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Tag: レン

( お題:斬新な雲 制限時間:15分 未完)

早乙女学園は1年限定の芸能専門学校とはいえある程度は普通の授業も存在する。美術のような芸術系科目もまたしかりだ。シャイニング早乙女の思い付きによってとんでもない実技に変貌することはままあるが、そこは早乙女学園の施設は整っているため大抵のことは学内で事がたりる。
「ん? イッチーはどうしたんだい?」
いつもは姿勢よく座って譜面や参考書を開いているトキヤが、背中に何か重たい荷物でも背負っているようにしてしょげかえっている。
そんなトキヤを横目にレンは翔に小声で話しかけた。
「この前美術の時間に写生大会だー! つって外に出ただろ? その時に描いた絵が……」
「ああ、イッチーの絵はシノミーの料理みたいな芸術的センスに溢れてるからね」
「……お前それあいつに言ってやるなよ。ただの追い討ちだから。それでその時描いた学園長の銅像が春歌に見られて」
翔の声はよりいっそう潜められる。2人で肩を寄せ合ってよりいっそう内緒話をしている様相になる。
「『……斬新なかたちな雲ですね』って言われたみたいで」
「ぶっ」
こらえ切れなかったらしいレンは大声を上げて笑い出す。それに気付いたトキヤは一歩一歩重く踏みしめながら2人の所に歩いてくる。
「お2人とも、何の話をされているのですか?」
「ちょっとトキヤ、顔怖いって。おいレンいつまでも爆笑していないでトキヤを止めろって」
その後次の授業がはじまるまで2人は延々と説教されたという。
人の弱点について触ってはいけないと思い知った日のことだ。

放浪レン様

今日の封筒は一段とぶ厚い。あの男はこの調子で他のメンバーに送っているのかと思えば私以外には翔だけのようだった。とはいえ聖川さんには現地の写真つきポストカードと走り書きのメッセージが送られてくるというから差異が分からない。今日の消印はナポリ。まだイタリアにいるようだ。

ゲーム、昼寝、荷物

「ダウト」
レンの声が朗々と響く。顔を上げると唇を吊り上げてにこにこしながら翔を見ている。多大な負債を抱えることになり思わず顔が引きつった。この枚数をどう処理しろというのか。
「翔、あなたはもっと隠す努力をしてください」
「うっせえな」
「ランちゃんが起きちゃうよ? 静かにしないとね」

腹痛、ふとん、ゆたんぽ

「レンて湯たんぽなんか使うんだ」
音也は脱衣所の片隅に放置されたオレンジの湯たんぽを見つけて手に取った。
「聖川からだよ」
「マサから? 何でまた」
「全裸で寝ると腹を壊すから冬場だけでも布団を暖めて寝ろって」
「使ってるの?あったかい?」
「使ってるのは当の聖川本人とかおチビちゃんだよ」

誕生日、パスタ、空腹

「そういえば結局マサの誕生日は何食べたの」
「和食だよ。さすがに料亭じゃないけど伝統と趣あるって店だよ」
「店選んだのレンだよね? レンが? 和食?」
「そんなに意外かい? ランちゃんが言うには聖川はパスタって顔じゃないしいくら空腹でも好物より美味いものはないってさ。だから和食だよ」

#放浪レン様

おチビちゃん元気してる? オレは今パリにいます。疲れてるはずなんだけど石畳の上をいく車の音で目が覚めていま朝ごはんを食べにカフェに来ています。クロワッサンが美味しいよ。こっちの人はコーヒーにたくさん角砂糖を入れるから皆バロンに見えるよ。寒いけど体に気をつけて #放浪レン様

12/29

12月29日。
 今日も無事舞台の幕が降りた。今日の忍び道楽屋は朝から花が届けられており、あっという間に一角が埋まってしまい店でも開けそうな勢いだった。今日はこれから真斗の誕生日パーティだ。昨日は音也提案の元レンと蘭丸と真斗だけで食事に行っていたが今日は真斗と親しい関係のシャイニング事務所が勢ぞろいする。会場とスケジュールは抑え済みで口の堅いレストランを一軒貸切にしていると嶺二から聞かされていた。
「イッキ、聖川は無事ランちゃんとおチビちゃんが一足先に連れ出したよ」
 今日はいつになくシックな装いのレンが楽屋に顔を出した。昨日は遅くまで外出していてそのまま昼夜公演だったが疲れのかけらも見られない。
「あ、レンお疲れ~。俺たちはもうちょっとここの片づけしていくよ。すぐ終わるから待っててー。」
「へぇ毎日自分達で掃除しているのかい?」
「いつもはマサがやってるんだけどね。今日は俺たちがやるんだ」
 拭き掃除をしていたセシルが立ち上がって布巾を大きく振り上げた。
「今日はワタシもマサト大作戦の任務を頑張りました!」
「任務?」
「セシル丸の今日の任務はマサを何か色々めんどくさい今日やらなくてもいいようことから護衛することだよ!」
「イエス、マサトはとても気がつく。ワタシとオトヤが先回りしてそれらを片付ける。困ったことはトキヤに聞きました。マサトはいつもこんなことをやっているのかととてもカンドウしました。護衛はいつもされるほうでしたが、するほうは難しい」
 目をきらきら輝かせながら語るセシルに音也は掃除機のスイッチを切って後始末をしながら、椅子の上においてあったパーティグッズ用の帽子を手に取った。
「マサは舞台始まってからずーーーっと、自分が一番年上だからって色々抱えてそうだし、これからは成人なのだととかいってどんどん堅苦しくなっちゃうから。20歳の最初の日だけはバカになればいいんだよ。だからこの帽子はせめてもののきっかけになるといいなって」
 ハッピーバースデーと書かれたケーキ型の帽子は色とりどりのロウソクが刺さっており、これを真斗がかぶっている所を想像するとレンは口元を押さえつつも笑いをこらえることが出来なかった。
「えっここ笑う所じゃないんだけど。昨日は昨日はレンと蘭丸先輩にマサあげたんだから今日は俺たちプロデュースでお祝いしたいんだ」
「俺たちプロデュースってお店はブッキーのセレクトなんだろ? ブッキーはいいのかい?」
「れいちゃんはれいちゃんだからいいの」
「オトヤ、こっちも終わりました。急ぎましょう。今日は素敵な音楽が聴ける日。ワタシ楽しみです」
 セシルはコートの上からボディバッグをかけながら入口へと足を進める。
「よし、じゃ行こうか。車は裏に回してあるからゆっくりおいで」
「ありがとうレン!」
 ギターケースを肩にかけてセシルの後から音也は楽屋を出た。

肉、魚、野菜

「何だトキヤお前そんだけしか食わねえのか」
「時間も時間ですから」
「あれだけ動いてサラダだけは無茶だよイッチー。刺身ぐらいは食べるといいよ」
「レン、人の皿に勝手に入れないでください」
「ハムぐらい食え」
「黒崎さん!?」
「寒天程度ならカロリーを気にしなくてもよかろう」
「カミュさんまで」

*JT初演日

指輪、光る、手にする

体をひねってソファの背もたれの部分にあごを乗せて、甘えた声で呼びかけてくる。何ですか、と近寄ると指を突付かれた。
「指輪、つけてくれないの?」
「きらきらしてて見てるだけで、その、圧倒されて……」
「ハニーがつけてくれたらもっと綺麗だと思うよ」
期待に満ちた目がこちらを見つめてくる。

蘭丸 猫

先に出たはずの蘭丸がどこにもおらず車内で待ってたら突然バックミラーに現れた。視線はずっと下を向いていて何をしているか分からないが車を離れてしばらくして助手席に乗り込んできた。
「ランちゃん、どこ行ってたんだい?」
「ちょっとな」
「猫の毛がついてるよ」
「何」
「……また?」
「うるせえ」

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