物語の役割 (ちくまプリマー新書 53)

最終的に私が出版を決断した理由はただ一つ、本書を手に取ってくださった方が改めて物語の魅力を確認し、物語の役割に目覚め、「ああ本を読むことは何と素晴らしいことであろうか」と思ってくれたら、との願いがあったからなのです。(まえがきより)

3部構成で、第1部は博士が愛した数式が生まれたときの話、第2部は創作についてのこと、第3部は小川さんの子ども時代の読書体験について。

2部よかったな。こういう感じのことを思って書いていますというのを見るのはジャンルを問わず結構好きだ。

「主題は何でしょう、二十字以内で答えなさい」というようなテストがあったとして、その二十文字がまず浮かんでくるのであれば、それは小説として書かれる必要性を持っていないと思います。ですから、「テーマさえしっかりしていれば、いい小説が書ける」というのは幻想です。テーマは後から読んだ人が勝手にそれぞれ感じたり、文芸評論家の方が論じてくださるものであって、自ら書いた本人がプラカードに書いて掲げ持つものではないと考えております。(P66)