芙蓉千里

最初厚さにびびっていたのですが1読み出すとこれが凄い勢いで時間を忘れる小説でした。本読みながら「やばいもう寝んと」と思ったのはなんだか久しぶりな気がするなあ。

時期的には第1次大戦のちょっと前、日本はまだ明治時代の20世紀初頭、中国ハルビンが舞台。
「大陸一の女郎になる!」と自ら人買いに志願して東北地方から大陸に渡ったフミ、フミと一緒に売られてきたタエ、2人が売られた女郎屋酔芙蓉の格好いい姐さんがたの話です。

フミは最初から女郎志望で、タエは女郎になることをとにかく嫌がっている女になりたくないと思ってる実に対照的な2人。フミはどう見ても流血女神伝でいうところのカリエポジションなので、フミはサジェだったらどうするよ……救われるのはグラーシカお姉さまかな……と思ってたらうまいこと共存共栄みたいな感じだったのでほっとする。

近現代に舞台が置かれているため史実もすごく自然なかたちで絡んできます。
蘭花姐さん……!

ちなみに私は山村派です!(何か主張しておかないといけない気がした
しかし黒谷への啖呵切る&宣戦布告シーンは美味しい……

とりあえずsarisariの短編かな……11月の上旬ぐらいまでは公開されてるらしい。
sarisariはエッセイだけは読んでるんですが、携帯で小説とかまじ読みにくい。

「それと同じだよ。踊らなきゃ生きていけなかったから、必死に練習しただけ。辻芸も、畑仕事も、体を売る女郎も何も変わらない。それに私はもう、生娘じゃないからね。今さら、どうってことはないよ」
息を呑んだのタエの顔が、みるみるうちに青ざめていく。フミはひどく残酷な気分になっていた。

(P107)

離れろ。その一心で、ひた走る。離れろ。離れろ。死の空気から。敗北と絶望から。

(P136)

「だから、早く来て。ほんとに来て。私が、諦めてしまわないうちに」
フミは目を閉じた。睫毛が震え、ひとすじの涙が零れる。ああ、夢でもいい。また会いたい。

(P235)
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