カテゴリー「 単行本 」の記事

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株式会社ネバーラ北関東支社 (ダ・ヴィンチブックス)

弥生は、前職は東京の証券会社でキャリアウーマンだったのだが、自分の仕事内容肩書きなどは低く偽って今の会社に転職した。東京から特急で2時間、鄙びた町の納豆をこよなく愛する健康食品の下請けメーカーである。

読みやすいけどそれだけだな。
可もなく不可もなく、「誰かに借りて1回読んだらそれで終わり」って感じだ。

江戸時代後期の小袖から昭和初期の着物まで色々。
着物は着るほうには興味ないけど見る分にはとてもよい。
昭和初期萌える。

某胡桃に着せるのは梅模様(P157)か段に撫子模様(P179)かで脳内会議が開催された。

百瀬、こっちを向いて。

「中田永一は覆面作家で正体は乙一である」という噂を聞いて。
きゅんきゅんする系の恋愛小説の短編集である。

小梅が通る>>なみうちぎわ>百瀬、こっちを向いて>キャベツ畑に彼の声

中学生のころ、わたしには、居心地のいい友人がいた。彼女はものしずかで、おっとりとした雰囲気のある少女だった。彼女のそばにいると、陽だまりを見つけた猫のように心はやすらいだ。
(中略)
「これでおわかれになっちゃうから、ほんとうのことを言うね。あなたなんか嫌いだった。死ねよって、いつもおもってた」
淡々とした声だった。夕日が彼女の顔に影をつくり、わたしの制服を赤く照らしていた。わたしは恐怖でうごけなかった。彼女とわかれるのがつらくて涙ぐみながら「いつかまた会おうね」と話した直後に、そんなことを言われたのだ。(P229・230)

スーパーS水タイムktkrと思った。
小梅が通るはこことラストシーンが好きだ。



富士見のStyle-Fってちゃんとまだ残ってたんだなと思った。

現代イタリアのナポリで愛される道化「プルチネッラ」を目指す少年2人。演劇一族の貴公子ルカと、スペイン地区(とても治安が悪いところ)に住む大道芸で生計を立てるジェンナーロ2人の話……であると同時に紀元79年からすべての記憶を持って延々と転生を繰り返す道化の話。

まったくはまれない話だった。
道化(転生しているほうの)の血まみれの赤いシャツのところは割と好きなんだけど。女子分が足りない。もうひとつのデビュー作のほうは装丁がすごくって気になってたんだけど、こっちよりさらに読む人を選ぶ話だそうなのでやめておく。

コバルト風雲録

コバルトが出来る以前の話や、氷室冴子・新井素子がデビューしたころの話から丘ミキ・MOTHER・ドラクエノベライズの話まで。久美沙織の作家人生について。面白かった……こっちも付箋がびっしりです。

・ハーレクインとアルルカンは同じ単語のイギリス風とフランス風読み

というわけで、小ジュがコバルトに変革していく怒涛の時代を、フロントライナーとして疾走した……というより、むしろ、ブルドーザーのように開拓して、あとから進むものたちのためのコース設定をしてくださったのが氷室さんであり、日本マンガ界ぜんたいが手塚治虫先生ヌキでは語れないように、氷室さんがいなかったら、いろんなことが「こー」はなっていなかっただろうというのが私の感想です(P58)

では、一般大衆娯楽文学と、「そのへん」の違いって、いったいなんなんでしょう?正直わたしにもよーわかりません。でも「もしかすると」コレではないかと思っているものはあります。
それはエロスの質です。
エロスというても、エロとちゃうよ。快楽。快感。官能。そうには違いないんだけど。「美的感動」というと、ちょっとはわかるかな。(P70)

「そのへん」=ラノベ

『おかみき』にウケてくれる読者の大半が、それを未来と朱海くんとの「ラブコメ」だと思ってしまってくれているらしい、ということだったのでした。
(中略)
すみません、わたし、マジ、困惑したんです。
わたしは「とある特殊な境遇にあった清純といえば聞こえはいいが融通のきかないタマシイが、別の(どちらかというと前よりは普通で一般的な)環境に放り込まれた時に、どのような摩擦をうけ、どのように苦しみ、そしてどのように自己変革して適応していくか」という物語を描いているつもりだったのです。いや、そんな壮大なテーマをそうカタクルシイ文章で意識してたってわけじゃないですけど。(P184)

北村薫の創作表現講義—あなたを読む、わたしを書く (新潮選書)

小説の書き方の本ではありません。早稲田大学での講義の一部を本にしたものです。
久しぶりに付箋がびっしりになりました。
天野慶さん(歌人)にインタビューしてそれを600字程度のコラムに起こすのが面白かったな。

天野 ちなみに、皆さんが知っている歌人は、どんな人ですか。
学生 俵万智さん。斎藤茂吉。
天野 2人? もっといませんか。そうなんですよね。小説家だと色々出てくるでしょうけれど、歌人だと、俵さんから茂吉から与謝野晶子、次はいきなり万葉集の人になってしまったりする。

(P106)

どれぐらい出てくるかやってみた。
加藤千恵、枡野浩一、穂村弘、脇川飛鳥、俵万智、名前忘れたけど長嶋有の別名義の、佐藤真由美(っていたよね枡野さん系で)、斉藤斎藤。
歌までちゃんと覚えてるのは加藤千恵と穂村弘と俵万智ぐらいなんですが。

(6/23追記 ↑間違いがあったので一部打ち消し線を引っ張ってます)

と書いてたらハッピーアイスクリームとかんたん短歌が読みたくなってきた。明日掘る。

コラムで続きが気になったのは11番と6番。

・応募作の話(こういうものが多くて困る編)
男性が書く場合は<根拠なきモテ系小説>女性が書く場合は<自分探しの小説>

・翻訳の話

簡単な言葉が難しい。《おっちゃん》という呼びかけで、まずつまずいた。関東なら《おじさん》。でも《アンクル》じゃないだろう。で、どうしたか。
(中略)
さて、枝雀さんは、ネイティブの人に聞いたそうです。《おっちゃんハ英語デ、ナント、イイマスカー》なんて、質問したんですね。そうしたらね、《ヘイ、ユー》だって。
目から鱗ですね。

(P250)

本当に目から鱗だった。

壁抜け男の謎

いろんな種類の短編が16編収録されている。
ジージーとの日々、ガラスの檻の殺人、キンダイチ先生の推理、Cの妄想、ミタテサツジンあたりがとても好きです。
阪神ファン的には猛虎館の惨劇もとても捨てがたい。
とてもにやにやできました。屈辱のかたちはどこかで見たことがある。

こうふく あかの

ある日妻に「妊娠した」と言われた。
やることやってないんだから自分の子ではないことは明らか。しかし彼女は産むという。
「俺」は「親しまれやすい理想的な上司」と思われるために朝早くから仕事をしたり、飲みに連れて行ったり計算高く安定した位置に過ごしていたのにだんだんそれが崩れていくのだ。

後はプロレスの話が随所に出てくる。ぼんばいえ。
西加奈子小説のほうは初めて読んだけどこれは普通だな。とりあえずこうふくみどりののほうも読んでみる。

ほぼ日ブックス#0010 ダーリンコラム (ほぼ日ブックス)

ほぼ日刊イトイ新聞のダーリンコラム書籍版。
内容は1998年から2000年まで。

ぼくが、知り合いに「自殺したい」と言われたら、どうするだろうと考えてみた。「ばか!」と言うか、「なんで?」と言う。
それくらいしか思いつかなかった。
この「なんで?」の問いに対して、説得力のある答えなんかが返ってきたら、ひとたまりもないね、ぼくなんか。そうか、なるほどなぁって黙っちゃうだろうな。
善いことか悪いことか知りませんが、それくらいしかできないです。

(P41)

考えてみた。やっぱり「なんで?」か「あかん!」だろうな。自殺したいではなく誰かを殺したいでも同じだなあ。なんか答えが返ってきてもお願いだからやめてくれとか言ってる気がします。時期が時期なのでそんなことを思いました。

ゴールデンスランバー

久しぶりに伊坂幸太郎作品で当たりを引きました(でも伊坂幸太郎俺ベストは「ラッシュライフ」と「アヒルと鴨のコインロッカー」なのです

首相暗殺の濡れ衣を着せられた青柳雅春の闘争と逃走の日々(約2日間)
図書館革命のときも思ったけど私「逃避行真っ最中の人を励ましたりささいな手助けをしたりする脇役」がすげー好きなようだ。
ささいながどのレベルぐらいかというと「泣いてる人に飴玉あげる」ぐらい。

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