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Tag: 音也

W1のカウントダウンライブ

「201x年の締めくくりを過ごす相手として私たちを選んでいただきありがとうございますW1一ノ瀬トキヤです」
「今日のためにトキヤといろんなこと考えてきたからねー! W1一十木音也でーすみんな楽しんでいってね!」
黄色い歓声と熱量がステージに向けられる。今年最後の祭の始まりだ。

トキ 音也衛門 おっとき

私があの男に会ったのは任務で舞踏会に侵入した時のことです。東の大国からの客人をもてなす場での護衛についたということでした。妙に人懐っこい犬のような男でした。あの男のペースに乗せられて気を許してしまったせいで初めて敗走の苦い味を知りました。ごめんねというあの声が耳から離れません。


12/29

12月29日。
 今日も無事舞台の幕が降りた。今日の忍び道楽屋は朝から花が届けられており、あっという間に一角が埋まってしまい店でも開けそうな勢いだった。今日はこれから真斗の誕生日パーティだ。昨日は音也提案の元レンと蘭丸と真斗だけで食事に行っていたが今日は真斗と親しい関係のシャイニング事務所が勢ぞろいする。会場とスケジュールは抑え済みで口の堅いレストランを一軒貸切にしていると嶺二から聞かされていた。
「イッキ、聖川は無事ランちゃんとおチビちゃんが一足先に連れ出したよ」
 今日はいつになくシックな装いのレンが楽屋に顔を出した。昨日は遅くまで外出していてそのまま昼夜公演だったが疲れのかけらも見られない。
「あ、レンお疲れ~。俺たちはもうちょっとここの片づけしていくよ。すぐ終わるから待っててー。」
「へぇ毎日自分達で掃除しているのかい?」
「いつもはマサがやってるんだけどね。今日は俺たちがやるんだ」
 拭き掃除をしていたセシルが立ち上がって布巾を大きく振り上げた。
「今日はワタシもマサト大作戦の任務を頑張りました!」
「任務?」
「セシル丸の今日の任務はマサを何か色々めんどくさい今日やらなくてもいいようことから護衛することだよ!」
「イエス、マサトはとても気がつく。ワタシとオトヤが先回りしてそれらを片付ける。困ったことはトキヤに聞きました。マサトはいつもこんなことをやっているのかととてもカンドウしました。護衛はいつもされるほうでしたが、するほうは難しい」
 目をきらきら輝かせながら語るセシルに音也は掃除機のスイッチを切って後始末をしながら、椅子の上においてあったパーティグッズ用の帽子を手に取った。
「マサは舞台始まってからずーーーっと、自分が一番年上だからって色々抱えてそうだし、これからは成人なのだととかいってどんどん堅苦しくなっちゃうから。20歳の最初の日だけはバカになればいいんだよ。だからこの帽子はせめてもののきっかけになるといいなって」
 ハッピーバースデーと書かれたケーキ型の帽子は色とりどりのロウソクが刺さっており、これを真斗がかぶっている所を想像するとレンは口元を押さえつつも笑いをこらえることが出来なかった。
「えっここ笑う所じゃないんだけど。昨日は昨日はレンと蘭丸先輩にマサあげたんだから今日は俺たちプロデュースでお祝いしたいんだ」
「俺たちプロデュースってお店はブッキーのセレクトなんだろ? ブッキーはいいのかい?」
「れいちゃんはれいちゃんだからいいの」
「オトヤ、こっちも終わりました。急ぎましょう。今日は素敵な音楽が聴ける日。ワタシ楽しみです」
 セシルはコートの上からボディバッグをかけながら入口へと足を進める。
「よし、じゃ行こうか。車は裏に回してあるからゆっくりおいで」
「ありがとうレン!」
 ギターケースを肩にかけてセシルの後から音也は楽屋を出た。

寝落ち 侵入 カレー

「舞台がんばってね!チーム忍者で見に行くから」
「……構いませんが気が散るので楽屋には来ないでください」
「えー」
「それから前みたいに寝落ちして体調崩さないように。公演前に風邪なんてプロ失格ですよ」
「じゃ舞台終わったらトキヤのカレー食べたい」
「テスト後の子どもですか。まあ構いませんよ」

寝坊 寒い かばん

急に冬が来た気がする。雨が降ったからたぶん明日はもっと温度が下がる。明日はセシルと一緒のロケだし、セシルは寒いと動かないから寝坊しないように「起きるんだよ」って電話したほうがいいかもしれない。明日必要なものを鞄に詰めながら今の自分が学園時代のトキヤのようでひどく懐かしく思えた。

自転車、天気、自動車

「最近のブームは自転車! 赤い格好いいやつでれいちゃんに紹介してもらった店買ったんだ。天気がいい日は20kmぐらい走ったりするよ。バイク乗りたいっていったら『事故でもしたらどうするんですか。あなたは乱暴だし雑なんだからバイクはやめなさい。車の免許取るまで我慢しなさい』てトキヤが」

目薬、テレビ、ティッシュ

「ちょっとトキヤ、その目どうしたの目薬でも差す? すんごい赤いけど」
「ちょっと寝不足なだけです」
「トキヤが? 本当に?」
疑い深い目を向けてくるから逃げるように控え室のテレビに目を向けた。しばらくしたら音也にティッシュの箱をそっと置かれた。私は今どんな顔をしているというのか。

フルート、アコーディオン、ボーカル

もうすぐセシルの歌録りだというのにどこにも姿が見当たらない。セシルが持っていたフルートが控え室のアコーディオンカーテンの奥で見つけた。早い時間に現場入りしていたトキヤに聞いても「見てません」と言われ探しに出たところで鳴き声を聞いた。
「にゃあ」
どこかで見覚えのある黒猫がいた。

コンビニ、からあげ、メロンパン

「オトヤ!コンビニというものはスゴイ!エクセレント!」
セシルはお菓子をかごに入れて新発売と書かれたメロンパンを手にしている。
「来たことなかったんだ?」
「カミュはキンセンカンカクが身につくまでは行くなと言っていた。オトヤが食べてるそれは何?」
「これはからあげくんだよ~1個あげるよ」

*ローソンコラボ発表

プール、夏、太陽

8月生まれだからといって夏らしい記憶はあまりないように思う。稽古通いやオーディションの毎日で太陽の下で遊んだことはあまりなかった。プールもあまり記憶にない。なのに何故今、音也の娘を連れて市民プールにいるのだろうか。父親はちょっとここで待っててとどこかに行ってしまった。

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