カッコいい男を描こうというコンセプトの新レーベル。表紙はこれ4分の3帯で海外文学系の装丁みたいでかっこいい。
まあ神様のメモ帳方向の杉井光なんですけど、ヘタレではない。昼行燈ぽい感じはあるんですけどそれよりかは童顔の人が伊達眼鏡をかける感じの装いが近い。
かつては裏の世界に足を突っ込んで気の合う仲間とチームを組んで喧嘩に明け暮れたり金を稼いだりして、そっちの世界では名の知れた掃除屋で感覚は鈍ってないし心身のどこかが欠損しているわけでもない。
でも今は書店の店長をしていて、童顔がたたってバイトにもなめられていて、という感じだけどとびかかってきた男の腕は慣れた感じで関節を外す。
昔馴染みのやくざに頼まれてアイドルのストーカー対策に乗り出すことになる。
頭が悪いけどやたらとノリのいいチンピラは健在。ナオト(店長)よりレイジ(ナオトの昔の仲間)がいい。
神メモの1巻を読んだときの感じとか近いなあって思った。
皮肉を呑みこんで、俺も段ボール箱のひとつに取り掛かる。やけに重たい。テープをはがして開いてみると、色とりどりの紙が折りたたまれてぎっしり詰め込まれていた。折り込みチラシでも保管しているのかと思って何枚か抜き取って開いてみると、それは便箋だった。どれも、きらきらした丸文字できらきらした文章がつづられている。
『ことみん愛してる』
『おかげで受験頑張る勇気が出ました』
『新曲最高! ライブぜったい行きます』
『全財産かけて一生推す』
『ことみんにあえてよかった、生まれてきてくれてありがとう』
一読しただけで息が詰まり、俺は便箋を箱に突っ込んだ。(P111〜112)
ここでうっかりなっちゃんとか玲ちゃんに送ったファンレターは今どうなってるんだろうなあってふと思いました。現実味のある話をすると「一定期間保管後に個人情報後保護のためシュレッダー」処理になってても不思議じゃないと思うんだけど、どこかに残っていればいいなあって思うし、あわよくば次元の裂け目に飛び込んでいるといいなあと思う。陛下宛はどうかなあ。一番古いのは何人かで組んでアルバム形式で送ったから残ってたら段ボールの中かなあ。100本の薔薇は重かった。
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