短編集で割と後味は悪い系でにやっとする。たまには読了感としてのたうつようほど苦いものを読みたいときだってある。割とどの短編も「誰かの特別だと思っていた/なりたかった」「残された人」の話でした。何気なく言われたことをほめ言葉としていつまでも大事にしまっておくような、中にはそれをこじらせたような人の話も。
「芹葉大学の夢と殺人」はあのメッキ感。夢は夢だった。夢は見るのは自由だけど実現しようという気がなければただの絵に描いたもちだった。
読んでるとだんだん削られるんだけど不思議に吸引力が強い。なのでごっそり削られる。
どうしようもなくなったところで手を振り払われる感じ。ザ・絶望感。
たった一つ。自分以外の者に執着すればいい。夢以外に失うのが嫌な、大事な何かを作れば、誰かを愛しさえすれば、幸せを感じることができる。
それは、私じゃダメだったのか。(P176)
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