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北村薫の創作表現講義—あなたを読む、わたしを書く (新潮選書)

小説の書き方の本ではありません。早稲田大学での講義の一部を本にしたものです。
久しぶりに付箋がびっしりになりました。
天野慶さん(歌人)にインタビューしてそれを600字程度のコラムに起こすのが面白かったな。

天野 ちなみに、皆さんが知っている歌人は、どんな人ですか。
学生 俵万智さん。斎藤茂吉。
天野 2人? もっといませんか。そうなんですよね。小説家だと色々出てくるでしょうけれど、歌人だと、俵さんから茂吉から与謝野晶子、次はいきなり万葉集の人になってしまったりする。

(P106)

どれぐらい出てくるかやってみた。
加藤千恵、枡野浩一、穂村弘、脇川飛鳥、俵万智、名前忘れたけど長嶋有の別名義の、佐藤真由美(っていたよね枡野さん系で)、斉藤斎藤。
歌までちゃんと覚えてるのは加藤千恵と穂村弘と俵万智ぐらいなんですが。

(6/23追記 ↑間違いがあったので一部打ち消し線を引っ張ってます)

と書いてたらハッピーアイスクリームとかんたん短歌が読みたくなってきた。明日掘る。

コラムで続きが気になったのは11番と6番。

・応募作の話(こういうものが多くて困る編)
男性が書く場合は<根拠なきモテ系小説>女性が書く場合は<自分探しの小説>

・翻訳の話

簡単な言葉が難しい。《おっちゃん》という呼びかけで、まずつまずいた。関東なら《おじさん》。でも《アンクル》じゃないだろう。で、どうしたか。
(中略)
さて、枝雀さんは、ネイティブの人に聞いたそうです。《おっちゃんハ英語デ、ナント、イイマスカー》なんて、質問したんですね。そうしたらね、《ヘイ、ユー》だって。
目から鱗ですね。

(P250)

本当に目から鱗だった。

壁抜け男の謎

いろんな種類の短編が16編収録されている。
ジージーとの日々、ガラスの檻の殺人、キンダイチ先生の推理、Cの妄想、ミタテサツジンあたりがとても好きです。
阪神ファン的には猛虎館の惨劇もとても捨てがたい。
とてもにやにやできました。屈辱のかたちはどこかで見たことがある。

こうふく あかの

ある日妻に「妊娠した」と言われた。
やることやってないんだから自分の子ではないことは明らか。しかし彼女は産むという。
「俺」は「親しまれやすい理想的な上司」と思われるために朝早くから仕事をしたり、飲みに連れて行ったり計算高く安定した位置に過ごしていたのにだんだんそれが崩れていくのだ。

後はプロレスの話が随所に出てくる。ぼんばいえ。
西加奈子小説のほうは初めて読んだけどこれは普通だな。とりあえずこうふくみどりののほうも読んでみる。

ほぼ日ブックス#0010 ダーリンコラム (ほぼ日ブックス)

ほぼ日刊イトイ新聞のダーリンコラム書籍版。
内容は1998年から2000年まで。

ぼくが、知り合いに「自殺したい」と言われたら、どうするだろうと考えてみた。「ばか!」と言うか、「なんで?」と言う。
それくらいしか思いつかなかった。
この「なんで?」の問いに対して、説得力のある答えなんかが返ってきたら、ひとたまりもないね、ぼくなんか。そうか、なるほどなぁって黙っちゃうだろうな。
善いことか悪いことか知りませんが、それくらいしかできないです。

(P41)

考えてみた。やっぱり「なんで?」か「あかん!」だろうな。自殺したいではなく誰かを殺したいでも同じだなあ。なんか答えが返ってきてもお願いだからやめてくれとか言ってる気がします。時期が時期なのでそんなことを思いました。

ゴールデンスランバー

久しぶりに伊坂幸太郎作品で当たりを引きました(でも伊坂幸太郎俺ベストは「ラッシュライフ」と「アヒルと鴨のコインロッカー」なのです

首相暗殺の濡れ衣を着せられた青柳雅春の闘争と逃走の日々(約2日間)
図書館革命のときも思ったけど私「逃避行真っ最中の人を励ましたりささいな手助けをしたりする脇役」がすげー好きなようだ。
ささいながどのレベルぐらいかというと「泣いてる人に飴玉あげる」ぐらい。

桃色トワイライト

だらっだらしているときに読んでいた。
割と何回も読んでるけど毎回同じところでにやっとしている。

あっちこっちでエッセイとか書評書いてるし「三四郎はそれから門を出た」系の本が出ないかなーとひそかに期待している。

プロトコル
多分初めて読む(Re-bornに載ってたのはなんとなく飛ばした覚えがある)

有村ちさとは大手ネット通販会社のカスタマーサポートセンターでに勤めていた。あるクレーマー撃退の一件から厄介者扱いをされていたが能力を買われ情報システム管理部へ行くこととなった。

有村ちさとにはある能力があった。ローマンアルファベットに並々ならぬ愛着を持っていた。おかしな構文の英文を見たら突っ込まざるをえないし、ただの羅列に見えるアルファベットがある一定の法則をもって浮き上がってくるのだ。幼いころに父から受けた英才教育の結果とも呪いともいえるその能力はちさとを争いに巻き込んでいくのであった。

争いといってもネット通販界を揺るがすようなものではなく、派閥争い的なものと、出来の悪いSEとの戦いと、「誰も気を止めないような飾り的存在の妙な文法の英文」を読んでしまう自分との戦い。

これは面白かった。
事件の顛末は意外というか拍子抜けというか灯台下暗しにも程があるがな!という感じだったけど。

読もうと思った理由はここ見てる人では3人ぐらいにしか分からないことなんだけども。日本全国見ても50人ぐらいしか分からないんだけど。

殺して何が悪い? ——ある大量殺人者の告白
ジェフリー・K・バーンズ著 有村騏一郎訳

タイトルと著者は関係ない。その訳者である。ちさとの父ちゃんの名前が問題なのである。もう随分と記憶も薄れてきたし(私は一期のみの参加で円卓以外はあんまり参加してなかったから特に)どんなキャラだったかぼんやりしてるんだけど名前にはしっかり反応してしまったよ。

鏡の向こうに落ちてみよう 有栖川有栖エッセイ集

エッセイ第4弾。
台湾でのイベントにはじまり、ミステリ系(女王国関係が結構多かったような)、映画、阪神とか日常とか。阪神の話は読んでてにやにやしてしまいますね。私7月下旬にようやく甲子園デビューが確定しまして今からかなり楽しみです。

こころげそう 男女九人 お江戸恋ものがたり

9人(うち1人は幽霊)の恋物語。恋の話だけど甘くはないです。ビターです。切ない系です。
ハチクロみたいな片想いスパイラルだ。
謎解き要素もあるけど基本は恋の話だ。

八卦おき>乞い目>幼なじみかな。

ムーヴド

佐緒里は30歳で離婚して独り暮らしをすることになった。子どもはいないがマンションで猫を拾ってしまった。今住んでいるマンションは動物絶対禁止で契約の時点でも念押しされるぐらいのところなのだ。
辞めようと思った仕事もやっぱり続けることにした。離婚してから数ヶ月色んな面が変化していく話。

佐緒里のプチ(雄猫・生まれつき白内障気味)関連のあれこれだけはちょっとないわーと思う。帯の文の「大切なものを守るための戦い」にイラっとした。非は佐緒里にあるはずなのに何を被害者面って話だしラスト付近はいけしゃあしゃあと何を言うとるんだと思った。私はアレルギー持ちではないからどんな症状が出るのか分からないけど、何を言っても聞き入れない人が近所にいたら心安らかではないよなーと近隣住民のほうに同情してしまった。

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