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Tag: 蘭丸

6/2は裏切りの日です。

「TOKIには色々悪い事をしたね。あそこで警察に密告したのはオレだよ」
かつての仲間はまるで知らない表情をして銃をつきつけられても平然としている。
「一息に楽にしちゃってよ。今更抵抗なんてしないよ。できるでしょ? 」
喉から獣のような唸り声がひねり出される。震えた手が引き金にかかった。

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「まさかあなたが気付くとは思いませんでしたよ」
シャツを赤く染めて荒い呼吸をしながらもパーフェクトダイヤは変わらず綺麗な顔をしていた。「妙に聡いくせに人を信じすぎる。一度懐に入ってしまえば偽装は用意でした。裏切り者は私、トリッキーハートを死の淵に追いやったのも私です。憎いですか」

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「よかったよ。うちの姫様の情報何も知られてなくて。もうちょっとで殺さないといけないところだったかも」
はしゃいだ声の赤毛の忍者は地面に伏した黒服の傍でしゃがんで髪を掴んで無理やり顔を上げさせる。突然の痛みに男は顔を歪ませ呻いた。
「せっかく仲良くなったんだしね。またどっかで会おうね」

嶺二で『それ以上は許さない』

カミュと連絡が取れなくなった。神出鬼没なのは今に始まったことではないがこれほど音沙汰なしもあまり例のないことだ。
「あの貴族様、国に帰ったんじゃねえか?」
「ドーナツ山盛りにしといたらそのうち出てくるんじゃない?」
「ランランもアイアイもひどい! それ以上はれいちゃん許さないよ!」

( お題:俺の村 制限時間:15分)

 俺の村には誰も住んでいない。何人か住んでいたこともあった。裏切ってどこかに行ってしまった。
 この人にはずっと住んでいてほしいと思ったこともあった。今はもう誰もいなくなった。
 ベース1本だけかついで宮城から出てきた。まったく芽が出なくて食うものにも困ってじいさんとばあさんが切り盛りしてる洋食屋ではかなり長い間世話になった。騙されそうになっていた所を俺が止めたことが何回かあるぐらい人を疑うことを知らない善人だった。
 シャイニング事務所に移籍してなんとか安定してきた所でバイトはやめた。しばらくしてくそめんどくさい後輩を2人ばかし押し付けられた。俺に因縁のある財閥の関係者だった。それが終われば今度は1年半もたって芽も出ない作曲家の卵、しかも女。
 指導なんか今度こそするつもりはなかった。俺が歌うのに相応しいロックを女が書けると思っていなかったからだ。なのにあいつはパセリのじいさんばあさんどもの上を行くバカだった。首輪でも付けて見える場所に置いておかないとこっちが不安になるレベルのだ。
 あんなふにゃふにゃしたなりであんな熱い音楽が流れてくるなんて本当に底が知れないやつだと思った。
  俺の村にはひとりの音楽家が住みついた。子犬か子猫みたいにじゃれ付いてくる。不思議と不快ではなく、誰かがいる生活というのは悪くない。そう思ったのは故郷を出て以来久しぶりのことだった。

(お題:寒いプレゼント 制限時間:15分 未完)

 雪でも降らねえかなあ、などと呟く程度には暑い日だった。今日は先輩が野外フェスに出演すると聞いて関係者パスを使って現地にやってきたのだった。当たり前だが野外フェスは暑い。フードタオルをかぶっていたがそれでもタオル越しに容赦なく肌を焼くほど太陽は猛威を振るっていた。
「それにしても暑いねえ! マイガール達元気~!?」
嶺二の声に女性ファンが歓声を上げる。
「負けてんじゃねえぞ男ども腹から声を出しやがれ!」
 対する蘭丸の声に野太い雄たけびがあがる。今はカルテットナイトでもなくシャイニング歌謡祭のコンビタイムだ。普段はあまり登場しない組み合わせに会場はさらに熱気を帯びている。
「ランラン暑いよね!? 僕がちょっと寒くなる話してあげよっか。この前タクシーに乗ったときに運ちゃんか聞いた話なんだけどね」
「そういうのは楽屋でやれ! くっだらねえ話してんじゃねえぞ」
「納涼プレゼントだよ~。ランランもしかして怖いのあとで肝試ししない?」
「この馬鹿はほっといて新曲だ」

アルパカに乗ってやってきた。

 音也におんぷくん、那月にピヨちゃん、トキヤにペンギン。
 そして最近寿嶺二とセットにされる動物が増えた。アルパカだ。
 CMで脚光を浴びたことで日本ではようやく認知された動物で、どれが正解の顔なのか分からなくなるほど個体によって顔つきがまるで違う南米が原産の家畜だ。
「れいちゃんサンタできて嬉しいけど、なんでトナカイじゃなくてアルパカなの」
顔の下半分を覆い隠す白いひげをつけながら嶺二は何度目かの当然の疑問を呟いた。嶺二のブーイングはさておきアルパカは平和そうな表情を浮かべて時々「フェエエエ」と鳴いた。
「間抜けそうな顔がお前らしくていいじゃねえか」
「ランラン酷! そんなことを言う子のところにはサンタクロースは来ないんだからね! 後悔しても謝ってももう遅いんだから!」
 今日の収録はサンタクロースの格好をしてこのアルパカを連れてちびっこに夢と希望とプレゼントを渡すらしい。ちなみにこのアルパカもシャイニング事務所の動物タレントだ。元々はシャイング早乙女のペットだったという。
「ではアル君今日はよろしくお願いします」
 動物といえど共演者。嶺二はアルパカの背中を触って挨拶をして収録へと挑んだ。

肉、魚、野菜

「何だトキヤお前そんだけしか食わねえのか」
「時間も時間ですから」
「あれだけ動いてサラダだけは無茶だよイッチー。刺身ぐらいは食べるといいよ」
「レン、人の皿に勝手に入れないでください」
「ハムぐらい食え」
「黒崎さん!?」
「寒天程度ならカロリーを気にしなくてもよかろう」
「カミュさんまで」

*JT初演日

風呂、湯たんぽ、タオル

頭を乾かすのも程々に肩にタオルを引っ掛けたまま台本を前に座り込んだ。ベース1本で演ってきて舞台経験はないに等しいがやればできるものだ。今日の復習にペンを取っていると膝の上に通いの猫が乗ってきた。自分を湯たんぽ代わりにでも思っているのか。ゴロゴロ鳴る首元を触りながら台本に没入した。

フィギュアリンク 嶺二 星に願いを

「星に願いなんかかけたって叶わないんだよ、ねえランラン聞いてるの」
「うるせえ毎年毎年同じ日に死にそうな声で電話しやがって」
「ランランは電話に出てくれるからねぼくと違って」
「あ?」
「ぼくもフィギュア選手みたいに回ってたらそのうちあの日に戻れないかな」
「知るか前向いて歩け酔っ払いが」

蘭丸 ハリネズミ

「ランランはああ見えて嬉しいんだよ。ハリネズミみたいにつんつんしてたってそんなのお構いなしに黒崎さん黒崎さんランちゃんランちゃんってバリケード突破していくでしょ。見捨てるぞだのおいてくぞだの言ってても、少し向こうでまだ来ねえのかって迎えにくるんだ。優しすぎて時々やになっちゃうね」

蘭丸 猫

先に出たはずの蘭丸がどこにもおらず車内で待ってたら突然バックミラーに現れた。視線はずっと下を向いていて何をしているか分からないが車を離れてしばらくして助手席に乗り込んできた。
「ランちゃん、どこ行ってたんだい?」
「ちょっとな」
「猫の毛がついてるよ」
「何」
「……また?」
「うるせえ」

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