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Tag: 嶺二

嶺二で『こたえられない』

「どうしても答えられないの?」
「秘密だってっていわれてるからね。はまぐりのれいちゃんは口を割らないよ」
「ボクがこんなに頼んでいるのに?」
「どうしたのやけに食い下がるね? 翔たんにおねだりされた?」
「別に。ただボクには言わないでレイジには言うっていうナツキが気に入らないだけだよ」

嶺二で『先着順』

「先着1名様にれいちゃんのサイン入りCDをプレゼント! よってらっしゃいみてらっしゃい!」
藍の前にCDを差し出したが押し返された。
「いらない」
「なんで!?アイアイそんなにぼくの曲嫌い?」
「今日何日だと思ってるの?発売日とっくに過ぎてるよ。ナツキがうるさいから一緒に買いに行ったよ」

トキヤでわたしの涙は飾りなんかじゃないんです

「私だって涙のひとつやふたつ演技以外で流す事だってあるんです! 演技の装飾用じゃないんですよあなた分かっているんですか。心配ばかりさせるくせに本当に無神経なことばかり」「分かったからトキヤ、もうお酒はやめよ? 烏龍茶でも飲もうよ」「トッキーは元気だねえ」「寿さんうるさいです」

嶺二で『それ以上は許さない』

カミュと連絡が取れなくなった。神出鬼没なのは今に始まったことではないがこれほど音沙汰なしもあまり例のないことだ。
「あの貴族様、国に帰ったんじゃねえか?」
「ドーナツ山盛りにしといたらそのうち出てくるんじゃない?」
「ランランもアイアイもひどい! それ以上はれいちゃん許さないよ!」

嶺二で『こんなにも愛されている』

美味しいごはんと家族と電気のついたおうちは「こんなにもぼくのことを愛してくれる人がいる」と分かってしみじみありがたいと一緒に酒を飲んだときに呟いていた。携帯電話を見ながら悲しそうにしていたあの男は幸せを掴んで夜の街から消えてしまった。もう代わりのもので間に合わせる必要はないのだ。

那月で『ちょっと黙って』

「あの、あいちゃん」
「ナツキは黙ってて。ボクはレイジに聞いてるんだよ。犬なんか拾ってどうするつもり? ボクたちがここにいるのは春までだしそれ以降は誰が世話をするの? そのあたりが明確にならないなら楽屋にも入れないよ」
「この子の目を見てよアイアイ! 捨てないでって言ってるよ」

音也で『大人しく降参して』

「トキヤは大人しく降参すればいいのに」
個室居酒屋の一角ですやすやと寝息を立てているがこれからが大変だと音也はげんなりする。
「トッキーは負けず嫌いだからね」
「れいちゃんが変に挑発するからいけないんだよあのトキヤ1人でつれて帰れないんだからね!」
「レンレンにはもう電話しといたよ☆」

道ならぬ恋とかたぶんそんなお題だったんだと思う。

道ならぬ恋ー? そうだねえ。例えば後輩ちゃんが翔たんと付き合ってるとするじゃない? でもなっつんも後輩ちゃんのことがすっごい好きなの。でも3人でいるときの居心地もなっつんはすーごい好きなの。でも苦しいの。そういうのをもうちょっと変えればいいんじゃない?

お題:人妻の愛 制限時間:15分

 はじめはそう、ドラマでの出会いだった。それを見た翌日ふらりとCDショップへ行ったら握手会つきCDが一枚だけ残っていたのだ。あれが全部いけないんだ。
 
 イベントスペースで行われた「寿嶺二握手会」はずらりと長い行列を作った。ファンの年齢層はST☆RISHに比べれば少々高いのだろうか、でもところどころに制服を着た女子高生がいるから「幅広い年代に支持されている」というあれなのだろう。目の前の女子高生は両手で握手されたあと頭も撫でられていた。お兄さんキャラを通している。そして私の番がやってきた。
「こんにちは~」
至近距離で見る嶺二はテレビで見るよりずっとかっこいい。これで3枚目で売っているというのだからおかしい。でもあの芸人根性は間違いなくシャイニング事務所で培われたものだと思う。
「あの、この前のドラマみました! ホスト役って意外だなと思ったけど格好よかったです!」
「これからもれいちゃんの新境地をバンバン開拓していくから楽しみにしててねー。今日は来てくれてありがとうマイガール」
 音がするような見事なウィンクを決められた。旦那より年上なのになんて可愛い人だろう。
夢見がちなまま会場の外に出た。なんだか泣きそうだ。アイドル、やばい。開けてはいけない扉を開けたかもしれないと思った1日だった

お題:悔しい車 制限時間:15分

 免許所持の比率というのはさほど高くない。身の回りで言えばアイアイは未成年だしランランはガソリン代がもったいねーっていうし(でもランラン免許持ってるよね。車がないだけだよねぼくちん知ってんだからね。この前一通逆走したの忘れないからね)ミューちゃんにいたっては馬に乗る。まあ馬だって軽車両だしいいけど観光用に間違われるからやめてほしいよねー。
 車っていうのは1人になれる絶好の場所だ。信号待ちの間にさっきまでいた場所のことを思い出す。舌打ちして隠していた煙草を取り出して咥える。火をつければもう用済みだとぞんざいにライターを放り投げた。
「残念だけど」
 何が残念なものか。
 はじめから出来レースのオーディションだったくせに。僕を持ち上げといて選ぶつもりなんてこれっぽっちもなかったんだ。
 海へ向かうまっすぐな一本道でアクセルを踏み込む。事務所の力だけでヘタクソが仕事とりやがって面白くもない。

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