午前零時のサンドリヨン

鮎川哲也賞受賞作ということで巻末に選評が載っているのですが

『午前零時のサンドリヨン』は、言ってみれば、赤いリボンのかかったケーキの小箱のように愛らしい作品で、いわゆる日常の謎を軸にした、恋愛風味のミステリである。

(P327)

というのが実に言い得て妙。

僕こと須川くんは同じクラスの酉野初に一目惚れする。
学校での初は親しい友達はほとんど居らず望んで孤立しているようなところがあるのだが、サンドリヨンというレストランバーでマジシャンとして日々手品を披露していた。魔術の腕は素晴らしくよいがコミュニケーション的にはやや難ありの酉野さんと須川くんの行方は! という学園で恋愛で青春なミステリです。

あてにならないプレディクタとあなたのためのワイルドカードが好きである。
P269のぶっ叩かれてるところとかとてもによっとした。

「いや、ポチよ。吹奏学部はいいらしいぞ。なんたって女子ばかりで、憧れの先輩達が、こう、手取り足取り教えてくれるわけだ。そりゃもう、至近距離でおさわりだぞ」
まぁ、いくら純情な僕とはいえ、そんなシチュエーションに多少の憧れを抱かなかったわけはない。なにせ僕も一応、男の子なのだ。しかし、もちろんそんな不純な動機で部活に入るわけもなく、その魅惑のシチュエーションのことなんて、きれいさっぱり忘れていた。
それが、それがなんということだろう。今、憧れの女の子に手取り足取り教えてもらってます!

(P116)

ほんものの魔法使 (ちくま文庫)

これがきになる。