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なっちゃんとれいちゃん

「なっつんは年越しどうすんの?」
「僕はお仕事です。トキヤくんと一緒に歌番組でカウントダウンです。れいちゃん先輩はどうしますか?」
「ぼくはオフー。でも実家帰っても福袋に買うのに付き合わされるだけだからこっちでランランと飲み明かすつもりー。来年もシクヨロ!」
「よろしくお願いします~」

お題……マイガールちゃん

イベント、行列、ドーパミン

「今日まいらす公開収録かなんかあったっけ」
「なんでー?」
「なんか脳内麻薬どばどば出てる系」
黄色のネイルを塗っている最中の友人に向けてメール画面を見せる。まいらす番組Tシャツを着た馬の写真が送られて来ている。どこにいるのだろうか。背景は人だらけだ。
「今日カウコンじゃないの?」

W1のカウントダウンライブ

「201x年の締めくくりを過ごす相手として私たちを選んでいただきありがとうございますW1一ノ瀬トキヤです」
「今日のためにトキヤといろんなこと考えてきたからねー! W1一十木音也でーすみんな楽しんでいってね!」
黄色い歓声と熱量がステージに向けられる。今年最後の祭の始まりだ。

トキ 音也衛門 おっとき

私があの男に会ったのは任務で舞踏会に侵入した時のことです。東の大国からの客人をもてなす場での護衛についたということでした。妙に人懐っこい犬のような男でした。あの男のペースに乗せられて気を許してしまったせいで初めて敗走の苦い味を知りました。ごめんねというあの声が耳から離れません。


帽子、ワッペン、カレンダー

カレンダーにつけたピンクの丸を眺めている。膝に乗せたライブ物販のワッペンと帽子をつけた翔モチーフのくまをぎゅうぎゅうと抱きしめてそのまま横に倒れた。明日はついに忍び道公演を見に行く。イヴの夜に翔ちゃんと同じ空間にいさせてくれてありがとう神様。何度目かの祈りを捧げて震えていた。

星空、ぬいぐるみ、子供の瞳

「ショウは子どもの瞳みたいだからね」
「何だよそれ」
「真っ直ぐ前を向いて歩いてるってことだよ」
渡されたケーキ屋の箱と袋は重さでは中は分からなかった。
「箱はボクとナツキから。金平糖とクッキーだから常温保存で大丈夫。袋のほうはナツキから。ナツキがいつも持ってる黄色いのが入ってる」


*お題……8bitちゃん

あんこ、布団、くま

──休日は何をされていますか
「晴れてたらお布団を干します。ピヨちゃんたちみんなと楽譜を見ながら日光浴します。真斗くんにぬいぐるみの洗い方も教えてもらったので……そういえばこの前真斗くんが桜餅を作ってきてくれました。京都の桜餅が恋しくなったんだそうですよとても美味しかったです」

お題……萩原さん

セール、かばん、衝動買い

物販ブースの背後にはJOKER TRAPの大判ポスターが眼前には広がっている。最近は音也と料理番組を始めて家庭的な面が見えていたけどやっぱりトキヤはトキヤだ。見る人の心臓を撃ち抜く格好よさだ。トキヤ関連のものは片っ端から買う。紫の鞄を握る手に力が入る。リミッターが外れる音がした。

*JTジャケ公開死

12/29

12月29日。
 今日も無事舞台の幕が降りた。今日の忍び道楽屋は朝から花が届けられており、あっという間に一角が埋まってしまい店でも開けそうな勢いだった。今日はこれから真斗の誕生日パーティだ。昨日は音也提案の元レンと蘭丸と真斗だけで食事に行っていたが今日は真斗と親しい関係のシャイニング事務所が勢ぞろいする。会場とスケジュールは抑え済みで口の堅いレストランを一軒貸切にしていると嶺二から聞かされていた。
「イッキ、聖川は無事ランちゃんとおチビちゃんが一足先に連れ出したよ」
 今日はいつになくシックな装いのレンが楽屋に顔を出した。昨日は遅くまで外出していてそのまま昼夜公演だったが疲れのかけらも見られない。
「あ、レンお疲れ~。俺たちはもうちょっとここの片づけしていくよ。すぐ終わるから待っててー。」
「へぇ毎日自分達で掃除しているのかい?」
「いつもはマサがやってるんだけどね。今日は俺たちがやるんだ」
 拭き掃除をしていたセシルが立ち上がって布巾を大きく振り上げた。
「今日はワタシもマサト大作戦の任務を頑張りました!」
「任務?」
「セシル丸の今日の任務はマサを何か色々めんどくさい今日やらなくてもいいようことから護衛することだよ!」
「イエス、マサトはとても気がつく。ワタシとオトヤが先回りしてそれらを片付ける。困ったことはトキヤに聞きました。マサトはいつもこんなことをやっているのかととてもカンドウしました。護衛はいつもされるほうでしたが、するほうは難しい」
 目をきらきら輝かせながら語るセシルに音也は掃除機のスイッチを切って後始末をしながら、椅子の上においてあったパーティグッズ用の帽子を手に取った。
「マサは舞台始まってからずーーーっと、自分が一番年上だからって色々抱えてそうだし、これからは成人なのだととかいってどんどん堅苦しくなっちゃうから。20歳の最初の日だけはバカになればいいんだよ。だからこの帽子はせめてもののきっかけになるといいなって」
 ハッピーバースデーと書かれたケーキ型の帽子は色とりどりのロウソクが刺さっており、これを真斗がかぶっている所を想像するとレンは口元を押さえつつも笑いをこらえることが出来なかった。
「えっここ笑う所じゃないんだけど。昨日は昨日はレンと蘭丸先輩にマサあげたんだから今日は俺たちプロデュースでお祝いしたいんだ」
「俺たちプロデュースってお店はブッキーのセレクトなんだろ? ブッキーはいいのかい?」
「れいちゃんはれいちゃんだからいいの」
「オトヤ、こっちも終わりました。急ぎましょう。今日は素敵な音楽が聴ける日。ワタシ楽しみです」
 セシルはコートの上からボディバッグをかけながら入口へと足を進める。
「よし、じゃ行こうか。車は裏に回してあるからゆっくりおいで」
「ありがとうレン!」
 ギターケースを肩にかけてセシルの後から音也は楽屋を出た。

飛行機、船、海

「月に帰る飛行機を予約してください」
「はいはい」
「星の海を渡ってなっちゃんが」
「マスミラよかったね那月格好よかったね」
「泣くから言わないでよぉぉ」
繋いだ手が震えて力が入る。さっきからうわ言を呟いて泣くの繰り返しだ。
「今日はうち泊まっていいから明後日はあたしの骨拾ってね」
「うん」

*マスカレ初日

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