カテゴリー「 読了 」の記事

1991件の投稿

紺碧のサリフィーラ (C・NOVELSファンタジア)

海洋ファンタジー。
海神の怒りにふれて600年前に海中に沈んだ幻の島シェイン。
12年に1度、鎖状列島の最南端の島から東の沖にあらわれるといわれている。
シェインを見たい青年サリフは船を捜しワディム率いるユンファ号に乗り込んだ。
しかしサリフは何故か海軍に追われていた……

さりさんちでクマクマされました。
淡々と進んでいくんですが兄弟とラストの姉弟にきゅんきゅんしました。
兄馬鹿はすばらしいです。在りし日のシェインとかイェンファとサリフとか、シェリルとサリフの話をもっと読みたかった!
挿絵は205Pがいいしごとしてました。

うたうひと

短編集。
タイトルの通り「うたうひと」つまりミュージシャンが主人公。
日本が舞台だったり外国が舞台だったりドリフターズがモデルだよねこれという話とか。
豊島ミホのカウントダウンノベルズをちょっと思い出した。
好きなのは「その夜に歌う」「笑うライオン」。というか「その夜に歌う」はよい!

ジョーはピアノバーのオーナーだ。しかしピアノは埃をかぶっている。誰かを雇えるほど金に余裕はなかった。
ある日いつもと同じように開店準備をしているとエリックがバーを見ていることに気がついた。
貧乏学生か浮浪者一歩手前の風貌のエリックに上等な客ではないと思いつつジョーは声をかける。返事はない。
きらきらしているエリックの目はジョーを見ておらず見ているのは店のずっと奥のピアノ。
ピアノを弾かせてほしいというエリックにジョーは「その服は臭い、着替えるなら弾いてもいい」と条件を出した。
いざ弾かせてみればクラシック・ジャズ・ロック、ほか弾けないものはないとばかりに弾く。
ピアノがうまくて歌もうまい。その日からエリックはジョーのバーのピアニスト兼皿洗いとなった。
エリックとミンディにときめいた。

学園キノ〈3〉 (電撃文庫)

セルフパロ学園キノも3巻目。
1行目から軽くジャブを喰らったのですが秋刀魚まぶし弁当で死にました。

とりあえず元ネタbyアニメ系のセリフで轟沈したのは

「オニモツダケナンテ、イヤ!」

(P192)

もしかして耳をすませばですか?とおもった。
ジブリとエヴァが地味に多かった……

銃と銃撃戦の描写がえっらい活き活きしてた。長い! 多い!
銃の種類についてはぐぐらず「そういうものがある!」ということで流しました。
あと221ページはいいしごとをしているとおもいます。

ドレイク船長のモデルにはそんなネタが……と思うなど。
(元)ROプレイヤー的にドレイク船長といえば歴史上の人物ではなく沈没船のBOSSです。

花結びの娘—神を呼ぶ笛 (コバルト文庫)

なんか雰囲気変わった気がする。ていうか話の方向が見えない。大正浪漫な感じは1巻に比べて減った。
主人公方面に無自覚ラブの予兆はあるけど予兆どまりです。
わたしとしては行宗と濃染がいれば満足です(あと濃染が「実は人外」だと美味しいです(年齢の割にしっかりしすぎている

アマネ視点になったり沫緒の過去話になったり。どんな過去があったのかが分かってよかったのですが、今誰の話をしているのかよく分からないところがあったり、ラスト付近はちょっと読みにくかったです。

見開きでモノクロイラストがあるのは珍しいなあと思いました。
今ぱっと思いつくの銃姫ぐらいだわ……(あと成田良悟作品はなんかありそう

エノーラ・ホームズの事件簿?令嬢の結婚 (ルルル文庫)

兄シャーロック・マイクロフトの捜索の手から逃げて、変装を駆使して仕事したり暗号作製解読したり消えた母を捜したりするエノーラ4巻。
解説によると2巻に登場した令嬢セシリーの再登場(すごくおぼろげにしか記憶にない)
自分の意に反して結婚させられようとしているセシリーを助けに走るエノーラ。
今回も暗号・兄ズの遭遇はあります。シャーロックとは一時一緒に行動したりとかも。
シャーロック愛いよシャーロック。

「おまえを見ていると、荒れ地を走り回るポニーが頭に浮かぶ。それじゃあ、また会う日まで、いざさらば」

(P140)

子どもに本を買ってあげる前に読む本—現代子どもの本事情

子どもいないけど読んだ。子どもを取り巻く本の環境についての本。

まず本を2つのタイプに分けていた。空想系(小説とか創作物全般)とリアル系(エッセイとか図鑑とか伝記とか政治ものとか本当にこの世にあるもの全部)

驚愕!だったんですが(でも考えてみれば、当たり前なんだけど)
"低学年は、まだ"リアル系"と"空想系"の区別はついていない!"
んですね。これは"著者"というコトバを解説したときに気がつきました。
小学四年生までは作者という概念がわからないのです。五年生はね、わかるのよ。でも、
"サンタクロースはほんとにいるっ"と思っている人たちにとっては空想系の本もリアル系!なのです。

(P32)

思えば確かにそのぐらいまでは「作者」という概念が希薄だった。「モモ」は「モモ」であって「エンデ作」ではなかった。それ考えると初めて作者を意識したのって折原みと・小林深雪あたりかもしれない……
あとケータイ小説とかYAとか学校図書館の作り方とか古い本が読めなくなる理由とかそんなかんじだった。

花結びの娘 (コバルト文庫)

大正浪漫で異能です。
「結ぶ」という行為に特別な能力を持つ一族がいた。
代々女系に受け継がれるその力をもつ娘はムスビと呼ばれ京で帝につかえた。動植物や紋をあしらった花結びを守りとしたり空間を結んで魔を封じ込めたり結びを呪術的に使うことで陰陽師とともに都を守ってきた。

保泉可也はそのムスビの一族和久家の血統の最後だ。

女系を保つために婿をとって血をつなげてきた和久家は、維新後も天皇に使えるため京都から東京へ一族で移ったが当時の巫女(可也の曽祖母の妹)は移動した後亡くなった。「前時代のもの」である巫女一族は徐々に居場所をなくされ可也の母は祖母を連れて保泉家に入った。千年を超えて続いた和久の名前はここで絶えた。

恋愛要素はありますが、可也の周りの人です(メインではない
明るかったりコメディな方向ではないです。
ちょっと封殺鬼を思い出した。可也には友達いるし当主でもないですが、雰囲気的に?
舞台は東京ですが京ことば女子もいます。

ヴェアヴォルフ‐人狼—オルデンベルク探偵事務所録 (C・NOVELSファンタジア)

20世紀初頭ベルリン。
人間と人ならざるものの共存を目指す自助組織として設立されたオルデンベルク探偵事務所の話。
所員60人強のこの事務所の所員もまた人ならざるものが多い。
長い任務を終えてベルリンに帰還したジークの新たな任務は保護された人狼の少年エルの世話、そして人外が関わっているだろう殺人事件の捜査。

結末は意外な方向でした。あとジークとエルの組み合わせが大変おいしいです。
続刊ヴァンピーアはオルデンベルク探偵事務所の別の所員の話のようです。これもぼちぼち読みます。

神去なあなあ日常

白いほうの三浦しをん。林業を営む人々とそこで働くことになった勇気の成長の話。
勇気は高校卒業したが進路は決まっていなかった。大学には行かず、かといって就職する気もなかった。
適当にフリーターをやるつもりが、担任と母の陰謀と「緑の雇用」制度によって林業の世界に放り込まれることになった。
行き先は横浜を遠く離れた三重県の山奥、神去村。
住人の多くは60歳以上、携帯の電波は村では基本的に入らない、手紙ひとつ出すのもいちいち面倒な不便を絵に描いたような過疎村だ。
100年サイクルの林業を営む人が多く夜は遊ぶところもなくこの村の住人の気質はおっとりしている人が多い。神去弁でいうところの「なあなあ(ゆっくり行こう・落ち着け・今日はいい天気ですね)」「なっともしゃあない(なんともしかたがない)」を地で行く神去住人はときどきワイルドすぎて冷たい。

冬から始まって冬に終わる1年の物語だ。3章が超好きだー。
「オオヤマヅミさん(山の神さま)」とか「大祭の年」「誰にも見られず深夜ひっそりと行われる祭りの準備」とか白いへび眠る島を思い出したけど、雰囲気はこっちのほうが格段に明るい。

夏祭りで山太(5歳)が勇気のところに走ってくるところの

「なあ、勇気」
「呼び捨てにすんな」
「ゆうちゃん」
「なんだよ」

(P178)

ちゃんづけはありなんかwwwとかおもった。

神去川のプール(岩を集めて作る)がいいなあと思った。私は海と山が近いので川遊びはほとんどしたことがない。祭りで使われるメドが直球でえろすぎてふいた。

山の神さまに対する村人の態度が加門七海の怪のはなしを思い出した。
怪のはなしは実録怪談集なのだけど(うろ覚えなので詳細は違ってるかもしれませんが)「祭りが見たくて役所に紹介して貰って山奥の村へ行った。『この子は神さまの子なんだ』と紹介されたり村人が並んで、声をかけるわけでもなく山のほうをいっせいに向いた。山から走る火の玉が」みたいな話があったので、神去村ももしかしたらそういう村なのかもしれないとか思った。

「静かに」
清一さんがささやいた。「大丈夫だ。じっとして」
俺は地面に立てていた釜の柄を強くつかむ。大丈夫だ。ちゃんとここにいる。霧の中で呼吸を整え、動揺を鎮める。
ドーン、ドーンと、太鼓のような音が低くした。神去村が鳴っている。ついで、かすかな鈴の音が響く。幻聴かと思ったけど、ちがう。シャンシャンと澄んだ音が、西の山の尾根から下りてきて、俺たちのすぐ横を通り抜けた。俺はもう体がすくんでしまって、指一本動かせない。まばたきもせず、立ちすくんでいた。

(P136?137)

気温と湿度の上がる夏の山は、ほんとに危険でいっぱいだ。
だけど、木陰と朝夕は涼しい。斜面に生えた木のねもとに腰を下ろし、青い空と緑に覆われた神去村を眺める。ひぐらしの鳴く声にうながされ、オレンジ色に染まった薄い雲の下を歩いて帰る。そんなとき俺は、「ああ、きれいだなあ。楽しいなあ」と心の底から思うことができた。

(P149)

架空の球を追う

短編集だよーと聞いていたけど実際読んでみたら想像していたのより1話がずっとずっと短くてびっくりした。短編集ていうより掌編集。 表題作で1話目の架空の球を追うは7ページで終わるのである。

好きなのは「銀座か、あるいは新宿か」と「ハチの巣退治」「パパイアと五家宝」
ハチの巣退治は時々脳内でディラン&キャサリンで再生された。本家ビバリーヒルズのほうじゃなくてなだぎ武と友近のほう。銀座新宿のほうは「この人ら会うたびにこういうことをやりあってるんだろうなあ」とか思いながら読んでたらまさに。パパイアはラストのレジですごく笑った。

PAGE TOP