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今年解釈が合わんオブジイヤーだった三宅香帆さんがいうところの「考察」と、わたしが思うところの「考察」はそもそも定義が違うということが判明したので、ちょっとその話からします。

わたくしSound Horizonファン(ちなみにファン呼称はローランと言います)歴22年寄りの21年の人間なのですが、SoundHorizonは考察文化とレポの文化が大変盛んな国です。
例えば「星の綺麗な夜」という曲は19世紀に農夫をしていた男がジャガイモ飢饉で食い扶持を失い、海を渡ってアメリカにたどり着き、傭兵をしたりゴールドラッシュやなんやかんやを経験して、愛する女性と出会い、子どもができ、いつ死んでもいいと思いながら生きてきたのに、男に刺され嫌だまだ死にたくないと呻きながら死んでいった男の一生が歌われた曲です。
曲中では正確な名前が分からない1のにも関わらず、曲を読み解いていくと男の命日が判明します。
星の綺麗な夜の歌詞を検索してもらうとわかるのですが、大変ルビが多い歌詞となっています。ちなみにこれは誰かの耳コピの歌詞で、「100%正確」なものではありません。
このルビの「正しい歌い方」について、もう歌手活動を引退した方がどのように歌唱指導されたかについてツイートされ、界隈がざわついたことがあるのですが、間もなくこのツイートは削除され公式にお触れが出されました。
Information | Sound Horizon official website
ざっくりいうと「公式が正解を振りかざすべきではない」と公式が言うのである。
唯一の正解など存在しない。「聴き手による解釈の自由」はこの国において最も尊重されるべき権利なので、それを奪う可能性につながることは控えてくださいというのである。

そういう文化にどっぷり浸かって20年経つ人間が「考察=作者が提示する謎を解くこと」「考察には正解がある」という始まり方をする本をよしとできるわけないのである。
それが本を読んでいくと

私はもともと、批評が好きだった。なぜなら批評は皆と違う感想を言っていい場だからである。作品を読んだり観たりして、底からどんな影響を受けて、どんな感情になったのか、感想はその人固有のものである。同じ作品を見ていても感想は違う。人によって見えている世界はこれだけ異なるのだ、と他人の感想を見ると何か世界の豊かさに触れた気分なのである。

(P208)

こっこれだーーー! ってなったわけだ。わたしがこれまで慣れ親しんだ「考察文化」は三宅香帆さんの語彙では批評なのである。言葉の定義が違うのだから解釈が違うのは当たり前で、どちらが合ってるとか間違ってるとかではなくて、そういうものなのである。
育ってきた環境が違うから〜とSMAPも歌ってるしあまりにもbaroqueである。

感想はその人固有のものだって本当に分かる。わたしが何千回と聞いた石畳の緋き悪魔だって志田さんみたいな感想は出てこない。

ここまでたくさん星の綺麗な物語の話をしたので、聞けるリンクを置いておきます。

  1. シェイマスだかウィリアムだとかいう名前 []