今日「赤子のおむつは医療控除外なのに高齢者のおむつは医療控除対象なのずるい。赤ちゃんだっていっぱい使うのに」みたいなツイートをぽんぽんと見かけたんですけどあれは誤りです。
「高齢者のオムツ=医療控除対象である」これは事実と異なります。
人の怒りを誘って分断を煽りたいのか、聞きかじりの知識で適当なことを言ってるのか、隣の芝生は青いのか何のつもりか知らないけどあれは誤りです。事実誤認です。
大人用おむつの医療費控除│はじめて介護する方へ│リリーフ│花王株式会社
大事なことなので2回言いました。

「高齢者のオムツは医療控除対象である」
この条件を満たすためには「6か月以上寝たきり状態であること」、「オムツが必要な状態ですという医師の証明書が存在すること」それがあってはじめて医療費控除の対象となります。
「自宅で失禁があるので買いました」みたいな高齢者向けオムツは生理用ナプキンと同じ扱いですよ。
育児大変なのもお金めっちゃかかるのわかる。でも高齢者でもその状態(半年以上寝たきり)だと、たいていは入院してるか施設入所してますのでね。たまに介護保険フルに使って自宅介護されている方もいらっしゃいますけど、介護保険サービス使うのもタダじゃないので、育児するのと同じぐらいお金かかりますよ。

でさらっと介護とか介護保険の話をしておきたい。

介護保険とはなんぞやという話をすると、40歳以上の人は給与明細を見てもらったら健康保険のところにもう1個引かれているのががあると思う。それだ。それが介護保険だ。
でも健康保険と違って、人によっては介護保険を申請しない使わないままに生涯を終える人もいます。
「お金払ってるんだから使わないと損」というものではない。
「今まで自分でなんでもできていたけどちょっとおぼつかない感じになってきた」人が「安心して生活する」ためのもので、「自分で車を乗り回してどこでも行ってなんでも食べれるめっちゃ健康。定期健診も異常はない。医者のお墨付き」という人は不要なものです。「介護保険申請します。保険証ください」っていったらいつでもだれでも交付されるものではありません。

介護保険を利用したサービスを使えるのは65歳以上で、それ以下の人はお断りなんだけどがんとか脳疾患とか特定の疾患で、40歳以上で、ちゃんと介護保険料を支払っている人は使えることもあります。もしそういう状態になった場合は入院している病院の地域連携室(MSWさん)でお尋ねください。

介護保険への入り口

それまで特に病気もせず生きてきた人が「介護保険とは」という事態に直面するのは親が老いて、転倒して骨折したとか脳梗塞って言われたとか、なんかそんな感じだと思います。
入院してる状態なら「退院後の生活」にあわせて希望を聞いてなんでもやってくれる。
けど、「なんか家族の様子が怪しい。認知症か? よくわからない」みたいな、そういう感じの健康上のちょっとした不安や介護が必要になりそうとか、そういう相談に乗ってほしい人の駆け込み寺として覚えておいてほしいのが「地域包括支援センター」の存在です。

だいたい市町村ごとに最低ひとつはあるはずです。「お住まいの地域」「地域包括支援センター」でググってください。
【はじめての方へ】地域包括支援センターとは?その役割と賢い活用法 - LIFULL 介護(ライフル介護)

この増田がとても詳しいのでその辺は読んでほしい。
介護に関するクソバイス (増田編)

「介護」とはいってもどこまで手助けするべきなのか

介護は人によって「何をどこまで手助けする必要があるのか」ということがある。
「パジャマのボタンをつける」とか「新聞を取ってくる」とか「自分でできること」はできるだけ自分でやってもらえばいいと思う。高齢者は「一度衰えた能力の向上」というのはとても時間がかかる。戻らないかもしれない。だから「今できることの維持」というのがとても大事。
子どもはできなかったことがちょっとずつできるようになる成長を喜べる。高齢者はその逆、「今までできていたことがちょっとずつできなくなる」を見ることのほうが、どちらかというと多い。だからできたことは大げさに褒めた。
今日は浴槽から出るのが綺麗にできた、ごはんを落とさず食べれた。歩き方が綺麗だった。

「密室育児」は良くないといわれがちだけど、「密室介護」もよくない。必ず他人に入ってもらうこと。
介護する側がひとりになれる時間を必ず確保すること。そのためデイなりショートステイなりには行ってもらうこと。
うちのカーチャンコロナ以降はまったくデイに行ってくれなくて四六時中一緒にいることになり、夜寝静まった後以外は心が休まることがあんまりなかった。お風呂も家で入りたいっていうから真夏の地獄の入浴介助も、真冬の寒い中の入浴介助も大変だった。入浴後に汗だくで入浴介助することになり、何のために風呂に入ったのかと空しくなることもよくあった。
できることもできないこともいろいろあった。なんでもした。
でももう全部終わった。わたしはもう自由なのだ。何も言われないしあれしてこれしてとも言われないしお風呂も好きなだけ入れる。夜中にビール飲んでもなんも言われない。長い間とってもよくがんばった。
何でも自由にできるけど、1年近く経ってもまだとっても寂しい。