつとして招待状作成がある。ここぞというときは手書きによる招待状の需要がある。
とあるお別れの会の筆耕として選ばれたのが遠田書道教室の遠田康春氏であったが、氏は亡くなられており、筆耕は遠慮するという連絡があった。それがサンプルと一緒に送られてきたのが今回選ばれた「教室を継いだお子さん」遠田薫氏であった。
康春が跡を継がせた人間なら間違いはないだろうが、万が一のことがあっては困る。薫氏の腕と人物像を見極めてほしいと力は書道教室を訪れた。

書道教室に通う子供からは若先と慕われ、あらゆる筆跡を駆使し代筆を請われる遠田に巻き込まれる形で力も代筆に協力したり食事を共にしたりすることになる。
元々がオーディブルということは耳で聞いて理解できる内容のためか、あっさりした内容で読みやすく、登場人物も限られている。

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「宮木あや子が明治ブルガリアヨーグルトをテーマにお仕事小説ともやしもんぽいもの(さらに入れ子としてPixivで細々連載されている乳酸菌擬人化小説)を書いた」というやつ。
岩手県出身で東日本大震災で被災し、今はとある大手食品会社で勤めている朋太子由寿と「悪魔の創造せし国に忍ぶ矜持の器と刃」(乳酸菌擬人化)と仕事の話である。
というと「ハハーン、B面の宮木あや子ね」と思って読むと震災サバイバー、地方も地方出身女子の大学院進学ほか「女性の権利について」、なんかもういろいろ入っているのである。軽そうに見えてそんなに軽くはない。
アフタヌーンティーのところの流れが好きなんだな。

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短歌集である。ちょっと前、TVerであった切り抜き配信で、凪良ゆうさんがこの本をおすすめしていた。
短歌集を読んだのは随分と久しぶりである。

好きな短歌は

人間へ まだ1割の力しか出してないけど? 消費税より
春がまた大人に夢を見せながら叶えないままただ過ぎてゆく
怒らせるという手段でしか人は神とつながることができない
ためらわずきみの頭を撃ち抜けるやさしいぼくでありますように

今Twitterでわたしの視界では爆発的に流行ってる祠壊したんかワレェみたいな短歌があったので笑った。でも初見の攻撃力が一番高かったのは人間への宣戦布告。

タイトルと表紙で全部説明してる系なんですけど、チャイニーズスープとフジリュー封神を混ぜて夕鷺かのうが出力した感じです。暗黒童話的メシウマ小説と裏表紙にありますが、メシウマ……メシウマ……? とはなります。
メシウマがどのぐらいの世代まで認知されている単語かはわかりませんが、メシウマとは「人の不幸で今日もメシがうまい」というネットスラングです。
不幸な成分を書いておくと「タイタニックを契機に水中考古学に魅せられて院に進んだが、研究成果を根こそぎ奪われて研究職への道を絶たれて今は労働条件が限りなく黒の生命保険会社で働いている」女性、「地方から上京、大学デビューをしたが悪い男に引っかかって風俗に沈められた」女性、「ガチ恋粘着獣にいそうなパラサイトシングル1、同担に危害を加える系同担拒否勢」女性。
胸糞悪い系とグロは文字でも読めない人にはちょっとおすすめできない。でも夕鷺さんのビーズログ作品じゃないやつを読んだことがある人ならセーフだと思う。ほっこりごはんものではないのでそこだけは注意してほしい。

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集英社
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確かこの本の発売前に表紙を見て「どう見てもチャイニーズスープやん」と言ってた覚えがあって、だからこそ1話を読んであれって思ったんだよな。あーーそうそうこれこれこの味って思った。

  1. この単語もどのぐらい伝わるんだろう。令和の世だと子供部屋なんちゃらと言われる人で、実家におんぶにだっこされて生きている人たちのことである。 []
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エクスナレッジ
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98万円で温泉の出る築75年の家を買った - takadonomadoka - BOOTHとは違ってこっちは商業出版です。
75年前、兵庫県西部に建てられた祖父の家の実家じまいの本である。ちなみに一度ついた売り手も仲介業者も離れていった訳アリ物件である。
わたしの喪主本ことこれで君も喪主だ! 密着相続ドキュメント2023-2024 - はと文庫 - BOOTHも「いずれ行く道だからどういうことがあるのか、人の体験談とはいえ知っておいても邪魔にはならん」本だと思っているが、ゆくゆくは実家じまいという問題が立ちはだかる予定の人はこういうことかと先読みしてもいいかもしれん。
隣の家の高齢者夫婦も徒歩30歩ぐらいのところに実家もしくは旧家があって、「固定資産税を払って物置にしていた」家をようやく潰すことを決めて今大量のゴミと戦っている。毎日とても大変そうだ。

売れない実家問題、どうしてますか?
兄弟もみんな家を出て、自分もそこそこ都会に居を構え、もう戻るつもりはない実家。戻りたいなあと思えるロケーションや条件ならいけど、残念なことに両親は団塊の世代。都会の家賃より田舎の戸建て。庭付き一戸建てガレージ付き、もちろんトヨタか日産の新車、庭には芝生、犬を飼うみたいなアメリカのパッケージドラマをそのまんま輸入したパッケージが家族の幸せであり、スタンダード、と無邪気に信じていた世代です。

(P16)
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星野源という人は不思議な人である。私が知っている星野源は志摩一未と四宮春樹をやっていた人で、年に何回か、主に紅白で歌っているところを見る人で、主成分は「星野源のオールナイトニッポン」パーソナリティ星野源だ。とても人に愛されている。時々弱音を吐き、リスナーが作ったジングルにすごいねーと称え下ネタに馬鹿だねーアッハッハッハと笑い、「源ちゃん俺たち友達じゃーん」と送られてきたメールに「友達じゃねえよ(笑)!」と言って時々はトイレにこもっている。
ただ生命体はなぜイントロがないんですか? というリスナーからの質問に対して「人の人生は突然はじまって、終わったら何も残らないからです」といつもより2度ぐらい体温低い感じの声で答えてすっと終わったので、「いつもと別のドアから見る星野源」を感じたけど、この本は「そのいつもとは違うドアから見る星野源」が満載だった。生きづらそうな話を聞いてると愛おしさ的なものが湧いてくる。でもこの愛おしさはLOVEとイコールではなく、「昼休みとかに一回り下の後輩にブラックサンダーをあげる」感じなのである。一回り下の後輩いうても源さんだいたい同世代なんだけども。
ラジオでも妻新垣結衣さんのことはそんなに話さないので、「喜劇」が生まれた日の話はよかった。

栗きんとん事件出たん13年前なん????
この巻は小鳩くんと小佐内さんは別行動である。新聞部が追う連続放火事件。小鳩くんは目の前の謎を解いてしまう。例えば満員のバスの中で停車ボタンが押されたが、誰も下りなかった。間違えて押したのだろう。押したのはおそらくこのふたりのどっちかだ。押したのはどっちか。小鳩くんパートにはそういうのも含まれている。
「あはっ」はよかったし小佐内さんは出番自体はものすごく多い、というわけではないがTRICKとかでいる「思わせぶりなことを言っていく割と重要人物(悪役寄り)」ポジションだった。

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隕石が某所に落下したその日、世界には100人の能力者が生まれた。
言葉に力が宿るコトダマ。例えば「燃やす」なら発火、「透ける」なら透明人間になる能力。ひとつの能力にひとりの人間が死ぬまで行使でき、死ねばまた次の人間にアトランダムに受け継がれる。能力がどの程度、どの範囲で使用できるかは不明である。

そんなコトダマ使いを集めた部署が新設された。警視庁公安部公安第五課、コトダマ犯罪調査課である。
そこの班長に任命されたのが永嶺スバルで、永嶺の能力は「入れ替える」である。
そんな特殊設定下の警察小説である。相棒初回もしくは元旦スペシャルの味がした。

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