藍で『誰にも渡さない』
- 2014/05/05 20:12
- Posted by minami_hato
- Category:お題 on twitter
- Tag:嶺二, 藍
「アイアイったら嫌々だったのに先輩馬鹿になって」
「何、悪い?」
「悪かないけどさ、おとやんとトッキーもしっかりしたし最近れいちゃんあたり強いんだよ。そこいくとなっつんも翔たんも可愛いしさ、交換してよ」
「嫌だね。あの2人はボクの後輩だよ。責任持ってボクが育てるんだ。誰にも渡さないよ」
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「アイアイったら嫌々だったのに先輩馬鹿になって」
「何、悪い?」
「悪かないけどさ、おとやんとトッキーもしっかりしたし最近れいちゃんあたり強いんだよ。そこいくとなっつんも翔たんも可愛いしさ、交換してよ」
「嫌だね。あの2人はボクの後輩だよ。責任持ってボクが育てるんだ。誰にも渡さないよ」
「どうしても答えられないの?」
「秘密だってっていわれてるからね。はまぐりのれいちゃんは口を割らないよ」
「ボクがこんなに頼んでいるのに?」
「どうしたのやけに食い下がるね? 翔たんにおねだりされた?」
「別に。ただボクには言わないでレイジには言うっていうナツキが気に入らないだけだよ」
「先着1名様にれいちゃんのサイン入りCDをプレゼント! よってらっしゃいみてらっしゃい!」
藍の前にCDを差し出したが押し返された。
「いらない」
「なんで!?アイアイそんなにぼくの曲嫌い?」
「今日何日だと思ってるの?発売日とっくに過ぎてるよ。ナツキがうるさいから一緒に買いに行ったよ」
手元にある最新の那月はスマホの中だ。ある日動画付きのメールが送られて来た。45秒少々のその動画は最初はひたすら地面を映しておりこれで大丈夫?などという那月の声が聞こえ、ようやく顔が映る。しかしそれもやたらアップで「翔ちゃん、僕はいま」で終わっている。ちゃんと教えておけばよかった。
どんな褒め言葉よりも翔ちゃんに褒められた時が一番嬉しいと言っていた那月は今ここにいない。犬が散歩に行くみたいにして準備を整えてお気に入りのスーツケースを転がしてちょっと行ってきますと言ったまま帰ってこない。そういえば行き先を言われなかったなと気付いたのは少し経ってからのことだ。
テイクアウト専門のファーストフードの軒先にそのアイドル達はいた。撮影の合間にほんの少し抜け出したのだった。オーダーにもたついて多少時間はかかったがまさかその数分のうちにそこまで天気が急変するとは誰も思わなかった。
運が悪い。その一言に尽きる。
「キツネノヨメイリ! ワタシこの前マサトに教えてもらいました。お天気なのに雨が降るのです」
空を指差して言うセシルに音也はハンバーガーに噛み付きながら首をかしげた。
「狐の嫁入りっていうにはちょっと大雨過ぎるかな。これゲリラ豪雨っていうんだよ」
「ゲリラ……? ニホンの天気、色々言葉があってムズカシイ」
「まあいきなり降る雨だよ」
「ゲリラ豪雨って普通もっと夏っぽくなってから言うやつじゃねえの? 音也相変わらず雑」
音也とは反対側で壁にもたれかかっている翔が話に突っ込んで話を終わらせる。誰かが喋るのはやめても7人もいれば大体誰かが喋りだす。元々無口なグループではないからなおさらだ。
「すぐ出られると思ったのに聖川がカタカナのオーダーに戸惑ったりしているからだよ。同じ分からないにしてもご老人のほうが可愛げがある」
「お前こそ来栖の注文をじっと聞いていたではないか。同じものを注文すれば作法を知らなくてもばれないとでも思ったか」
トキヤと翔を間においてテイクアウト全般に不慣れな真斗とレンがにらみ合う。いつものことながらと翔とトキヤは聞き流しているが長々と言い合っている。
「ねえトキヤ、俺暑いし皆でここにいてもしょうがないから走って傘取りに行ってきてもいい?」
「いけません。濡れますし、どうせすぐにあがりますよ」
「俺フードかぶってるしちょっとぐらい濡れても風邪引かないから大丈夫だよ」
「誰があなたの心配をするというんです。衣装さんが泣きますからやめてください」
音也が頬を膨らませてトキヤに何かを言おうとした瞬間那月が大声を上げて向かいの通りを指差した。
「あ! 皆あれ見てください」
那月が指差したのは向かいのビルの小さな街頭ビジョンだ。新曲のMVが繰り返し放映されている。今流れている映像はシャイニング事務所の先輩にあたる寿嶺二の新曲のMVだ。久しぶりの新曲は嶺二らしい曲調ではあるものの物悲しさに溢れた曲だ。日ごろのバラエティ色溢れた嶺二をよく知っている後輩たちはトレードマークのマラカスも持たずスタンドマイクひとつだけ握り締めて歌うMVをみてとても衝撃を受けた。
「僕達も頑張りましょうねえ」
雨はやがて小降りになりつつある。やがてやんで空には大きな虹がかかるはずだ。
いんすぱいあーもと:https://twitter.com/jjiroooo/status/461486186721058816
助けを求めることがひどく不得意でした。大抵のことは自分でできていましたし、まだ子どものうちに上京して長い期間一人暮らしをしていたので、仕事を介さない人との接し方に悩むこともありました。その点音也はそういうのがとても上手で学園時代から私はそれに振り回されることが多くて、困りました。
「私だって涙のひとつやふたつ演技以外で流す事だってあるんです! 演技の装飾用じゃないんですよあなた分かっているんですか。心配ばかりさせるくせに本当に無神経なことばかり」「分かったからトキヤ、もうお酒はやめよ? 烏龍茶でも飲もうよ」「トッキーは元気だねえ」「寿さんうるさいです」
「普通の尺度では測れない」という那月への評価は誰しもが通過するところだったが、翔にとっての那月はもっと身近な存在だった。確かに理解しがたい行動は多かったがお互いによき理解者で無二の友人だった。2人はずっとこのままなのだろうと思っていたがある日その均衡は崩れることとなる。
ここにいるのはST☆RISHの一ノ瀬トキヤだ。もうHAYATOではない。これでようやく望んでいた自分らしく歌が歌える。今回のことで失ったものも迷惑も相当積み重ねてしまったが今後の動きで挽回できると信じている。もう1人ではないから大丈夫だ。1人で背負っていた時代はもう終わったのだ。
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