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世界で一番乙女な生きもの

エッセイである。めちゃイケを見るので光浦さんはほぼ毎週見るのですがまとまった量の文を読むのはこれが初めてだなあ。前に読書特集で1ページ分ぐらいは読んだのですが、なんかおもしろい。

いちばん最初の話が飯島愛の話なのでなんかいいようのないしょんぼり感がある。
この本はmini1に07年から連載されていたエッセイなのでそういうこともある。
ていうかよゐこ有野がすごくいいやつである。有野が絡む場合のみにおいて光浦さんがくものんにみえる2
ラブマゲドンの回はちょうどそのときのロンハーを見ていたのであの時こんなことが……! とおもった。

いざ、演劇をやろうとしてビックリしました。まあ、演劇っちゅうのは、儲からない。儲からないどころか、ひどい赤字になるんですね。チケットが完売したとして真っ赤っ赤なんです。見積もりの段階で、もう涙が出そうです。全然、セットも衣装も贅沢な発注してないんですよ。なんなら足りないぐらい。

(P178)

ここにもシアターの片鱗が。

芸人は、人からバカにされやすくなきゃいけない、と最近思うようになりました。バカにする、というと言葉は悪いですが、いじりたくなる、かまいたくなる、これこそリアル好感度ではないか?と気付いたんです。

(P140)

「運なんてもんは尽きることはないねん。石油と一緒で掘ったらどんどん出てくんねん。石油と一緒やないで。使っても尽きることないねん。運は、どんどん掘って、どんどん使えばええねんで。自分で掘らなあかんでぇ」(略)なんてザ・鶴瓶。

(P161)
  1. 女性向けファッション誌 []
  2. よその家の子を猫かわいがりしたりせっせと貢いだり世話したりしている点で []

契約の紋章 - 翼を継ぐ者1 (C・NOVELSファンタジア)

なんか風の歌 星の道とか卵王子とかあったころのスニーカー・富士見ファンタジアを思い出すような懐かしい匂いがする。あげた作品が両方冴木忍ですが他意はありません。

シュルベル王国の小さな農村で育った少女リディアの心配事は、開戦の噂より収穫祭に着て行く服、お母さんの体調と薬代、それからある日突然腕に浮いた痣。
ある日他領の騎士が乗り込んできた。すべてはリディアの腕にできた痣のせい。
それはシュルベル王国爵位の最高位である4名しかいない公爵家の継承者であることを現わす紋章である。平民として育ってきたリディアは15歳にしてガーネット領主リンドヴァル公爵として生きることになってしまった。

惜しむらくは「展開が非常にスピーディ」×「視点が途中でころころと変わる」×「登場人物が多い」のため
たまに「今どうなってるのか」分からなくなること。各登場人物思惑・陰謀が渦巻いてて非常に楽しいんだけど、リディアと同じかそれ以下の世界の知識しかないのに、リディアより多い知識と登場人物情報もたされてでも展開は止まることなくぎゅんぎゅん進んでいく。
登場人物紹介はあるけどイラストと名前しかないんですよね。顔イラストとかあっても漫画じゃないんだからそれじゃ登場人物紹介の意味がない。
せめて1文ぐらい文での説明ください(゚д゚)人

とりあえずジュリアンと王様が好きだ。

※追記:登場人物紹介文はCノベの仕様的にないらしい。

アルビオンの夜の女王 -魔王子たちの紫の祝宴- (B’s‐LOG文庫)

表紙のセシア(だよなあ、これ)が随分と男らしい顔つきをしている3巻。
今回は女装少年も出ているのでいい感じに倒錯しています。
変態という名の紳士御用達1の上半身裸執事はなんか実際にイギリスに存在しなかっただろうか。なんかニュースでみたことあるような覚えがあるなあ。

ディドルディドルなマザーグースにフリンギーの月の王を思いだす。元ネタはマザーグースなのかなあ、と思う。
冬毛ウェスタンラリアートとかその狂った言語センス(すごく褒めてる)が好きだ。
アリス周りが好きなんだけどもうでないんだろうなあと思う。
ていうか全部読み終わってあとがき読むとそこだけすごく違和感が……。というのも
「あらすじ帯含め本のどこにもその兆候がないのに、あとがき読むとこの巻で最終巻っぽい」
雰囲気をかもし出しているんですよ。続き出るよなあ? 新章突入前のいったん風呂敷畳みでいいんだよなあ。

ところで3の兄君は髪の毛を固めるとグレヴィール2になると思いませんか。

  1. 本当にこう書かれている。死ぬかと思った []
  2. GOSICKのヴィクトリカの兄。のちのツインドリル。 []

更級日記 (これだけは読みたいわたしの古典)

子ども向けでふれてみよう日本の古典その2、更級日記。
“文学少女”と美味しい噺をみてたらとても気になったので原典を1当たることにしたのだ。

更級日記は菅原孝標女の回想録で、源氏物語が読みたくって読みたくって色んな人や仏様にお願いしたりするのである。

ただひとり、几帳のかげで、だれにもじゃまをされずに、本が読めるなんて、皇后様になったようで、うれしくてたまりません。昼は、昼じゅう、夜は、目がさめているあいだじゅう、明かりのそばからはなれずに、わたくしは本を読みました。

(P63)

さきののぞみとしては、うんと御身分の高いお方で、お顔といい、お姿といい、あの『源氏物語』のひかるのきみのようなお方が、一度でもいいから、わたくしを愛してくださればいい。

(P96)

少女のときのわたくしは、あこがれや、のぞみに胸をふくらませて、このよにあるはずのないことをあるように思い込んだり、できそうもないことをきっとできると思い込んだりして、くらしていたのでございました。

(P130)

平安時代の本読みも現代の本読みも大してかわんねー。

なお“文学少女”と美味しい噺ですが基本的に「文学少女と神に臨む作家(下)」読了前提のコミカライズです。原作まったくの未読者には向かないどころかネタバレパンチの嵐なのでご注意ください。
ふだんはラノベのコミカライズには手を出さないんですが、原作をなぞった展開などではなく文学少女の今日のおやつ+主に「文学少女で日本・世界の古典を解説するよ」なところがとても気に入ったので買いました。

“文学少女”と美味しい噺(レシピ) 第1巻 (あすかコミックスDX)

  1. 子ども向けで []

不思議の扉  時をかける恋 (角川文庫)

テーマは「タイムトラベル・ロマンス」 よいアンソロジー。
収録作品は梶尾真治「美亜へ贈る真珠」 恩田陸「エアハート嬢の到着」 乙一「Calling you」
貴子潤一郎「眠り姫」 太宰治「浦島さん」 ジャック・フィニィ「机の中のラブレター」

非常に名作揃いだと思います。
3回ぐらい読んでいるはずの「エアハート嬢の到着」が今までになく胸キュンでした。どういうことだ!

失はれる物語に収録されたり映画化漫画化いろいろメディアミックスされていた「Calling you」はともかくとして富士見ファンタジア文庫の眠り姫がこの本に収録されているのがとてもサプライズ的存在。
元本は6年前に出版されたもので新刊書店で手に入るのは極稀なパターンではないかと思うので、記憶と古本屋に埋もれていくのではなくアンソロジーにあらたに収録されるのは良いことだ、とおもう。

富士見ファンタジア版眠り姫も非常によい短編集なのでこの本で興味を持たれた方はぜひどうぞ。
「ラノベの短編集」というとまず長編シリーズありきで番外編の集まりっぽい感じですが、眠り姫については独立した短編集です。

この本は「10代から楽しめる読みきり小説」ということでラノベ作品も収録されやすいのかなあと思います。
今月末に不思議の扉 時間がいっぱいというのが出る予定なのですが、こちらには谷川流作品が収録されます。

あと、「美亜に捧げる真珠」はKOKIAの「大事なものは目蓋の裏」
「エアハート嬢の到着」はSoundHorizonの「エルの肖像」がよくあう! とおもいました。

美亜へ贈る真珠—梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇 (ハヤカワ文庫JA)ライオンハート (新潮文庫)眠り姫 (富士見ファンタジア文庫)
きみにしか聞こえない—CALLING YOU (角川スニーカー文庫)お伽草紙 (新潮文庫)ゲイルズバーグの春を愛す  ハヤカワ文庫 FT 26

メグとセロン〈5〉ラリー・ヘップバーンの罠 (電撃文庫 し 8-31)

やってることは以前と変わらないのに急にツボにはまった気がする。おもしろい。
上級学校は秋学期に入り新聞部は始動する。
それでラリーがラブレターをもらったり腕時計の謎があったりキャッキャウフフしたりまあいつもの感じです。
今回は"正式本名がとてつもなく長い女子生徒"リリアも登場する。

ふつうに学園モノだよなあ。いいところの生まれの美男美女という設定だけどそれが前面に出ることはあんまりなく、ふつうに学生してるもんなあ。ああセロンはモッテモテなんだが。

ホンのお楽しみ (講談社文庫)

2002年から2年半Frauで連載していたものを文庫オリジナルとして本にするにあたり、絶版になった本を除き連載時に紹介した本とは若干入れ替えさらに加筆修正を行いましたというブックガイド。

エッセイ風にはじまり、これこれこういう感じのひとはこの本を読んでみてはどうでしょうかと各章末に3冊おすすめ本が掲載されている。それがまた絶妙に気になる感じの本なのだ。
3冊のうち1冊は知っててあと2冊はなんだね君らは、という感じの本である。
積読が増える ? やべえ /

ちなみに章末には2009年追記、というのもついてくる。時事ネタは少なめだと思われる。伊集院光が痩せてるとかソルトレイク五輪とか。

1日1000歩以下しか歩かない生活というのは、一体どんなものなのかと説明すると、それは家から一歩も出ない引きこもり生活。起きて、本読んで、適当に料理でもしつつテレビを見て、ネットでもして寝る——。

(P67)

誰かを思い出すなどした。

僕の明日を照らして

僕・中学生の隼太と歯科医で義父の優ちゃん、時々お母さんの話。

いきなり隼太が優ちゃんに殴られているシーンからはじまる。
優ちゃんは通常時は優しいお父さんなのにキレると手がつけられない人なのだ。お母さんはこのことを知らない。優ちゃんはこのことを話してしまって一刻も早くこの家を出るべきだと思っている。でも隼太はそれを許さなかった。本当なら病院に通うなり出て行くなりするべきなんだろうけど嫌がり「暴力を振るうだけふるって逃げるのは卑怯だよ」と解決方法を模索する。

学校に行ってお母さんが夜働いているスナックへいって喋ったり、優ちゃんと心理学の本を読んでみたり絵本を読んでみたりカルシウムをとる料理をつくって食べてみたりする。時々嵐が起こるけど平穏に日々は続いていく。

闘病生活を頑張る夫婦のように、虐待する側される側が手を取り合って、しかも虐待されてる側がイニシアチブをとって解決方法が模索するのとか非現実的と思うけど最初からそういう雰囲気なんだしアリだ! と思うんだけど最後はどうしてそうなった!感が半端ない。
あの対応は間違ってないとは思う。間違ってはないけどすべてが終わったような流れであの展開はひどくしょんぼり。嫌な言い方だけど、「男同士傷つけ傷つきあいつつ支えあって頑張っていたのに女が首突っ込んで駄目にした」としか思えないんですよ。「お母さんをないがしろにしてた」のは事実ですが「これ最初からずっと父と息子の物語だったのに」って思うので。
児童相談所に通報されるとかお母さんがいる場で優ちゃんがキレるとかそういうのだったらしょうがないと思うんだけど。あのまま何事もなかったかのように幸せになってもよかったのに隼太はまた理不尽な暴力にさらされて終わるなんてあんまりだ。

でも現実はそんなもの? 釈然としません。

メグル

短編集。ホラー要素も時々まじるすこしふしぎな物語。
H大学1学生部奨学係にはアルバイトを斡旋する女性職員がいる。
彼女はふらりとあらわれた学生に対して「あなたは行くべきよ。断らないでね」と言いバイトをさせるのだ。

好きなのは「アタエル」。いや読みながら超怖かったんですが1個選べといわれたら多分これを選ぶ。
ただ「犬に餌をやるだけの簡単なお仕事です。ただし噂ではものすごい凶暴犬」なんですが、想像力をかきたてられる類の怖さ。
ふだんは「あなたは行くべきよ」という結城さんが「本当ならあなたは行くべきではない」という。
凍った謎の肉に張り付いた一筋の黒い毛 とか どう見ても内臓 とか。
いやいや下手したら高口殺されるんじゃないかと思った

そんな初の乾ルカ作品でした。まだデビューしてまだそんなに間がない感じでとりあえず他の本も読んでみる。

  1. おそらく北海道大学 []

真綿荘の住人たち

台所風呂トイレ共同の共同生活度の高いあるアパートでの話。語り手が1話ごとに変更する短編集。
爽やか! っていう感じとか青春! みたいな方向ではないです。
真綿荘にはそれなりにややこしい事情を抱えた面倒くさい感じのひとたちしか住んでません。
「真綿荘の恋人たち」の結末はどうしてそうなった! っていう感じなんだがそれがよいハッピーエンドなのだろう。逆から辿る私の男っぽい。あと椿と八重子は百合だと思う。

すぐに呼吸が苦しくなるほどに鼻が詰まって、いそいで数枚の紙ナプキンを引き出して顔を覆いながら、自分でもびっくりするほど溢れて止まらないものに揺さぶられて、嗚咽が、吐き気のように込み上げました。
愛されないことを受け入れるのは、いったんあきらめてしまえば、たやすかった。だけど、こんなにも長い間、持ち続けていた悪い夢が色褪せていくなんて、想像もしていなかった。

(P237)
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