カテゴリー「 単行本 」の記事
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夏なので怪談が読みたい……そんな感じに借りてくる。
怪談と言ってもガチの恐怖話から虫の知らせ的スピリチュアル体験とかちょっと不思議な話とかいろいろ。
淡々とした語り口調でひとつの話はすごく短いけど、「さっきの話のひとの続き」があったりする。
五稜郭の話怖い。ていうか"みえるひと"というのは結構いるもんだな。
わたしは邪気眼的な「わたしって霊感あるの」みたいな人レベルでも会ったことがない。
税金滞納者から問答無用で取立てを行う徴収官、なかでも特に悪質な事案を担当するのが特別国税徴収官(略してトッカン)だ。
舞台は東京国税局京橋地区税務署、言いたいことをうまく言えず「ぐ」と言い淀む鈴宮深樹とその上司である特官鏡雅愛の話である。税務署と聞いて「税務調査官 窓際太郎の事件簿」を思い出した私である。
がっつり呑み込まれた。特に3章4章。面白いんだけどなんか超刺さりました。ハリセンボンみたいになってるので誰かちょっとこれ抜いてください、という感じです。やめて私のHPはもうマイナスよ!
生きていくのって大変だ。
お金はあるに越したことはないけど怖い。
あわせて読みたい、で出てきたのは山本幸久「ある日、アヒルバス」と宮木あや子「野良女」1
colorful - ある日、アヒルバス/山本幸久
colorful - 野良女/宮木あや子
「安定したいんです。じゃないと、いつもぐにゃぐにゃした上にいたら、自分までぐにゃぐにゃしているように思えてくる。本当は、女として正しい道に行けたらよかったのかもしれない。もう二十五歳だし。だけどわたしはいつも詰めが甘いんです。最後の最後で結婚も失って、保険も失って、だったらわたしもうなんにも——」
いいながら、惚けた。目の前が真っ白になる。
「何にも、持ってないんだもの」(P325)
- ただし下ネタを笑い飛ばせる人に限る [↩]
とても美しい少女がいた。彼女を見た男は皆狂ってしまう。
彼女は幼い頃から男の欲望と暴力にさらされていた。幼稚園の昼寝時間には隣で寝ていた男児から。家ではお風呂に一緒に入る父親から。学校では教師から、クラスメイトから。成長してもずっと続く。
出口はない。
もうマジグロいの領域です。殴る蹴るだけで済むならどれだけ救われるものか。
死んだほうがマシというのはこういうことをいうのだろうなあ。何よりもウワァアアアアと思ったのは使用済みナプキン(数日経過)が現れたときのことです。あれはまさしくドン引きというにふさわしい。
ものすごいんだけど、えぐさ半端ないので人には薦められないし読む人も多分すごく選びそうな……。
うっかり「TOY JOY POP」(浅井ラボ)を初めて読んだ時をおもいだす。
これに比べればあれはまだ可愛いものだ。
さりさんから釣り針がなんか垂らされたので……
上巻というか序盤はぶっちゃけそんなにそんなにかなあ? という感じだったんですが下巻で転がり落ちた。
双方に揺れ動きとかすれ違いラブにガラガラガッターンとなった。
もう潮時ですね∩゚∀゚)!!!
雰囲気的にはCノベの系譜ですね。児童書レーベルですがよいものだ。
スピンオフ短編集。同じスピンオフでも元作品既読前提な「ロードムービー」より格段によい。
「冷たい校舎の時は止まる」から「しあわせのこみち」
「スロウハイツの神様」から「チハラトーコの物語」
「名前探しの放課後」から「樹氷の街」
好きなのはえぐられるような「しあわせのこみち」
今回も「おいやめろ」と思うよいくおりちーです。耳が裂けました。
私この期に及んでまだなにかを模索しているような気がする。なにになるつもりなんだろうか。
いや要するに4月病なんですけどね。
「チハラトーコの物語」
ああそういえば磯山ミオみたいな人ニュースでみた覚えがある。
ていうか冬子今そんなことやってるんだと思った。最近姿を見なくなった人の、今なにしているか聞く気分。
「樹氷の街」
思わぬダークホース。絶対そんなはずないのに「辻村さん私と一緒の学校に通ってたんじゃないの。なんでこんな身に覚えがある話が展開されてるの」って思うことがよくあるんですが今回もすごかった。
この伴奏者私が中1のときの合唱コンクールのあれやないか!!! 中1って何年前やねん!
いやもうちょう動揺した。中学校の時の記憶って基本的に覚えておいても何の足しにもならない負債ばかりで思い出そうとしても思い出せないことが圧倒的に多い。
なのに「あの子なんで立候補したん?」「なんで○○が伴奏せえへんの。あの子無理やろ」という話をしていたり、実際の合唱コンクールでどうなったのか。いろんなことがばっさーと思い出された。
物語の力ってすごい。でもあまり色々引きずり出さないでください。
自分が恋をするとか、誰かと家庭を築いていくだとか、そういうことの全てが、私には想像できない。本当にできなかった。道を歩くたび、歩いたすぐ後ろが崩れていく。帰り道のない私は、前を向くしか方法がない。
(P44)
図書室で読んできたハイファンタジーに登場する人々や種族の言動、ゲームに出てきた武器の名前がどの歴史的事件に由来するものなのか、ヒットを飛ばすアニメの元ネタがどれから来てるか。頭の中に地図を描くように「知る」ことが好きだった。アニメやゲームの教養主義はもう時代が古い。だけど、好きで観て詳しくなった分の、私のこの知識に罪はない。
(P141?142)
とてもピュアフル文庫。
松本さんちの3兄妹。上に兄がふたり、そして「わたし」亜実。上の子と下の子はとても親に似ている。
しかし真ん中の子はまるで似ていない。7つ年上の兄は院生、2つ上の兄は大学生そしてわたしは今高校2年。
どこにでもいるような仲良し家族。ある日真ん中の兄、潤一は家出をした。
月に1回はがきが送られてくるから元気ではあるようだ。
話が割と多方面に行くので、さっぱりしている。「忘れている過去」とかどす黒い過去が出てくるんじゃないかと思ったけど、そういうのはなかった。真ん中の兄と亜実はただしく兄妹だなあと思った。子供の時とはいえ妹可愛いっていってる。
「夜目遠目傘のうち」という言い回しはとてもロマンだなあとおもった。和ロマン。
施設育ちのぼく、鈴原博人の元にある話がやってきた。
とある実業家が住み込みで働いてくれる17?19の若者を探している。3年間働いて大検を受ければ大学4年間の学費と生活費を援助してくれるという。ぼくは施設の経営状態やらを考えてその話を受けることにした。場所は和歌山の山奥、似たような境遇の樋野薫とともに陸の孤島へ行く。
和歌山の屋敷に住んでいるのは血の繋がらない母娘、娘(小夜)の家庭教師の角倉幸、住み込みのお手伝いさん(登美さん)、家を取り仕切る中瀬。ネットには繋がらず携帯も没収となる。
この閉塞感はよい。殺人事件ktkr! とか久しぶりに思ったな。こんな整えられた屋敷で起こらないはずがない。あのラストはぞっとするな。あれっとおもって2回読んだ。あんな謙虚なことを言っていたのに……
それでも「家族」と言ってもらったことは、ぼくの心の中にあたたかい灯を点した。
この先、大きな幸福など手に入らなくてもかまわない。
静かに本を読める時間だとか、コウさんにそう言ってもらったこととか、小夜がぼくに微笑んでくれたこととか、そんな小さな幸福を紡いで、ぼくはこの先も生きていくのだろう。(P154)